2026-04-23 コメント投稿する ▼
袴田事件姉・ひで子さん、再審制度「抜本改正」を法務省・自民党に要求 – 冤罪防ぐ司法へ「検察の抗告禁止を」
この事件で長年、冤罪の可能性を訴え続けてきた袴田巌さんの姉、ひで子さん(93)は2026年4月23日、日本記者クラブで会見を開き、現在、法務省と自民党で議論されている再審制度の見直しについて、抜本的な改正を強く訴えました。 ひで子さんは、司法制度の「不備」を正し、二度と冤罪被害者を生み出さないための改革を求めています。
袴田事件の重い教訓
昭和41年(1966年)、静岡県で一家4人が殺害される凄惨な事件が発生しました。この事件で死刑判決を受けたのが、当時プロボクサーだった袴田巌さんです。しかし、捜査段階での自白の強要や証拠の捏造疑惑など、数々の問題点が指摘され、再審請求から実に43年もの歳月を経て、2008年にようやく無罪が確定しました。巌さんが逮捕されてから釈放されるまでには、実に47年7ヶ月という、想像を絶する期間が費やされたのです。ひで子さんは、この長きにわたる戦いを振り返り、「私が33歳の時の事件が、91歳でようやく無罪になった」と語り、「無実の人間が処刑されてたまるか」という強い思いで、人生の大半を巌さんの無実を証明するために費やしてきたことを明かしました。この事件は、一度誤った司法判断が下されると、いかに個人と家族の人生が破壊されるかという、司法制度の抱える深刻な問題を浮き彫りにしました。
再審制度改正を巡る攻防
現在、国会では再審制度を見直す刑事訴訟法の改正案が議論されています。この改正案を巡っては、法務省が提示した案に対し、自民党内からも多くの反対意見が出ている状況です。主な争点は、再審開始の決定が出された場合に、検察官が不服を申し立てる「抗告」を認めるかどうか、そして、裁判所に提出された証拠を、本来の目的以外に使用することを禁じる規定をどう扱うか、という点です。法務省は、抗告審の審理期間を1年以内とする努力義務を設ける修正案を提示しましたが、抗告の全面禁止を求める声は依然として強く残っています。さらに、証拠の目的外使用禁止に関する規定について、法務省案では修正が見送られたことも、多くの問題視する意見を生んでいます。
ひで子さんが訴える「不備」
ひで子さんは、こうした法務省の姿勢に対し、「法務省は不備を直したのか、直していないのか、分からない。不備があるならば、正々堂々と直して改革してもらいたい」と苦言を呈しました。特に、検察官による抗告権の維持については、再審開始決定が出てもなお、検察官が不服を申し立てることで審理が長期化し、冤罪被害者をさらに苦しめる可能性があると懸念しています。巌さんのケースでも、再審開始までの道のりは非常に長いものでした。ひで子さんは、「いい証拠も悪い証拠もすべて出してほしい」と述べ、証拠開示の原則を訴えました。その上で、証拠の目的外使用を制限する規定について、「目的外使用を制限すれば、検察に都合のいいように運用されてしまう」と強い懸念を示し、この規定の撤廃、すなわち証拠の目的外使用の解禁を改めて求めました。これは、検察官が持つ権限が、司法手続きにおいて不当に偏らないようにするため、極めて重要な指摘と言えるでしょう。
国民の期待と議員へのエール
ひで子さんは、自らの経験を踏まえ、再審を求めている人は袴田巌さんだけではないことを強調しました。「巌だけの問題ではない。再審を求めている人は大勢いる。その人たちのためにも、制度の不備を正してほしい」と、制度改革の必要性を訴えました。また、過去にはマスコミ報道によって「さらし者にされ、悪いことばかり書かれた」経験にも触れ、報道のあり方についても言及しました。現在、検察の抗告禁止や幅広い証拠開示を盛り込んだ、超党派の議員連盟による法案もまとめられています。ひで子さんは、この議員連盟の案を支持する意向を示し、法務省案との比較について、「法務省の法案と議連の法案も互いに競っている。私は議連の方を応援したい」と述べました。そして、党内審査で法務省案に反対の立場を取る自民党の国会議員に対し、「自民党の国会議員には頑張ってほしい」とエールを送りました。これは、司法制度の抜本的な見直しに対する、国民の切実な期待の表れと言えるでしょう。
まとめ
- 袴田事件の姉、ひで子さんが再審制度の抜本改正を訴えた。
- 法務省案では検察官の抗告や証拠の目的外使用禁止が維持されている点に懸念を示した。
- 抗告の全面禁止と、証拠の目的外使用の解禁を求めた。
- 超党派議員連盟の法案を支持し、自民党議員に改正への協力を呼びかけた。
- 司法制度の不備を正し、冤罪被害者を生み出さないための改革の重要性を強調した。