2026-04-03 コメント: 1件 ▼
名護漁協が抗議船の辺野古漁港使用禁止を要請、名護市は届け出確認を回避
2026年3月16日の辺野古沖船転覆事故で2人が死亡した問題を受け、名護漁業協同組合(安里政利組合長)が名護市の渡具知武豊市長に対し、漁港関係者以外の漁港使用を「不許可」とするよう要請していたことが、2026年4月2日までに明らかになりました。事実上、抗議船の漁港使用を今後認めないよう求める内容です。一方で、抗議船「平和丸」「不屈」がこれまでに漁港使用の届け出を適切に行っていたのかどうか、名護市は「個人情報」を理由に明言を避けており、市の管理責任を問う声が高まっています。
「安全に重大な疑義がある」―地元漁協が初の要請
名護漁協が漁港関係者以外の漁港使用を認めないよう求める要請書を市に提出するのは、今回が初めてのことです。要請書は事故から10日後の2026年3月26日付で、「安全性に重大な疑義が生じている団体や船舶による利用を漫然と認め続けることは、漁港管理上も極めて問題が大きい」と指摘しています。
「若い命が失われる大事故が起きた。抗議には関知しないが、海上での抗議活動は危険なので本当にやめてほしい。漁業者も迷惑している」
安里組合長はこのように語りました。要請書はさらに「今後、漁港関係者以外の漁港の使用許可を行わないこと」を求め、「二度と同様の事故を発生させないためにも、漁港管理者としての責任ある対応を強く求める」としています。
今回転覆した「平和丸」と「不屈」を運航するヘリ基地反対協議会は、名護市が管理する辺野古漁港を拠点として出港していました。悪天候でなければ週6日、辺野古工事への抗議のために出航していたとされています。地元の漁業者からは以前から不満の声があり、辺野古区長も漁港周辺の違法駐車や施設の占有について「区民が迷惑している」と指摘していました。
届け出の有無を「答えられない」―名護市の不透明な対応
今回最も重大な問題の一つが、抗議船が漁港管理条例に基づく届け出を行っていたかどうかです。名護市漁港管理条例によると、辺野古漁港で船舶の上げ下ろしを行うには市への届け出が必要です。仮に無届けで漁港を使用していた場合、条例違反となり、5万円以下の過料の罰則が定められています。
「届け出もせずに漁港を使っていたなら、それ自体が法令違反だ。名護市は有耶無耶にせず、きちんと調査してほしい」
ところが名護市農林水産課はこの点について「個人情報なので答えられない」と明言を避けました。ヘリ基地反対協議会側は別の記者会見で「漁港使用届は名護市に提出している」と述べていますが、市はその確認をしようとしていません。また、抗議船の違法係留を市から複数回注意されていたとの指摘も地元から出ています。「個人情報」を理由に届け出の確認を拒むことは、漁港管理者としての名護市の責任を果たしているとは言えません。
「条例に基づき判断」は答えになっていない―名護市に求められる毅然とした対応
名護市農林水産課は漁協の要請について「漁港施設は漁業者が利用するために整備され、漁業者以外でも漁業者に支障が出ない範囲で利用できる。個別的な案件についてはそのつど確認した上で、条例に基づいて判断する」と回答しました。
「条例に基づいて判断するとは言うが、判断の中身を示さないなら意味がない。2人が亡くなった後でも同じ姿勢を続けるのか」
この回答は具体的な判断を先送りにしているに過ぎません。波浪注意報が出ていた中での出航、事業者登録なしでの旅客輸送、そして死亡事故という最悪の結果が出た後も、名護市が「漫然と」漁港使用を認め続けてきたという漁協の指摘を真摯に受け止めるべきです。
重なる法令違反の疑い―名護市は徹底調査を
今回の事故では、抗議船の法令上の問題が次々と明らかになっています。海上運送法では、有償・無償を問わず人を運送する場合は「内航一般不定期航路事業」として国への登録が義務付けられています。しかしヘリ基地反対協議会はこの登録を行っていませんでした。これは2022年の知床遊覧船沈没事故を受けた法改正でも求められているルールです。
「法の網を潜り抜け、市の施設を使い続け、学生を乗せて事故を起こした。名護市には漁港管理者として徹底した調査と説明責任がある」
漁港の届け出問題、事業者登録の問題、出航判断の問題と、複数の法令違反の疑いが重なっています。名護市は「個人情報」を盾に情報を隠すのではなく、漁港管理条例に基づく届け出の有無を速やかに調査・公表し、条例違反があれば適切に対処することが求められます。漁港は税金で整備された公共施設です。その適正な管理は行政の基本的な責務です。
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まとめ
- 名護漁協が2026年3月26日付で名護市長に「漁港関係者以外の漁港使用を不許可に」と要請(漁協初の要請)
- 漁協は「安全性に重大な疑義がある団体の利用を漫然と認め続けることは漁港管理上問題が大きい」と指摘
- 抗議船「平和丸」「不屈」は辺野古漁港を拠点に週6日出港していた
- 名護市漁港管理条例では船舶の上げ下ろしに届け出が必要で、無届けなら5万円以下の過料
- 名護市農林水産課は届け出の有無について「個人情報なので答えられない」と明言を避けた
- ヘリ基地反対協議会は「漁港使用届は名護市に提出している」と別会見で述べているが市は確認せず
- 抗議船の違法係留で市から複数回注意されていたとの地元からの指摘もある
- 抗議船は海上運送法に基づく事業者登録も未実施で、2022年知床事故後の法改正ルールにも抵触の疑い
- 名護市は「条例に基づき判断する」と回答するが、具体的な判断を示していない
- 漁港は公共施設であり、名護市には届け出の有無の調査・公表と厳正な対処が求められる