第3号被保険者制度、見直し論議へ:嘉田氏「昭和の遺物」と指摘、政府は「議論深める」

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第3号被保険者制度、見直し論議へ:嘉田氏「昭和の遺物」と指摘、政府は「議論深める」

嘉田氏が「第3号被保険者制度」を「昭和の時代の働き方、保険の在り方」であり、「時代遅れ」だと断じた背景には、制度が現代の多様なライフスタイルや価値観にそぐわないという問題意識がある。

参議院決算委員会において、日本維新の会の嘉田由紀子氏が、会社員の扶養に入り自身で保険料を納めずに年金を受け取れる「第3号被保険者制度」の見直しを求めた。これに対し、厚生労働大臣の上野賢一郎氏は「議論を深めていきたい」と応じた。このやり取りは、現代の社会状況にそぐわなくなってきたとも指摘される年金制度の一部を、今後どのように見直していくのか、その議論の端緒となる可能性を示唆している。

女性活躍推進と年金制度の課題


嘉田氏は、女性の労働参画の重要性を強調する立場から質問を行った。世界的な傾向として、女性の有業率が高い国ほど出生率も高いというデータがあることを指摘した。さらに、結婚や出産を経てフルタイムの仕事に復帰した女性は、そうでない女性と比較して生涯収入が約2億円も高くなるという試算もあるとし、こうした現実を若い世代に知ってもらいたいと訴えた。

これは、単に女性の経済的自立を促すだけでなく、少子化対策にも繋がるという認識を示している。現代社会において、女性がキャリアを継続しやすい環境整備は、経済成長と社会の持続可能性のために不可欠であるとの考えが背景にある。その上で、既存の年金制度が、こうした現代的な要請と必ずしも合致していないのではないか、という問題提起がなされた形だ。

「昭和の制度」との指摘、その根拠


嘉田氏が「第3号被保険者制度」を「昭和の時代の働き方、保険の在り方」であり、「時代遅れ」だと断じた背景には、制度が現代の多様なライフスタイルや価値観にそぐわないという問題意識がある。嘉田氏は、制度の見直しを支持する有識者の意見として、次のような点を紹介した。

「配偶者控除と第3号年金が女性の労働参加の足を引っ張っている。高度経済成長時代のシステムで時代遅れだ」
「専業主婦で制度を使っている人は、どちらかというと都会の夫の所得が高いところだということで、この制度が結果的には地方の貧しい共働き層から相対的に豊かで少数の専業主婦世帯に所得移転をするという、非合理的な社会的差別だ」

これらの意見は、現在の第3号被保険者制度が、結果的に女性の就労意欲を削ぎ、経済的な自立を妨げている側面があることを示唆している。また、所得の高い層ほど恩恵を受けやすい構造になっているという指摘は、社会保障制度のあるべき姿、すなわち、より必要としている層へ適切に資源が配分されるべきだという観点から、制度の公平性に疑問を投げかけるものだ。

嘉田氏は、こうした状況を踏まえ、「制度の見直しをして、結果的には、昭和の時代の働き方、保険の在り方から、一人ずつがフルタイムで働き貢献するという、現在の令和の時代の働き方に変えていく、その第一歩が制度の見直しだ」と主張した。これは、個々人が社会経済活動に主体的に関与することを前提とした、新しい時代の働き方や社会保障のあり方への転換を促すものと言えるだろう。個人の能力と貢献が正当に評価される社会への移行を求める声とも受け止められる。

政府・与党の検討状況と大臣の見解


厚生労働大臣の上野賢一郎氏は、嘉田氏の指摘に対し、慎重ながらも前向きな姿勢を示した。上野大臣は、まず、第3号被保険者制度の在り方の検討が、自民党と日本維新の会の連立政権合意に含まれていることに言及した。これは、制度見直しが政権としても一定の課題認識を持っていることを示している。

さらに、昨年成立した年金制度改革法においても、被用者保険の適用拡大を進めることで、第3号被保険者の対象者を段階的に縮小していく方針が盛り込まれていることを説明した。この方針は、より多くの人が自分で保険料を納める仕組みへと移行させることを意図している。

一方で、上野大臣は、第3号被保険者制度には「さまざまな属性の人が混在している」という複雑な実態があることを指摘した。そのため、単純な制度変更ではなく、まずは「実態を精緻に分析」する必要があるとの認識を示した。そして、連立政権合意の内容も踏まえつつ、「さまざまな論点についての国民的な議論を深めていきたい」と述べ、国民全体の理解と合意形成に向けた丁寧なプロセスを踏む考えを強調した。

第3号被保険者制度、見直しの論点


現在、第3号被保険者制度には、2024年度末時点で約641万人もの人が該当するとされている。この制度を見直すことは、多くの人々の生活に直接的な影響を与える可能性がある。

嘉田氏は、制度見直しには「抵抗は多いと思う」と認めつつも、「これは本当に昭和の時代の保険制度だ」と改めてその時代錯誤ぶりを指摘した。そして、「私はずっと一貫して1970年代から仕事と子育ての両立を目指してきた。きちんと一人ずつをフルタイムの働き手、そして家庭人として認めてもらえるような社会にしてほしい」と、個人の多様な生き方や働き方が尊重される社会への願いを込めて訴えた。

この問題は、単なる年金制度の改正にとどまらず、女性の社会進出をさらに促進し、より公平で活力ある社会を築くための重要なステップとなり得る。制度の維持・廃止、あるいは改変といった様々な選択肢が考えられるが、いずれにしても、国民一人ひとりの実情に即した、より合理的で持続可能な制度設計に向けた、本格的な議論が求められていると言えるだろう。

まとめ


  • 参議院決算委員会で、日本維新の会・嘉田由紀子氏が「第3号被保険者制度」の見直しを要求。
  • 嘉田氏は、同制度を「昭和の時代の働き方」であり、「女性の労働参加の足かせ」となっていると批判。
  • 制度は、所得の高い専業主婦世帯に恩恵が偏り、地方の共働き世帯との間に不公平を生んでいるとの指摘を紹介。
  • 厚生労働大臣・上野賢一郎氏は、「議論を深める」と応じ、政権合意や年金改革法の方針に触れつつ、実態分析と国民的議論の必要性を強調。
  • 同制度には約641万人が該当しており、見直しは社会全体に大きな影響を与える可能性がある。
  • 個人の多様な生き方や働き方が尊重される社会への転換を目指す議論として注目される。

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2026-06-01 18:31:45(櫻井将和)

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