学び直し進まぬ現実、時間・金銭が壁に 政府白書が指摘

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学び直し進まぬ現実、時間・金銭が壁に 政府白書が指摘

しかし、内閣府が実施した調査によれば、多くの人が学び直しを進めたくても、「時間がない」「金銭的な余裕がない」という現実的な問題に直面していることが明らかになりました。 「金銭的余裕がない」という課題は、単に個人の収入の問題に留まらず、社会全体で取り組むべき賃金格差の問題と深く結びついています。

政府は7月10日、2026年版男女共同参画白書を閣議決定しました。平均寿命が延び、人生100年時代とも言われる中で、国民一人ひとりが多様な働き方を選択できる社会の実現に向け、仕事に関する「リスキリング(学び直し)」の重要性が強調されています。しかし、内閣府が実施した調査によれば、多くの人が学び直しを進めたくても、「時間がない」「金銭的な余裕がない」という現実的な問題に直面していることが明らかになりました。特に、家庭内での役割負担の偏りが、男女間の格差をより顕著にしている実態も浮き彫りになっています。

白書が示す「学び直し」の現実


今回の白書では、人生の選択肢を広げるための「学び直し」の推進が、政府の重要な政策課題として位置づけられています。変化の激しい現代社会において、新たなスキルを習得し、キャリアチェンジやキャリアアップを図ることは、個人の生きがいだけでなく、日本経済全体の活力維持にとっても不可欠です。しかし、その希望を実現しようとする人々にとって、具体的な障壁となっているのが、日々の生活の厳しさです。内閣府の調査で示されたこの厳しさは、昨年12月に実施されたもので、20代から60代までの約1万7000人が回答しています。調査では、「リスキリングをする上で、どのような課題や困り事がありますか」という質問に対し、複数回答でその実情が尋ねられました。

「時間がない」は女性に集中


調査結果を詳細に見ると、リスキリングの意欲を阻む最大の要因として、男女ともに「金銭的余裕がない」という回答が最も多く挙げられました。具体的には、男性の25.4%、女性の32.7%がこの点を指摘しています。この結果は、依然として存在する男女間の賃金格差が、学び直しの機会均等を妨げている可能性を示唆しています。さらに注目すべきは、「仕事や家事・育児などが忙しくて時間がない」という課題です。こちらは男性が7.2%だったのに対し、女性は14.6%と、倍以上の割合でこの問題を抱えていることが分かりました。この差は、家庭内における仕事や育児、介護といった責任が、依然として女性に重くのしかかっている現状を如実に物語っています。

賃金格差、家庭負担…複合的な障壁


「金銭的余裕がない」という課題は、単に個人の収入の問題に留まらず、社会全体で取り組むべき賃金格差の問題と深く結びついています。女性の賃金が男性に比べて低い水準にとどまる現状では、貯蓄や自己投資に回せる資金も限られてしまうのは無理もありません。また、「時間がない」という問題も、単なる忙しさだけでは片付けられません。家事や育児、介護といった、いわゆる「ケア労働」の負担が女性に偏っている構造的な問題が背景にあると考えられます。これらの「お金」と「時間」という二つの大きな障壁が複合的に作用することで、多くの人々、特に女性が学び直しの機会を断念せざるを得ない状況に置かれているのです。これは、個人の能力開発の機会を奪うだけでなく、社会全体の潜在能力を活かしきれていない状況とも言えるでしょう。

多様な働き方を支える政策の必要性


人生100年時代において、人々がそれぞれのライフステージで意欲と能力を発揮できる社会を築くためには、リスキリングの推進が不可欠です。政府もその重要性を認識し、白書でその充実を掲げていますが、今回の調査結果は、現状の支援策だけでは根本的な課題を解決できていないことを示唆しています。今後、政府は、単に研修プログラムを提供するだけでなく、学び直しを進めるための経済的支援の拡充や、時間的制約を緩和するための具体的な方策を真剣に検討する必要があるでしょう。例えば、育児休業中のリスキリング支援や、短時間勤務者向けの柔軟な学習プログラムの開発などが考えられます。また、家庭内での負担を軽減するためには、男性の育児参加をさらに促進するような社会全体の意識改革と、それを後押しする制度設計が求められます。個人の自助努力だけに頼るのではなく、社会全体で学び直しを支え、誰もが意欲と能力に応じて活躍できる環境を整備していくことが、これからの日本にとって極めて重要になってくると言えます。

まとめ


・2026年版男女共同参画白書によると、学び直し(リスキリング)の障壁は「時間がない」「金銭的余裕がない」が最多。
・「金銭的余裕がない」は男性25.4%、女性32.7%。
・「時間がない」は男性7.2%、女性14.6%で、女性の負担が顕著。
・男女間の賃金格差や、家庭内での家事・育児負担の偏りが背景にあると指摘。
・多様な働き方を支えるため、経済的・時間的支援策や、家庭内負担軽減策の強化が必要。

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2026-07-10 10:33:12(櫻井将和)

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