2026-05-20 コメント投稿する ▼
米軍HIMARS、静岡・東富士演習場で国道越え訓練実施 住民の懸念も浮き彫りに
2026年5月20日、静岡県に位置する陸上自衛隊東富士演習場において、在日米海兵隊による長射程・高機動ロケット砲システム「HIMARS(ハイマース)」の射撃訓練が実施されました。 この訓練は、演習弾が公道である国道469号線の上空を通過するという、地域住民の安全にかかわる要素を含んでおり、訓練時間中には当該区間の一部が通行止めとなる事態も発生しました。
緊迫の訓練風景
富士山の雄大な自然に囲まれた東富士演習場は、日米両軍が相互運用性を高め、実戦的な能力を維持・向上させるための重要な訓練場です。この日、訓練に参加した米海兵隊員たちは、最新鋭のHIMARSシステムを運用し、約8キロメートル先の目標に向けて演習弾を発射しました。発射の瞬間、HIMARSから放たれる閃光は、冬の澄んだ空気を切り裂くかのように鮮烈で、その軌跡は霊峰富士のシルエットを背景に、異様な光景を作り出しました。数秒遅れて響き渡った「バーン」という爆音は、演習場一帯を揺るがし、参加者たちの緊張感を一層高めました。訓練では、一発撃つごとに目標の着弾を確認するかのように、約10秒間隔で次々と演習弾が発射される場面も見られ、その破壊力と即応性が実証されました。訓練当日は、当初予定されていた午前中の開始時刻になっても射撃が始まらず、安全確認のため一時延期されるという経緯がありました。最終的に午後に訓練は再開され、合計12発の演習弾が撃ち込まれました。
「HIMARS」とは何か
今回、訓練の主役となったHIMARSは、アメリカが開発した「高機動ロケット砲システム」の略称です。このシステムは、軽量化された多連装ロケット砲システムを、装輪式車両に搭載したもので、その最大の特徴は、長射程と高い精密射撃能力にあります。従来の火砲システムと比較して、はるかに遠距離の目標を正確に狙うことが可能です。また、自走能力を備えているため、一度発射地点から迅速に移動でき、敵からの反撃を回避しやすくなっています。こうした高い機動性と攻撃力から、HIMARSは近年の軍事紛争において、敵のミサイル発射拠点、集積所、指揮通信施設などを早期に無力化するための切り札として、その重要性を増しています。東富士演習場における米軍によるHIMARSの実弾射撃訓練は、昨年2025年10月に実施された訓練に続き、今回で2度目となります。
日米の戦略と地元・住民の反応
米軍は、HIMARSのような先進的な兵器システムを用いた日本国内での訓練を継続することで、日米同盟の抑止力および対処力を一層強化できるという戦略的見解を示しています。特に、東アジア地域における安全保障環境が厳しさを増す中、こうした実効性のある訓練は、同盟国の連携と意思を示す上で不可欠であるとの認識です。しかし、今回の訓練は、演習弾が地域住民の生活道路である国道469号線の上空を通過するという、安全保障上の必要性と、地域住民の生命・財産を守るという原則との間で、重大な課題を提起しました。東富士演習場における国道越えの射撃訓練については、過去、地元自治体や住民の代表者たちが、安全確保を最優先事項とし、米軍および自衛隊に対し、年間2回以内といった厳格な制限を設けることで、限定的な実施を認めてきたという経緯があります。今回の訓練は、こうした過去の合意や、住民が抱く潜在的な不安に、改めて光を当てる形となりました。
安全への懸念と訓練の実施
訓練当日の午前中、予定されていた射撃開始時刻を過ぎても訓練が始まらず、一時延期となった背景には、米軍側からの「安全が十分に確認できなかった」という説明があったと報じられています。このような安全確認の徹底は、いかなる軍事訓練においても最低限求められるべき姿勢ですが、公道上空を演習弾が通過する訓練においては、地域住民の不安を完全に解消するには不十分であるとの声が、訓練実施前から地元関係者の間で聞かれていました。万が一、演習弾が予定軌道を外れたり、不慮の事故が発生したりした場合、その影響は計り知れません。防衛省や静岡県、さらには演習場周辺の自治体は、米軍および自衛隊に対し、訓練の安全性確保策のさらなる強化、地域住民への透明性の高い情報提供、そして訓練実施に向けた事前の丁寧な合意形成プロセスを、一層厳格に求めていく責任があると言えるでしょう。
まとめ
今回の米軍によるHIMARS射撃訓練は、日米の安全保障戦略における装備の重要性を示す一方、公道上空を通過する訓練に対する地元住民の懸念を改めて浮き彫りにしました。
- 訓練は2026年5月20日、静岡県・東富士演習場で実施され、米海兵隊がHIMARSを用いた。
- 演習弾が国道469号線上空を通過し、訓練中は一部区間が通行止めとなった。
- HIMARSは長射程・高機動性を備えた最新兵器であり、現代戦での重要性が増している。
- 米軍は抑止力強化を目的とする一方、地元では安全面での懸念が根強く、過去には条件付きでの実施が認められていた。
- 訓練当日は安全確認のため一時延期されるなど、安全確保と地域合意形成が重要な課題となっている。