神奈川県、児童虐待相談8784件で最多更新…「心理的虐待」急増の背景とは

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神奈川県、児童虐待相談8784件で最多更新…「心理的虐待」急増の背景とは

昨年、神奈川県内の児童相談所が対応した児童虐待に関する相談件数が、過去最多となる8784件に達したことが明らかになりました。 増加の背景には、児童虐待に対する社会的な認識の高まりや、通告しやすい環境整備が進んだことが挙げられていますが、その実態、特に増加が顕著な「心理的虐待」の深刻さには、より深い分析が求められます。

昨年、神奈川県内の児童相談所が対応した児童虐待に関する相談件数が、過去最多となる8784件に達したことが明らかになりました。これは、前年度から761件増加し、5年連続での増加という深刻な状況を示しています。増加の背景には、児童虐待に対する社会的な認識の高まりや、通告しやすい環境整備が進んだことが挙げられていますが、その実態、特に増加が顕著な「心理的虐待」の深刻さには、より深い分析が求められます。

児童虐待、増加の一途


神奈川県が2026年6月2日に発表した統計によると、県が管轄する6つの児童相談所(横浜市、川崎市、相模原市を除く)が2025年度(令和7年度)に受け付けた児童虐待相談の件数は、8784件にのぼりました。これは、統計開始以来、最も多い数字となります。前年度と比較しても761件の増加であり、虐待の連鎖が断ち切れていない現状を浮き彫りにしています。

県担当者は、この増加について「児童虐待が社会的に容認されない行為であるという認識が広がり、住民がおかしいと感じた際に、ためらわずに通告できるような仕組みが整ってきたことが一因ではないか」と分析しています。確かに、通告件数の増加は、社会全体の関心の高まりを示すポジティブな側面と捉えることもできます。しかし、その裏側で、支援を必要としている子どもたちの声が、より多く、より深刻な形で届いている現実を直視しなければなりません。

「心理的虐待」が最多、その実態


虐待の内容別に見ると、最も多かったのは「心理的虐待」で、全体の63.4%にあたる5567件にのぼりました。これには、言葉による脅しや、目の前での配偶者などへの暴力(DV)の目撃といった、子どもに精神的な苦痛を与える行為が含まれます。目に見える傷が残りにくいことから、発見や立証が難しいとされる心理的虐待が、これほど多くを占めるという事実は、子どもたちの心の健康がいかに脅かされているかを示唆しています。

次いで、「保護の怠慢ないし拒否」、いわゆるネグレクト(育児放棄)が1733件、そして「身体的虐待」が1439件でした。身体的虐待には、殴る、蹴る、叩くといった直接的な暴力だけでなく、やけどを負わせる、溺れさせるなどの行為も含まれます。性的虐待も45件確認されており、どの形態の虐待も、子どもの健やかな成長を阻害する重大な人権侵害です。

被害児童の年齢層と通告経路


虐待の対象となった子どもの年齢を見ると、最も多かったのは乳幼児(0歳~未就学児)で3109件、次いで小学生が3085件でした。この二つの層で全体の8割近くを占めており、特に幼い子どもたちが虐待の被害に遭いやすい状況がうかがえます。発達の基礎が形成される時期に深刻な傷を負うことは、その後の人生に計り知れない影響を与えかねません。中学生は1586件、中学卒業以上の層も1004件にのぼり、学童期以降も虐待が継続・発生しているケースがあることがわかります。

相談・通告の経路としては、警察からの連絡が4223件と最も多く、全体の48.1%を占めました。これは、警察が事件や事故に際して虐待を疑い、児童相談所に情報提供する連携が機能していることを示しています。しかし、その次に多いのが家族や親戚からの通告で1220件、さらに子ども本人からの通告も175件ありました。地域住民や関係機関、そして子ども自身からの声が、救いの糸口となるケースも少なくないのです。

保護者の孤立と支援の課題


相談件数の増加は、社会の目は厳しくなっている一方で、虐待の根本原因への対策が十分に進んでいない可能性も示唆します。特に心理的虐待の増加は、保護者が抱えるストレスや孤立感の深さを反映しているとも考えられます。経済的な問題、近所付き合いの希薄化、核家族化の進行など、現代社会が抱える課題が、育児の負担を増大させ、追い詰められた保護者が子どもに手を上げてしまう、あるいは適切な育児ができなくなるケースにつながっているのではないでしょうか。

児童相談所が「通告しやすい仕組み」を整備することは重要ですが、増加する相談件数に対して、人員や専門性、施設などの対応能力が追いついているのか、という懸念も生じます。十分な調査や継続的な支援が行き届かず、事態が悪化する前に適切な介入ができない、という状況は避けなければなりません。

子どもへの支援はもちろんのこと、保護者へのアウトリーチ(訪問支援)や、育児に関する相談・カウンセリング、一時的な休息の場の提供など、保護者支援の強化も急務と言えるでしょう。地域社会が、孤立しがちな保護者や子育て世帯に寄り添い、見守る体制を再構築していくことが、児童虐待の根絶に向けた、より本質的な取り組みとなります。

まとめ


  • 神奈川県所管の児童相談所における2025年度の児童虐待相談受付件数は8784件で、過去最多を記録した。
  • これは5年連続の増加であり、前年度比761件増だった。
  • 増加の背景には、児童虐待への社会的認知の進展と、通告しやすい仕組みの整備があると分析されている。
  • 虐待内容では「心理的虐待」が5567件と最も多く、全体の63.4%を占めた。
  • 次いで、ネグレクトが1733件、身体的虐待が1439件だった。
  • 被害児童は乳幼児(3109件)と小学生(3085件)で全体の約8割を占めた。
  • 通告経路では警察からが48.1%(4223件)と最も多く、次いで家族・親戚(1220件)だった。
  • 記事では、心理的虐待の増加の背景に保護者の孤立やストレス増大がある可能性を指摘している。
  • 相談件数の増加に伴う児童相談所の対応能力への懸念や、保護者支援の強化、地域での見守り体制構築の重要性を訴えている。

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2026-06-02 20:32:26(櫻井将和)

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