部活遠征バス事故が問う子どもの命——和歌山市が注意喚起、全国で再発防止策急務

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部活遠征バス事故が問う子どもの命——和歌山市が注意喚起、全国で再発防止策急務

2026年5月6日、福島県郡山市の磐越自動車道で、新潟市の北越高校ソフトテニス部の男子生徒20人を乗せたマイクロバスがガードレールに衝突し、3年生の稲垣尋斗さん(17)が亡くなりました。この事故を受け、和歌山市は市立小・中学校の校長会でクラブ活動の遠征に関する安全対策を注意喚起しました。問題の根底には、コスト削減を優先したとみられる白ナンバーのレンタカー使用や2種免許不所持の運転手の起用など、生徒の命を軽視した管理体制の甘さが浮かび上がっています。文部科学省や国土交通省も再発防止策の検討に乗り出しており、全国の学校関係者に衝撃を与えています。

17歳の命が奪われた日——事故の全容と問題の構造


2026年5月6日午前7時40分ごろ、福島県郡山市内の磐越自動車道上り線で、北越高校(新潟市)のソフトテニス部員20人と運転手を乗せたマイクロバスが衝突緩衝具(クッションドラム)とガードレールに突っ込む事故が発生しました。

後ろの窓から車外に投げ出された稲垣尋斗さん(17)が失血死により死亡し、運転手や生徒、後続のワゴン車の搭乗者を含む計26人が重軽傷を負いました。

68歳の運転手は、事故の5日前にも追突事故を起こしていたほか、数カ月前から物損事故を5、6回繰り返しており、椎間板ヘルニアと痛風を患い、運転能力が衰えていた可能性があります。さらに、旅客運送に必要な「2種免許」を持っておらず、車両は事業用の緑ナンバーのバスではなく、自家用車と同じ白ナンバーのレンタカーでした。

バスを手配したのは、バス運行会社「蒲原鉄道」(新潟県五泉市)の営業担当者とされており、バスの契約書では北越高校が借受人となっていました。学校側とバス会社側は責任の所在について主張が平行線をたどっており、真相解明は現在も続いています。

遠征に行った子どもが帰ってこなかった。安全だと思っていた部活動でなぜこんなことが起きるのか、怒りと悲しみで言葉が出ない

和歌山市が校長会で注意喚起——申請書1週間前提出を徹底


この事故を受け、和歌山市は市立小・中学校の校長会でクラブ活動などの遠征に関し、安全に留意するよう注意喚起しました。

市教育委員会によると、「県外」または「宿泊を伴う」遠征の場合、承認申請書を1週間前までに提出するよう各校に求めています。2025年度の承認申請件数(市立和歌山高校含む)は164件で、交通手段の内訳は保護者の送迎が77件、公共交通機関が58件、借り上げバスが29件でした。幸いにも、事故や交通違反の報告はなかったといいます。

承認申請書には参加人数、使用交通機関、引率者数、保護者負担、クラブの日程表などを記入し、市教委が内容を確認します。これまでに参加人数に対して引率者が少ないのではないかなどの指摘を数件行ったこともあります。尾花正啓市長は「今後どういった安全対策を取れるか、文部科学省での検討を受けてしっかりやっていきたい」と述べました。

1週間前に申請書を出せばそれで安全になるのか疑問です。バスの運転手の資格確認まで学校ができるかどうか、仕組みとして整える必要があります

国も動いた——文科省・国交省が連携して再発防止策を検討


事故の重大性を受け、国も対応に動き始めています。金子恭之国土交通相は2026年5月12日の記者会見で、「将来ある生徒が悲惨な事故で亡くなることが二度と起きないよう、学校教育活動における移動時の安全確保について、どのような対策が効果的か文部科学省と検討する」と語りました。

文部科学省の松本洋平大臣も2026年5月12日の記者会見で、磐越自動車道のバス事故を受け、「学校外活動における安全管理対策について一体的な対策を検討するよう関係局長に指示する」と述べました。

今回の事故の背景として際立つのは、コスト面を優先する慣行が子どもの安全よりも上に置かれていた可能性です。正規の貸し切りバスではなくレンタカーを利用した場合、旅客運送の許可を持たない白ナンバー車での有償運送は道路運送法違反に問われる可能性があります。生徒の命を守るための法令遵守は最低限の義務であり、費用節減を理由に安全を妥協することは絶対に許されません。

コスト削減のために子どもの命がないがしろにされた疑いがあるなら、徹底的に調査して責任を明確にしてほしい

問われる「構造的問題」——全国の学校と保護者に広がる不安


今回の事故は和歌山市だけの問題ではありません。部活動の遠征費用を抑えるため、正規の貸し切りバスではなく保護者の車や無許可業者の車両を使うケースは全国的にも見受けられます。学校現場では交通費の予算が限られているという現実があり、その「あいまいさ」の中でリスクが見過ごされてきた側面があります。

部活の遠征費がかかりすぎると言われてきた。でも安全にかかるコストは削ってはいけない。本末転倒です

文部科学省と国土交通省による制度整備は急務ですが、各自治体が和歌山市のように独自の点検・確認の仕組みを運用することも重要です。申請書の提出義務化に加え、交通手段の適法性確認(緑ナンバーか白ナンバーか)や運転者の免許種別確認まで踏み込んだ基準の整備が求められます。稲垣さんの命が無駄にならないよう、全国で実効性のある再発防止策を早急に構築しなければなりません。

まとめ


  • 2026年5月6日、磐越自動車道で北越高校ソフトテニス部の遠征中のマイクロバスが事故を起こし、3年生・稲垣尋斗さん(17)が死亡、計26人が重軽傷を負った。
  • 運転手は68歳で2種免許不所持、事故5日前に追突事故を起こしていた。車両は白ナンバーのレンタカーであり、道路運送法違反に当たる可能性を国土交通省が調査中。
  • 和歌山市は市立小・中学校の校長会で遠征の安全対策を注意喚起。2025年度の承認申請は164件で、事故・交通違反の報告はなかった。
  • 承認申請書は「県外」や「宿泊を伴う」遠征の場合、1週間前までに提出が義務付けられており、引率者の人数なども確認される。
  • 国土交通相・文部科学相ともに2026年5月12日の会見で再発防止策の検討を表明。文科省は関係局長に一体的な対策の検討を指示。
  • 費用削減を優先して安全を軽視する慣行への批判が高まっており、全国的な制度整備と実効性ある点検体制の構築が急務。

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2026-05-20 13:40:22(植村)

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