2026-04-09 コメント投稿する ▼
豊予海峡トンネル事業費9300億円 大分県が概算試算発表、PFI活用で凍結解除へ
大分県が豊予海峡トンネルの事業費9300億円を公表—総事業費1兆5200億円、PFI活用で実現検討へ。 大分県の佐藤樹一郎知事は2026年3月23日の記者会見で、大分県と愛媛県を海底トンネルで結ぶ「豊予海峡ルート構想」について、トンネル部分の概算事業費が9300億円に上るという試算を発表しました。
大分県の佐藤樹一郎知事は2026年3月23日の記者会見で、大分県と愛媛県を海底トンネルで結ぶ「豊予海峡ルート構想」について、トンネル部分の概算事業費が9300億円に上るという試算を発表しました。接続する高速道路を含めた総事業費は1兆5200億円にのぼります。2003年以来、事実上凍結されてきたこの大型インフラ構想が、再び国民的な議論の俎上に上がっています。
試算は大分県の委託を受けた建設コンサルタントのパシフィックコンサルタンツが実施しました。青函トンネルと同水準の条件を持つことから、同じ山岳工法を採用して算出しています。トンネルの全長は約21.3キロメートルで、最も深い場所では海面下約300メートルを通る計画です。
事業費9300億円の内訳—3本のトンネルで安全を確保
9300億円の内訳は、車が通る本坑が6200億円、地質や湧水状況を調べる先進導坑が1600億円、工事用通路となる作業坑が1500億円です。トンネルと接続する高速道路の整備費は、大分側(17.8キロメートル)が1000億円、愛媛側(40.9キロメートル)が4900億円となっています。
3本のトンネルを掘ることで、排水・換気・避難が可能になる安全設計が前提となっています。2022年に大分市が公表した試算は約6900億円でしたが、資材価格の高騰や工法の違いなどで大幅に増えたとしています。佐藤知事は「先進導坑と作業坑はやはり必要で、それで3000億円ほど加えられている」と説明しています。
TSMC熊本工場・災害代替ルート—構想再浮上の背景
1兆円超という巨大な事業費にもかかわらず、豊予海峡ルートの議論が再び活発になっている背景には、近年の地政学的・経済的変化があります。台湾積体電路製造(TSMC)が熊本県に工場を展開したことで、九州・四国間の物流需要が拡大する見通しが強まっています。TSMCの製品や九州の農産物を関西へ効率よく運ぶ経路として、豊予海峡ルートの戦略的価値が高まっています。
また、豊予海峡道路が実現すれば、現在の松山—大分間の所要時間265分(高速道路+フェリー)が167分(高速道路)に短縮され、約1時間半の時間短縮が見込まれます。山陽道が自然災害などで通行不能になった際の代替経路(第二国土軸)としての機能も注目されています。
「1兆5000億もかけて本当に採算がとれるの?通るクルマの数が読めないのに強気すぎない?」
「九州と四国がつながれば物流が変わる。TSMC関連の輸送を考えると意義があると思う」
「青函トンネルみたいに赤字にならないか心配。誰がどう返済するのかが不透明すぎる」
「大分から愛媛まで車で行けたら旅行が楽になる。橋でもトンネルでも早く実現してほしい」
「また大型公共事業の議論が始まったか。まず既存インフラの維持管理にお金をかけてほしい」
PFI方式と橋梁案—今後の検討課題と透明性の確保
大分県は今後、PFI方式など民間活力の導入可能性を検討するとともに、橋梁の場合についても課題整理を始める方針です。佐藤知事は「通行料収入で事業費に見合う収益性は十分ある」と自信を見せており、「国のプロジェクトとしてやってもらうのが本筋だ」と強調しています。
橋には観光面での効果という長所がある半面、大型船が通れる高さの確保や強風時の通行制限といった課題があります。豊予海峡ルートは1998年の第5次全国総合開発計画に盛り込まれましたが、財政難などを理由に2003年、当時の大分県知事が事実上の凍結を表明しました。大分県は国に凍結解除を求め、今後も働きかけを続ける方針です。
1兆5200億円という膨大な財政出動を伴うこの構想については、費用対効果の数値的な目標と検証の仕組み、そして国民・県民への丁寧な説明と透明性の確保が欠かせません。大型公共事業にこそ、具体的なKPI(重要業績評価指標)やKGI(重要目標達成指標)と期限を明示し、段階的な進捗報告を義務づける仕組みが求められます。