2026-06-16 コメント投稿する ▼
介護保険法改定案「特定地域」で介護の質に格差か 白川容子議員が参院厚労委で追及
2026年6月16日、参議院厚生労働委員会で介護保険法等改定案の参考人質疑が行われました。改定案は中山間地や人口減少地域を「特定地域」に指定し、介護サービスの人員配置基準の緩和や、要介護認定者向けの在宅サービスを保険給付から市町村事業へ移行できる仕組みを盛り込んでいます。公益社団法人「認知症の人と家族の会」の志田信也副代表理事は、職員の負担増やサービスの質の低下を懸念し、全国一律の公平な給付の維持を求めました。日本共産党の白川容子議員は、住む場所によって介護の内容が変わる危険性を厳しく指摘しました。介護職員の深刻な人手不足が続くなか、基準緩和ではなく介護報酬の引き上げや国の公費負担の拡大こそ必要だという声が上がっています。
「特定地域」創設で介護サービスはどう変わるのか
2026年6月16日、参議院厚生労働委員会で介護保険法等改定案についての参考人質疑が行われました。この改定案は、都道府県が条例によって中山間地や人口減少地域を「特定地域」に指定し、介護事業所の人員配置基準を緩和できるようにするものです。
さらに、「特定地域」では月単位の定額報酬の導入も可能になります。加えて、要介護認定を受けた人への在宅介護サービスを、これまでの介護保険の給付から切り離し、市町村が独自に運営する「特定地域居宅サービス等事業」として実施できる仕組みも盛り込まれています。この事業には人員配置基準の定めがなく、サービスの質が自治体の裁量に大きく左右される恐れがあります。
改定案は2026年5月26日に衆議院本会議で賛成多数により可決され、現在は参議院で審議が進んでいます。政府は、2050年までに人口が半減する市町村が全体の約3割にあたる558に達するという推計を背景に、過疎地でも介護サービスを維持するための効率化が必要だと説明しています。
認知症家族の会が「公平な給付の維持」を強く要望
この日の参考人質疑では、公益社団法人「認知症の人と家族の会」の志田信也副代表理事が意見を述べました。志田氏は、事業者の職員を減らさず必要な介護職員を確保すること、地域を問わず全国の認定者に公平で平等な給付を維持すること、そして住宅型有料老人ホームにおけるケアマネジメントの有料化を行わないことなどを求めました。
「家族の会」は2026年5月にも全国会議員に緊急要望書を送付しており、改定案に含まれる「特定地域」の対象が全国の大半の自治体に広がる可能性を指摘していました。要望書では、スタッフを減らした事業所に新たな利用者を受け入れる余力があるのか疑問だとして、制度の根幹を揺るがしかねないと強い懸念を示しています。
厚生労働省の推計によると、2026年度に必要な介護職員は全国で約240万人に対し、2022年度時点の介護職員数は約215万人で、約25万人が不足しています。2025年には介護事業者の倒産件数が176件と過去最多を記録しており、人手不足と経営難は一体の問題として深刻化しています。
白川容子議員が追及「住む場所で介護の質が変わる」
日本共産党(共産党)の白川容子議員は、配置基準の緩和によって住む場所によって介護サービスの内容や質が変わることへの懸念を強調しました。これに対し志田氏は、介護労働者の負担が大幅に増えてサービスの質が低下し、最終的に利用者にしわ寄せがくると述べました。
白川氏はさらに、「特定地域」で導入される定額報酬が給付の抑制につながらないかと質問しました。志田氏は、月額で報酬が決まっている仕組みでは事業者側がサービスを少なくする傾向があると指摘しました。実際に、すでに定額報酬を採用している小規模多機能型居宅介護では、事業者が利益を確保するために訪問回数を制限する実態があることを白川氏は2026年6月11日の質疑でも取り上げています。
白川氏は「特定地域居宅サービス等事業」について、自治体の予算の都合でサービス提供が抑制される懸念も示しました。志田氏は、現在すでに要支援者向けに市町村が運営する「介護予防・日常生活支援総合事業」でサービスの地域格差が広がり、利用率も低迷している現状に触れ、同じことが起きれば介護のある生活が脅かされてしまうと警鐘を鳴らしました。
「うちの地域の訪問介護、来てくれる回数が減ったら母の生活が成り立たない」
「人員基準を緩和って、現場はもうギリギリなのに誰が対応するの?」
「特定地域に指定されたら、うちの町だけ介護サービスが二流になるってこと?」
「介護職の給料上げないで基準だけ下げるとか、完全に本末転倒だと思う」
「保険料払ってるのに住む場所で受けられるサービスが違うなんて不公平すぎる」
人手不足の解決は「基準緩和」ではなく「報酬引き上げ」で
白川氏は6月11日の質疑で「人材不足だから基準を緩和するのではなく、介護報酬を引き上げ、国による公費負担を増やして介護保険制度を維持することこそ必要だ」と主張しています。介護職員の賃金は他産業と比べて依然として低く、2025年度には全国の最低賃金が平均で6.3%引き上げられる中、介護報酬が追いつかない地域も出ています。
2026年6月からは臨時の介護報酬改定が実施され、介護従事者全体で月額1万円の賃上げが行われました。しかし、長年にわたる処遇の低さが招いた人手不足は、一度の改定では解消しきれません。数十年にわたる社会保障費の抑制政策のツケが、まさに今、介護の現場と利用者に重くのしかかっています。基準を緩和して現場の負担を増やすのではなく、介護職員が安心して働ける環境を国の責任で整えることが急務です。
まとめ
・2026年6月16日に参議院厚生労働委員会で介護保険法等改定案の参考人質疑が行われた
・改定案は中山間地・人口減少地域を「特定地域」に指定し、人員配置基準の緩和や市町村事業への移行を可能にする内容
・「認知症の人と家族の会」の志田信也副代表理事は、全国一律の公平な給付の維持を求めた
・日本共産党の白川容子議員は、住む場所で介護の質が変わる危険性や給付抑制の懸念を指摘した
・志田氏は、すでに総合事業で地域格差が生じている現状を踏まえ「介護のある生活が脅かされる」と警鐘を鳴らした
・2026年度に必要な介護職員は約240万人だが、約25万人が不足している
・基準緩和ではなく、介護報酬の引き上げと国の公費負担拡大こそが求められている