2026-07-10 コメント投稿する ▼
改正労災保険法が成立 白川容子氏が偽装請負対処と労働者性把握を要求
2026年7月10日、改正労働者災害補償保険法が参院本会議で可決・成立しました。遺族補償年金における夫への「55歳以上」という支給要件を撤廃し、1965年の制度創設から約60年続いた男女間の格差を解消します。また、これまで任意加入だった小規模農林水産事業者の労災保険加入を義務化し、フリーランスの特別加入団体の要件も法定化します。日本共産党の白川容子議員は参院厚生労働委員会で、農業現場における労働者性の的確な把握や偽装請負への厳しい対処を求めました。上野賢一郎厚生労働大臣は自己チェックシートの作成などを検討すると答弁しています。主な改正内容は2027年4月1日に施行される予定です。
遺族補償年金の男女差が60年ぶりに解消
2026年7月10日、改正労働者災害補償保険法(改正労災保険法)が参院本会議で可決・成立しました。今回の改正で最も注目されるのは、遺族補償年金の支給要件における男女差の解消です。
現在の制度では、労災で亡くなった人の配偶者が遺族補償年金を受け取る際、夫を亡くした妻は年齢に関係なく受給できます。一方、妻を亡くした夫は「55歳以上」か「一定の障害がある」という要件を満たさなければなりません。この仕組みは1965年の制度創設時に設けられたもので、当時は「夫が外で働き、妻が家庭を守る」という世帯モデルが前提でした。
しかし現在は共働き世帯が多数を占め、女性の労働参加や男女の賃金格差の縮小も進んでいます。改正法ではこの夫への年齢要件を撤廃し、約60年続いた男女間の格差をようやく解消します。また、55歳以上の妻に支給額を上乗せする「特別加算」も廃止し、給付水準の差もなくします。
「妻が亡くなったとき自分が54歳だったら年金もらえないって、知ったときは愕然としたよ」
「遺族年金に男女差があったなんて今まで知らなかった。改正されてよかった」
「共働きが当たり前の時代に60年前のルールが残ってたこと自体おかしい」
小規模農家の労災加入義務化と「労働者性」の課題
改正法のもう一つの柱は、小規模農林水産事業者への労災保険加入義務化です。これまで農業分野では、個人経営で常時雇用が5人未満の場合、労災保険への加入は任意とされてきました。しかし農業の現場では、機械を使う危険な作業が多く、担い手の高齢化や猛暑による熱中症リスクも年々高まっています。
農作業中の死亡事故は深刻な状況です。2024年の農作業死亡者数は287人で、前年から51人も増加しました。特に5月から9月の高温期には前年比で52人増えており、そのうち21人が熱中症によるものです。新規就農者の確保に向けて、安全な労働環境の整備は喫緊の課題といえます。
日本共産党(共産党)の白川容子議員は2026年7月9日の参院厚生労働委員会で、小規模農家では互いに労力を貸し合う慣行があり、「労働者かどうかの判断が困難」だと指摘しました。そのうえで「労働者性の的確な把握が重要」だとして、「Q&Aを作成するなど、労働者に該当するかどうかがわかるような周知が必要だ」と求めました。
上野賢一郎厚生労働大臣は「農業の就労形態は多種多様」だとしたうえで、「自己チェックシートの作成や配布など、わかりやすい対応を検討したい」と答弁しました。
フリーランス保護と偽装請負への懸念
改正法では、フリーランスなどの事業主が労災保険に加入する際の手続きを行う特別加入団体の要件を法定化します。2024年11月から、あらゆる職種のフリーランスが労災保険に特別加入できるようになりましたが、加入手続きを行う団体の基準は法律で明確に定められていませんでした。今回の法定化により、加入の仕組みがより安定したものになります。
一方で、白川容子議員はこの法定化に伴う新たなリスクを指摘しました。企業が雇用責任を回避するため、本来は労働者として雇うべき人を個人事業主として扱う「偽装請負」が発生しているという問題です。特別加入の仕組みが整うことで、企業が「フリーランスとして労災保険に入れるから問題ない」と偽装請負を正当化する懸念があるとして、「厳しく対処する必要がある」と迫りました。
上野賢一郎厚労相は、労働者性が疑われる場合には、特別加入団体に対して「労働基準監督署への相談を促すことなどの対応を検討している」と答えました。
「フリーランスになったけど実態は会社員と変わらない。労災だけ自腹って理不尽すぎる」
「偽装請負って本当に増えてる。名ばかりフリーランスの問題、もっと取り上げてほしい」
改正法の主な内容は2027年4月1日に施行される予定です。農林水産業の労災保険に関する暫定措置の廃止については、公布日の2026年7月17日から5年以内に施行されます。判断が難しい疾病に関する保険給付の請求期間の延長や、社会復帰促進等事業に関する不服申立ての審査請求先の見直しなども盛り込まれています。
働く人の安全を守る制度は、時代とともに見直されなければなりません。フリーランスやギグワーカーなど多様な働き方が広がるなか、「労働者性」をどう判断し、すべての働く人をどう保護するかが今後ますます問われていきます。
まとめ
- 改正労災保険法が2026年7月10日に参院本会議で成立した
- 遺族補償年金の夫への「55歳以上」要件を撤廃し、約60年ぶりに男女差を解消する
- 小規模農林水産事業者の労災保険加入を義務化する
- フリーランスの特別加入団体の要件を法定化する
- 白川容子議員は農業現場での「労働者性の的確な把握」と偽装請負への厳しい対処を要求した
- 上野賢一郎厚労相は自己チェックシートの作成や監督署への相談促進を検討すると答弁した
- 主な改正内容は2027年4月1日に施行予定である