2026-09-09 コメント投稿する ▼
「ケアプー」導入率、介護支援と通所で6割超もサービス間で格差
介護支援システム「ケアプー」の導入が、居宅介護支援事業所や通所介護事業所では6割を超え、広く浸透しつつあります。 居宅介護支援や通所介護で6割を超えているのに対し、訪問看護ステーションや訪問介護事業所など、利用者の自宅などを訪問してサービスを提供する事業所では、導入率がこれよりも低い状況にあると報じられています。
「ケアプー」利用拡大の背景
介護支援システム「ケアプー」は、ケアプラン作成支援や請求業務、記録作成などを一元管理できるクラウドサービスです。特に、居宅介護支援事業所では、ケアマネジャーが作成するケアプランの標準化や、多職種との情報共有の円滑化が求められています。また、通所介護事業所では、利用者の個別支援計画の作成や、介護報酬請求(レセプト)業務の効率化が重要です。
ケアプーのようなシステムは、これらの業務負担を軽減し、より質の高いケアの提供に集中できる環境を整える可能性があります。事実、介護報酬改定においても、業務効率化や記録の標準化を推進するため、ICT導入へのインセンティブが付与される動きもあります。こうした制度的な後押しや、業務効率化への期待感から、居宅介護支援や通所介護といった、ケアプラン作成や請求業務が中心となる事業所を中心に導入が進んだと考えられます。導入率が6割を超えるという事実は、これらの事業所において、ケアプーが業務に不可欠なツールとして定着しつつあることを示唆しています。
サービス種別による導入率の差とは
一方で、ケアプーの導入率は、事業所の種類によって大きなばらつきが見られます。居宅介護支援や通所介護で6割を超えているのに対し、訪問看護ステーションや訪問介護事業所など、利用者の自宅などを訪問してサービスを提供する事業所では、導入率がこれよりも低い状況にあると報じられています。
この格差は、単にシステム導入の進捗度の違いだけにとどまりません。介護保険制度下では、多様なサービスが連携し、利用者を包括的に支援することが求められています。しかし、サービス種別によって利用するシステムが異なったり、そもそもICT化が進んでいなかったりすると、事業所間の情報共有が円滑に進まず、結果として利用者のケアプランが分断されたり、必要なサービスが迅速に提供されなかったりするリスクが生じます。
ICT導入が進まない訪問系サービスの事情
訪問系の介護サービスでケアプーのようなシステムの導入が進みにくい背景には、いくつかの要因が考えられます。まず、訪問系サービスでは、事業所内の事務作業よりも、利用者宅での直接的なケアに多くの時間が割かれます。そのため、限られた人員や時間の中で、新たなシステムの導入・運用にまで手が回りにくいという実情があります。
また、訪問先ごとに異なる環境や、移動時間中の情報記録の必要性など、訪問系サービス特有の業務フローに適したシステムが求められます。既存のシステムが、必ずしもこれらのニーズに完全に対応できていない場合や、導入・運用にかかるコスト負担が大きいと感じる事業者も少なくないでしょう。さらに、事業所によっては、ITリテラシーの差や、導入・研修体制の不足が、ICT化を妨げる一因となっている可能性も指摘されています。これらの複合的な要因が、サービス種別による導入率の格差を生んでいると考えられます。
介護現場のDX推進、今後の展望
介護現場におけるICT化、いわゆる「DX(デジタルトランスフォーメーション)」は、労働力不足が深刻化する介護業界において、サービスの質を維持・向上させるための鍵となります。ケアプーのようなシステムの普及は、業務効率化に寄与する一方で、サービス種別間の格差は、地域包括ケアシステムの理念である「つながる」を阻害しかねません。
今後は、特定のサービスに特化したシステムだけでなく、訪問系サービスを含む多様な介護サービス事業所が連携しやすい、より汎用性の高いシステムの開発・普及が期待されます。また、国や自治体による導入支援策の拡充や、事業者へのICT活用に関する研修・サポート体制の強化も不可欠です。上野賢一郎厚生労働大臣も、介護分野におけるICT活用を推進する方針を示しており、利用者本位の質の高いケアを提供し続けるために、介護現場全体のデジタル化に向けた取り組みが、今後ますます重要になっていくでしょう。