2026-07-27 コメント投稿する ▼
沖縄県知事選、告示まで1カ月:玉城デニー氏に逆風、保守分裂の三つどもえで混沌
こうした中、保守勢力の間では候補者の一本化が進まず、元那覇市副市長の新人・古謝玄太氏(42)と、政界引退を撤回して出馬した元衆院議員・下地幹郎氏(64)がそれぞれ支持拡大を目指しています。 しかし、この辺野古移設問題が、玉城氏にとってかつてない逆風となっています。
「オール沖縄」に吹き荒れる逆風
現職の玉城デニー知事は、2期8年の実績を強調し、「誰一人取り残さない優しい社会、平和で誇りある豊かな沖縄」の実現を訴えています。特に、基地のない平和な島づくりを公約に掲げ、辺野古移設問題で政府と対立してきました。しかし、この辺野古移設問題が、玉城氏にとってかつてない逆風となっています。
移設工事を巡る国と県との法廷闘争は、県側の敗訴という形で終結し、工事は着実に進んでいます。この状況は、辺野古移設反対で結集してきた「オール沖縄」の求心力低下に繋がっているようです。実際、今年1月の名護市長選や続く衆議院議員総選挙では、沖縄県内の全選挙区で「オール沖縄」系の候補者が敗北を喫するなど、その退潮ぶりは顕著です。
こうした厳しい情勢を反映してか、玉城氏は今回の選挙戦で「オール沖縄」の看板を前面に押し出すことを避けているとの指摘もあります。さらに、追い打ちをかけるように、今年1月には辺野古沖で抗議活動に使用されていた船2隻が転覆し、高校生2人が亡くなる痛ましい事故が発生しました。この事故を巡り、船を運航していた抗議団体と玉城知事との関係性や、事故後の知事の言動に対して、インターネット上を中心に批判の声が高まっています。オール沖縄関係者からは「今回は本当に厳しい」「このまま選挙に突入するのが怖い」といった悲鳴にも似た声が聞かれます。
保守勢力、足並みの乱れ顕著に
一方、玉城知事に対抗する保守勢力も、一枚岩とは言えない状況です。自民党が全面的な支援を表明しているのは、元那覇市副市長の古謝玄太氏です。古謝氏は、辺野古移設を容認する立場を明確にしており、経済界からの強い支援を受けています。「県民所得や観光消費の倍増」といった具体的な経済政策を公約に掲げています。国政では野党である国民民主党や参政党からも推薦を受けており、さらには自民党との連立政権から離脱した公明党の県本部も、古謝氏への推薦を検討している模様です。国民民主党の榛葉賀津也幹事長が「古謝チームが『オール沖縄』になっている」と語るように、幅広い支持層の取り込みを目指しています。
しかし、その一方で、自民党関係者からは「(古謝氏の)陣営の一部後援会が、あまり力を入れていないようだ」といった結束の乱れを懸念する声も漏れています。また、古謝氏自身の知名度不足も、今後の選挙戦における大きな課題となりそうです。本来であれば、保守系の有力候補が一本化され、玉城知事に対抗する構図が理想ですが、現時点ではその足並みの乱れが目立っているのが実情です。
第三極・下地氏の参戦で様変わりする構図
こうした保守分裂の状況に、さらなる混沌をもたらしたのが、元衆院議員の下地幹郎氏(64)の出馬表明です。下地氏はかつて政界引退を表明していましたが、これを翻しての立候補となりました。
下地氏が掲げる公約は、既存の候補者とは一線を画すものです。辺野古移設については、軟弱地盤の問題などを理由に現行計画の見直しを主張し、新たな軍民共用空港の整備を提唱しています。さらに、那覇市中心部に位置する米軍那覇港湾施設(那覇軍港)の浦添沖への移設問題についても、容認の姿勢を示す玉城氏、古謝氏両氏とは異なり、明確に反対の立場を表明しました。
下地氏は、保守層を中心に一定の支持基盤を持つとみられており、当初は古謝氏の票を食う存在になると予想されていました。しかし、那覇軍港移設反対という、共産党などが主張してきた政策を打ち出したことで、その影響は予想以上に広がっています。オール沖縄関係者の一人は、「下地氏の出馬で、玉城候補の票も読めなくなった」と頭を抱えています。
下地氏を支えてきた実兄で、県内建設大手「大米グループ」会長の下地米蔵氏が、今回は古謝氏への支持を表明していることも、票の行方をさらに不透明にしています。下地氏が保守層だけでなく、どのような層から支持を集めるのか、その動向が注目されます。
混迷深まる「沖縄政治の天王山」
告示まで1カ月となった沖縄県知事選は、現職の玉城氏、自民党などが支援する古謝氏、そして第三極として名乗りを上げた下地氏という、三つどもえの選挙戦の様相を呈しています。立候補を表明しているのは、この3氏に加え、会社代表の新人・比嘉隆氏(49)らもおり、計4名以上が激戦を繰り広げる可能性が出てきました。
興味深いのは、玉城氏と古謝氏の双方が、政党色を前面に出さず「県民党」を掲げている点です。しかし、その実態は異なり、それぞれが抱える支援基盤や政策の違いが、有権者の判断を左右することになるでしょう。
いずれの候補者陣営も、票の取りまとめに躍起になっていますが、現時点ではどの候補者も盤石な支持基盤を築いているとは言えません。特に、下地氏の出馬によって、保守層の票がどう動くのか、さらにはこれまで「オール沖縄」を支えてきた層の一部にまで影響が及ぶのかどうか、票の流れは極めて読みにくくなっています。
この選挙は、辺野古移設問題への県民の意思が改めて問われるだけでなく、沖縄の政治勢力図を占う上でも極めて重要な意味を持つ「天王山」となるでしょう。告示が近づくにつれ、各陣営の戦略や候補者同士の攻防はさらに激しさを増すことが予想され、沖縄の有権者の選択が注目されます。
まとめ
- 沖縄県知事選の告示まで1カ月。
- 玉城デニー氏に逆風が吹き、保守分裂の構図が鮮明に。
- 古謝玄太氏と下地幹郎氏がそれぞれ支持拡大を目指す。
- 選挙は沖縄の政治勢力図を占う重要な意味を持つ。