2025-04-21 コメント投稿する ▼
維新が旧姓通称使用の法制化へ 選択的夫婦別姓とは異なる新制度を提示
維新、旧姓通称使用の法制化へ法案要綱判明 選択的夫婦別姓とは一線
日本維新の会が今国会への提出を検討している旧姓の通称使用の法制化に向けた法案の要綱が明らかになった。21日、維新関係者が明らかにした。
この法案は、婚姻前の姓を通称として戸籍に記載し、法的効力を持たせる新たな制度を設けるものである。一方で、戸籍制度は維持され、選択的夫婦別姓の導入とは一線を画す内容となっている。
要綱では、戸籍制度について「日本国民としてのアイデンティティーの観点からも非常に重要」と明記し、旧姓使用の法定化で改姓による不利益・不都合の解消を図ると強調している。
具体的には、結婚前の姓を通称として使用することを希望する場合は戸籍にその通称を記載し、住民票やマイナンバーカード、パスポートなどに旧姓の使用を可能にする措置も行うとしている。
維新は吉村洋文代表(大阪府知事)ら幹部が選択的夫婦別姓の導入に前向きな考えを示してきたが、党内では導入への反対論が根強い。
吉村氏らとしては旧姓の通称使用の法制化を進め、党内の結束を高める狙いもあるとみられる。
経済界の反応と課題
経済界では、旧姓の通称使用に対する法的整備を求める声が高まっている。経団連は2024年6月、選択的夫婦別姓制度の早期導入を政府に提言し、旧姓の通称使用の拡大だけでは解決できない課題が多いと指摘している。
例えば、旧姓での口座開設が認められない金融機関が約3割存在し、証券会社もほとんど旧姓名義の口座開設に対応していない。
また、通称使用は日本独自の制度であり、海外では理解されづらく、不正を疑われるなどのトラブルの種になることもある。
これらの問題は、女性の社会進出やキャリア形成において大きな障壁となっており、企業経営の視点からも無視できない重大な課題である。
世論と法制度の動向
近年の世論調査では、選択的夫婦別姓について7割以上の支持が集まっている。
法務省の諮問機関である法制審議会は1996年に選択的夫婦別姓の導入を答申したが、自民党の保守系議員らの反対を受け、国会提出は見送られた。
最高裁は2015年と2021年に夫婦同姓を定めた民法について「合憲」と判断したが、制度のあり方は「国会で論ぜられ、判断する事柄」とし、国会での議論を促している。
このような背景から、旧姓の通称使用の法制化は、選択的夫婦別姓の導入に向けた一歩として注目されている。
維新の法案が成立すれば、旧姓の通称使用に法的効力が与えられ、住民票やマイナンバーカード、パスポートなどへの旧姓の記載が可能となる。これにより、改姓による不利益や不都合の解消が期待される。一方で、通称使用は法律上の姓ではないため、完全な解決には至らないとの指摘もある。今後、国会での議論が進む中で、選択的夫婦別姓の導入を含めた包括的な制度改革が求められる。