2025-04-19 コメント投稿する ▼
公約「多様性」の象徴に点字ブロックがない──大阪万博の“未来社会”に問われる想像力と配慮
「多様性の象徴」のはずが…大阪万博の大屋根リング、点字ブロック未整備に失望の声
4月13日に開幕した大阪・関西万博。テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。多様性と包摂を掲げ、誰もが楽しめる未来社会の姿を体現する舞台だ。しかし、その象徴ともいえる「大屋根リング」で、視覚障害者への配慮が欠けている現実が明らかになった。
視覚障害者の来場者が直面した「想定外」
万博会場を取り囲む、直径約615メートル、全長2キロの木造回廊「リング」。世界最大級の木造建築物として注目を集めているが、視覚障害者の記者が歩いた際、思わぬ問題に直面した。
誘導用の点字ブロックを頼りに歩いていたところ、最上段につながるスロープの手前で、そのブロックが突如途切れていたという。スロープの入り口には警告用の点状ブロックが敷かれていたが、どこへ進むべきかを示す誘導はなかった。目の見える同行者が教えてくれるまで、本人にはその先が分からなかった。
リングは円形構造のため、今どこにいるのかを把握するのも難しい。点字による現在地表示や音声案内も設けられておらず、視覚障害者にとっては「迷子になったような感覚」だったという。
バリアフリー対応は「理念倒れ」か
万博協会はバリアフリー対策として、車椅子利用者のためのエレベーター設置や、視覚障害者向けの触地図や音声案内アプリの導入を打ち出している。実際、公式サイトにはバリアフリーマップやユニバーサルデザインに関するページも用意されている。
だが、現地の実装は十分とは言えない。点字ブロックが中途半端に終わっていたり、音声案内が機能していなかったりと、肝心な部分で障害者への配慮が抜け落ちている。
点字ブロックは1960年代の日本で生まれた発明だ。世界中に広がったこの「日本の優しさ」が、自国開催の万博で十分に活かされていない現状には、残念という声も多い。
「多様性」の実現に必要なのは想像力
大阪・関西万博は「多様でありながら、ひとつになる世界」を目指す場。しかし、そこには単なる設備以上に、「誰が、どうやってこの空間を歩くのか」という想像力が問われている。
障害者の視点に立って設計が行われていたなら、誘導ブロックの途切れや、情報提供の不足といった事態は避けられたはずだ。物理的な段差だけでなく、無意識の「意識の壁」がまだ存在しているのかもしれない。
万博協会の今後の対応に注目
万博協会は今回の指摘を受けて、追加対応を検討しているという。点字ブロックの再整備や音声案内の導入、また障害者団体との意見交換を通じた改善が進むことが期待される。
開幕したばかりの万博。今ならまだ軌道修正は可能だ。多様性と包摂を本気で実現するのであれば、「あと一歩」の想像力と行動が求められている。
この投稿は吉村洋文の公約「2025年大阪・関西万博の成功と大阪府と大阪市の連携強化」に関連する活動情報です。この公約は10点の得点で、公約偏差値35.8、達成率は0%と評価されています。