2026-03-09 コメント投稿する ▼
木原稔官房長官が備蓄石油放出報道を否定、原油価格は100ドル突破で高騰続く
木原稔内閣官房長官は2026年3月9日午前の記者会見で、政府がイラン情勢の悪化を受けて国家備蓄石油の放出を検討しているとの一部報道について、「国家備蓄石油の放出を決定した事実はない」と否定しました。一方、原油先物価格が日本時間9日早朝に1バレル100ドルを突破し、一時115ドル台を記録したことを受け、中東情勢による影響を認めながらも、政府内での検討状況については明言を避けました。
備蓄石油放出の報道を否定
木原稔内閣官房長官は3月9日午前の記者会見で、石油の国家備蓄放出を検討しているとの一部報道について「国家備蓄石油の放出を決定した事実はない」と明確に否定しました。
3月6日には一部報道で、政府がイラン情勢の悪化を受けて石油の国家備蓄を日本単独で放出することも視野に入れているとの情報が流れていました。1978年の制度創設後、日本が単独で国家備蓄を放出すれば初めてのケースとなるため、注目が集まっていました。
木原官房長官は日本の石油需要の現状について「直ちに影響が生じるとの報告は受けていない」と説明しました。その一方で、備蓄石油の放出に関しては「政府内での検討状況について逐一お答えすることは差し控える」と述べ、完全に否定することは避けました。
「石油備蓄放出は慎重に判断すべきだ」
「本当に放出しないのか、政府は情報を隠していないか」
「ガソリン価格が高騰する前に手を打ってほしい」
原油価格が100ドル突破
木原官房長官は、原油先物価格が指標となる米国産標準油種のWTIで日本時間9日早朝に1バレル100ドルを突破し、一時115ドル台を付けたことに関して「中東情勢を受けてより一層上昇傾向にある」との認識を示しました。
WTI原油先物価格が100ドルを突破したのは、ロシアによるウクライナ侵攻開始後の2022年7月以来、約3年8カ月ぶりのことです。2月28日に米国とイスラエルがイランへの軍事作戦を開始して以降、原油価格は急騰を続けています。
北海ブレント原油も一時28パーセント高の1バレル118.73ドルを記録し、原油輸送の要衝であるホルムズ海峡が事実上封鎖される中、供給不安が一段と強まっています。クウェートやアラブ首長国連邦は減産を開始し、イラクも主要油田で生産を停止する事態となっています。
木原官房長官は原油価格の高騰について「原油の価格や需給は中東情勢のみならず、さまざまな要因を踏まえ市場で決まる。日本経済に与える影響について現時点で予断を持ってコメントすることは差し控えたい」と述べるにとどめました。
「ガソリン代が跳ね上がって生活が苦しい」
「原油高で物価がまた上がるのでは」
日本の石油備蓄は254日分
日本には官民合わせて254日分の石油備蓄があります。内訳は政府が大半を原油状態で保有する国家備蓄が146日分、石油精製事業者がガソリンや重油などの在庫として保有する民間備蓄が101日分、産油国と日本が協力して国内で備蓄する産油国共同備蓄が7日分です。
石油元売り会社は政府に対して国家備蓄の放出を要請していることが、3月5日に明らかになっています。ホルムズ海峡の事実上の閉鎖により原油輸入の9割を超える中東産の供給不安が長期化する恐れが強まっており、石油業界は早期の決定を求めています。
過去には1991年の湾岸戦争や2011年の東日本大震災、リビア情勢の悪化時に民間備蓄を放出した実績がありますが、国家備蓄を使ったのは2022年のロシアによるウクライナ侵攻後に国際エネルギー機関と協調して実施した際が初めてでした。
赤澤亮正経済産業大臣は3月3日の記者会見で「石油備蓄法に基づく備蓄石油は価格抑制を目的としたものではない。あくまで石油の供給不足が生じる事態に備え、石油の安定的な供給を確保する目的で行っている」と述べ、現段階では放出する予定はないと強調していました。しかし、原油価格の急騰を受けて、経済産業省は石油元売り会社に対して石油流通や在庫量などに関する聞き取り調査を開始し、備蓄石油の市場放出に向けた準備を本格化させています。
木原官房長官は「状況を注視しつつ、引き続き日本のエネルギー安定供給確保に万全を期していく」と述べ、イラン情勢の推移を見極めながら対応する考えを示しました。