2026-06-08 コメント投稿する ▼
安保3文書改定へ、非核三原則巡り議論紛糾 高市氏主張の「持ち込ませず」見直し論点化に賛否
8日に首相官邸で開かれた第2回有識者会議では、変化する国際情勢を踏まえ、外交力と防衛力のあり方がテーマとなりましたが、特に議論が白熱したのは、戦後日本の安全保障政策の根幹をなす「非核三原則」の見直しに関する点でした。 関係者によると、会議全体としては、非核三原則の見直しを今回の安保3文書改定の主要な論点とすることには、反対する意見が多数を占めたとのことです。
安保3文書改定の背景
現在の安保3文書は、2013年に策定されたものです。しかし、それ以降、中国の海洋進出や北朝鮮による核・ミサイル開発の加速、そしてロシアによるウクライナ侵攻など、東アジアおよび国際社会の安全保障情勢は劇的に変化しました。こうした現実を踏まえ、政府は防衛力の抜本的強化を含む安保3文書の改定を急いでいます。自衛隊の能力向上はもちろんのこと、同盟国である米国との連携強化、そして日本の外交努力のあり方についても、新たな時代に対応できる戦略を練り直す必要に迫られています。
非核三原則、議論の火種
今回の有識者会議で特に注目されたのは、非核三原則、すなわち「核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず」という原則への言及でした。会議では、出席者から、核兵器による威嚇や攻撃を受けた際の抑止力強化のため、非核三原則、特に「持ち込ませず」の原則について、見直しの余地はないのかという意見が出されました。
具体的には、高市早苗首相(当時)が首相就任前に、有事の際に米国の核抑止力が十分に機能しない可能性を懸念し、「持ち込ませず」の原則の見直しを主張していたことが背景にあります。こうした議論を受け、元自衛隊制服組トップである山崎幸二元統合幕僚長は、「核の脅威が現実化していく中で、拡大抑止の一環としての核抑止は非常に大きな論点になる」と、核抑止力の重要性を強調しました。
また、黒江哲郎元防衛次官も、「非核三原則を見直す余地はある」としつつも、あくまで核保有には賛成しない立場であることを示唆しました。これは、現実的な安全保障の必要性と、日本の非核の立場を維持したいという思いとの間で揺れる、政府内や安全保障関係者の複雑な心情を映し出していると言えるでしょう。
賛否両論、慎重論も根強く
一方で、非核三原則の見直し、特にそれを安保3文書の改定論点に含めることに対しては、慎重な意見や反対の声も上がりました。筑波大学の東野篤子教授は、「核抑止は大事だが、非核三原則を変えるなら、非核三原則を改定するための有識者会議を立ち上げるぐらいの話だ」と述べ、安保3文書の改定という枠組みとは別に、より慎重かつ国民的な議論が必要であるとの見解を示しました。
関係者によると、会議全体としては、非核三原則の見直しを今回の安保3文書改定の主要な論点とすることには、反対する意見が多数を占めたとのことです。これは、非核三原則が長年にわたり日本の平和外交の根幹を支えてきたこと、そしてその見直しが国民に与える影響の大きさ、さらには外交的な波紋などを考慮した結果と考えられます。
今後の焦点と展望
有識者会議は秋ごろまでに提言を取りまとめる予定で、政府はこれを踏まえ、新たな安保3文書を年末に閣議決定する方針です。自民党や日本維新の会は、より早期に、月内にも提言書を提出する動きを見せており、安全保障政策を巡る議論は今後さらに加速するでしょう。
今回の会議で非核三原則に関する議論が活発に行われたことは、日本の安全保障政策が岐路に立っていることを示しています。核の脅威が増大する現実世界で、いかにして国民の生命と安全を守るのか。拡大抑止の重要性を認めつつも、非核三原則という日本の基本的な立場をどう位置づけるのか。これらの難しい問いに対し、政府は国民的な理解を得ながら、最善の道を見いだしていく必要があります。非核三原則の扱いは、今後の日本の外交・安全保障政策の行方を占う上で、極めて重要な焦点となることは間違いありません。
まとめ
- 日本政府は国家安全保障戦略など安保3文書の年内改定に向け、有識者会議で議論を進めている。
- 第2回会議では、安全保障環境の変化に対応するための外交・防衛力強化がテーマとなった。
- 議論の中で、戦後日本の根幹である「非核三原則」の見直し、特に「持ち込ませず」の原則に関する意見交換が行われた。
- 高市早苗首相(当時)は、有事の際の米国の核抑止力への懸念から「持ち込ませず」の見直しを主張していた。
- 元統合幕僚長らは核の脅威増大を理由に核抑止力の議論を重視する一方、専門家からは非核三原則の改定には別途慎重な議論が必要との意見も出された。
- 会議では、非核三原則の見直しを安保3文書改定の論点化に反対する意見が多数を占めた。
- 有識者会議は秋に提言をまとめ、政府は年末の閣議決定を目指す。