2026-04-24 コメント投稿する ▼
障害者支援制度を悪用、絆HDが110億円を不正受給。大阪市、法的措置も視野に督促へ
大阪市は、障害者の就労を支援する制度の加算金を不正に受け取っていたとして、福祉関連会社「絆ホールディングス(HD)」に対し、支払いを求めていた約110億円が期限までに支払われなかったことから、督促を行う方針を固めました。 この問題は、支援を必要とする人々のために使われるべき公的資金が、悪質な手口によって不正に流用されていた実態を浮き彫りにしています。
不正の背景と悪質な手口
絆ホールディングスが運営していたのは、就労が困難な障害を持つ方々に対し、働く機会や職業訓練を提供する「就労継続支援A型」事業所です。この事業所では、利用者が一般企業などで6カ月以上継続して働いた場合に、国や自治体から事業所へ支払われる給付費に加えて、一定の加算金が支給される制度がありました。この制度は、障害者の就労機会の拡大や、より安定した雇用環境の整備を後押しすることを目的としています。
しかし、絆HD傘下の事業所は、この制度の趣旨を根本から歪め、悪質な手口で加算金を不正に請求していました。具体的には、利用者の就労期間や実態を偽装するなどして、制度の要件を満たしていないにもかかわらず、あたかも要件を満たしているかのように装い、不当に加算金を受け取っていた疑いが持たれています。本来であれば、支援を必要とする方々のために使われるべき資金が、このような形で私物化されていた可能性が指摘されています。
全国規模の不正と大阪市の対応
大阪市が昨年8月から実施した監査により、絆HDによる不正受給の実態が明らかになりました。監査の結果、絆HDは2024年以降、大阪市を含む2府5県の複数の自治体から、総額約150億円もの障害者就労支援金を不正に受給していたことが認定されました。このうち、大阪市が対象となる不正受給額は約79億円にのぼります。
大阪市は、この不正受給額に、制度違反に対する加算金などを上乗せした約110億円を、2026年4月20日を支払期限として絆HD側に請求していました。しかし、絆HD側はこの請求に対し、期限までに支払いに応じなかったことが判明しました。
事態を重く見た大阪市は、障害者総合支援法に基づき、絆HDが運営する市内の4事業所に対し、3月下旬に指定取り消しの行政処分を科しました。この処分は、2026年5月1日から効力が発生する予定です。しかし、行政処分だけでは不正に流用された公的資金の回収には至らないため、市は未払いとなっている約110億円について、法的な督促手続きを進める方針です。
未払い110億円と今後の見通し
絆HD側が巨額の支払いを滞らせている状況に対し、大阪市は今後、督促状の送付などの手続きを進めることになります。それでも支払いに応じない場合、市は法的措置も視野に入れて、債権回収を進める可能性があります。この問題は、単に一企業の不正行為というだけでなく、障害者支援という公的な制度がいかに脆弱な部分を抱えているか、そしてそれを悪用された場合に、税金がどのように無駄遣いされるかを示しています。
今回の不正受給は、絆HDの4事業所だけでなく、全国規模で展開されている可能性があり、他の自治体でも同様の調査や対応が進められることが予想されます。支援制度の厳格な運用と監視体制の強化、そして不正を行った事業者に対しては厳正な処分と資金回収を行うことが、国民の信頼に応えるために不可欠です。
支援を必要とする障害のある方々が安心して働き、生活できる環境を守るためには、制度の透明性を高め、不正の温床とならないよう、継続的な見直しと強化が求められています。大阪市が今後、どのように督促を進め、資金回収を実現していくのか、その対応が注目されます。