2026-06-05 コメント投稿する ▼
和歌山県が宿泊税2028年度導入へ 観光公害に苦しむ住民を守る財源確保の正念場
和歌山県の観光振興財源検討部会は2026年6月の第2回会合で、宿泊税の導入に向けた制度設計の論点整理を実施しました。2028年度の導入を目指しており、2026年7月に制度設計案をまとめる方針です。インバウンド観光客の急増が続く中、宿泊税導入の理由として県関係者は「観光客によるごみ問題や、利用客が減少している公共交通機関の対策などさまざまな課題がある」と説明しています。観光の恩恵を受けるのは一部の事業者に限られる一方、大多数の住民は渋滞・ごみ・騒音などの観光公害に日々悩まされています。宿泊税を速やかに導入し、その財源を住民生活の保護に充てることが急務です。
和歌山県が宿泊税の2028年度導入へ 制度設計の論点整理が進む
和歌山県の観光振興財源検討部会は、2026年6月の第2回会合を県薬剤師会館(和歌山市)で開き、宿泊税の導入に向けた制度設計の論点整理を行いました。
2026年5月に宿泊事業者を対象に実施したアンケートでは、税額を100円以上200円未満とする意見が7割を占めました。徴収対象については「すべての宿泊客」が55%、「例外規定を設けるべき」が45%と意見が割れています。税額の設定方式についても、一律定額・宿泊料金に応じた定額・定率の3案が示されました。
県は2026年7月に制度設計案をまとめ、9月に報告書を完成させる予定です。その後、条例案を県議会で審議し総務省との協議を経て、2028年度の導入を目指します。
白浜町が先行 県内の市町でも宿泊税導入の動きが加速
県内では白浜町が和歌山県に先行して動いています。2026年6月議会で条例案が審議中であり、宿泊料金に応じて200円から1000円までの4段階で宿泊税を徴収する案が盛り込まれています。12歳未満への課税免除も規定しており、2027年3月の条例施行を目指しています。
和歌山市・田辺市・高野町・那智勝浦町も宿泊税の導入を検討中であり、県全体で観光財源の確保に向けた機運が高まっています。宿泊税は法定外目的税として、2002年に東京都が全国初の導入を行い、年間約27億円の税収が観光振興に活用されました。2017年の大阪府、2018年の京都市の導入を転機に、訪日外国人観光客の急増とオーバーツーリズム対策の社会問題化を背景として、全国の自治体に広まりました。2026年には北海道・宮城県など約30自治体が新たに課税を開始し、導入済み自治体は2025年末時点の17から約50へ急増する見通しです。
白浜の夏は渋滞で地元の人間が普通に動けなくなる。観光業者だけがもうかって住民が被害を受けるだけというのは納得がいかない
「観光客が増えれば豊か」は誰のための論理か 見えない住民の被害
インバウンド(訪日外国人)政策によって観光客数の増加が連日報道されますが、その恩恵を受けられるのは宿泊施設や飲食店・土産店など一部の観光事業者に限られています。大多数の地域住民は、急増した観光客が引き起こす観光公害の負担を一方的に押しつけられているのが実態であり、その声はメディアでほとんど取り上げられてきませんでした。
観光公害の具体的な被害は深刻です。公共交通機関の混雑は地域住民の日常生活に大きな支障をきたしており、深夜まで続く観光客の騒ぎ声やスーツケースを引く音が住民の睡眠を妨げています。民泊などの観光向け住宅需要の増加により家賃が高騰し、地域住民が住み慣れた場所を離れざるを得ない状況も生まれています。
観光客が来るたびに近所の道が散らかる。宿泊業者だけが税を取られず、住民が被害を受け続けているのはどう考えてもおかしい
観光客の増加による交通渋滞や騒音、ごみなどによる生活環境の悪化が住民の反発を招くケースが全国各地で起きています。観光客が増えることで生じる公共サービスのコストは最終的に住民の税負担として跳ね返ってくる構造があり、この不公平を解消することが宿泊税導入の最大の意義です。
高野山は外国人観光客だらけでゆっくりお参りもできない。宿泊税を取るなら必ず地元住民の生活を守る対策に使ってほしい
「受益者負担」の原則が住民を守る 宿泊税の早期導入と使途明確化が急務
観光税の本質は、観光地の恩恵を受ける側がその維持費用と公害対策費を分担する「受益者負担」の原則を実現することにあります。宿泊者(とりわけインバウンド観光客)から適切に税を徴収し、渋滞対策・ごみ処理・騒音対策・公共交通の維持などに充てることは、住民の生活を守るための当然の施策です。
観光公害に苦しむ住民の声を政策に反映させる手段として、宿泊税の有効性は全国各地の先行事例が証明しています。北海道は2026年4月から宿泊税を導入し、年間約45億円の財源を確保する見込みで、人流データを活用した混雑の可視化と分散誘導、バスなど二次交通の利便性向上、マナー啓発などに活用しています。長野県も2026年6月から宿泊税の施行を開始しました。インバウンドを増やすことばかりに力を注いできた観光政策の方向性そのものが問われています。
宿泊税の使途を観光公害対策に明確に紐づけ、渋滞・ごみ・騒音の解消に確実に充当することを制度に明記することが強く求められます。観光客数の増加を誇るだけでなく、住んでいる人が安心して生活できる地域づくりのビジョンを示すことが、今の和歌山県に問われています。
「インバウンドを増やすばかりで観光公害の対策はいつも後回し。宿泊税を取るなら必ず住民のために使ってほしい」
「観光客に合わせて公共交通が混んで通勤もできない。住民の日常生活を守る財源として宿泊税を早く活用すべきだ」
まとめ
- 和歌山県の観光振興財源検討部会が2026年6月の第2回会合で宿泊税の制度設計論点を整理。2028年度の導入を目指す。
- アンケートでは税額「100円以上200円未満」が7割。税額設定は一律定額・宿泊料金別定額・定率の3案。
- 白浜町は200円〜1000円の4段階の条例案を審議中。12歳未満免除、2027年3月施行を目指す。
- 和歌山市・田辺市・高野町・那智勝浦町も宿泊税を検討中。
- 全国では2026年に約30自治体が新たに宿泊税を導入し、約50自治体規模へ急拡大。
- インバウンド増加の恩恵は一部の観光事業者に偏り、大多数の住民は渋滞・ごみ・騒音などの観光公害に苦しんでいる。
- 観光客増加によるコストが住民の税負担として跳ね返る不公平構造を宿泊税で解消することが急務。
- 宿泊税の使途を観光公害対策に明確に紐づけ、住民生活の保護を最優先とすることが求められる。
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