2025-06-12 コメント投稿する ▼
吉良よし子氏「スポーツくじに頼るな」 改定スポーツ基本法に財源と多様性の課題を指摘
吉良よし子議員「スポーツくじ頼みの資金確保は本末転倒」 改定スポーツ基本法に注文
通常国会で改定されたスポーツ基本法に、日本共産党の吉良よし子参議院議員が懸念の声を上げている。12日の参院文教科学委員会での質疑において吉良氏は、「スポーツ振興のための資金確保を、くじ(toto)に依存するような発想で基本法を組み立てるべきではない」と主張した。
今回の改定法では、誰もがスポーツに親しめる社会の実現を掲げ、国や自治体が体罰、盗撮、SNSでの誹謗中傷などに必要な措置を講じることを義務付ける内容が盛り込まれた。理念としての前進がある一方で、吉良氏は「財源の話になると、すぐに民間頼みになる日本の政治の悪癖が顔を出す」と問題提起した。
「くじ頼み」でなく公的予算で支えるべき
吉良氏は「スポーツくじという特定の手法を法的に位置付けることは、公共の責任を放棄することにつながりかねない」と訴えた。これに対して、法案提出者の宮内秀樹衆院議員(自民党)は、「資金の確保についてスポーツ振興くじといった特定の仕組みを規定するものではない」と述べ、くじに限らず広く財源確保を目指すとの姿勢を示した。
しかし、吉良氏はなおも「国が責任を持って予算を確保・拡充することが必要だ」とし、文部科学省に対して恒常的かつ安定的な財源確保を強く求めた。
くじを通じた資金調達は不安定であり、スポーツ施策の安定的推進にはふさわしくないというのが吉良氏の立場だ。資金確保を民間のギャンブル性に依存する構造を見直すことで、本来の公共性と持続可能性を担保すべきとの主張である。
多様性に配慮した体育教育へ ジェンダーレス水着にも言及
今回の法改正には、新たに「人種・性別・年齢・障害の有無にかかわらず、スポーツに親しむ機会の保障」が明記された点も注目される。
吉良氏は、特に学校体育の現場に焦点を当て、「水着になることに抵抗がある生徒がいる現状に目を向けるべきだ」と指摘。そのうえで、「ジェンダーレス水着という選択肢があることを学校現場に周知してほしい」と求めた。
文部科学大臣の阿部俊子氏は、「肌の露出への抵抗も含め、多様な児童生徒の心情に配慮することが重要」と応じ、各教育委員会に適切な対応を促していく考えを示した。
「誰もがスポーツを楽しめる社会」に本気で向き合えるか
法改正により理念の幅は広がったが、実行に移すためには制度的・財政的な裏付けが不可欠だ。吉良氏の指摘は、絵に描いた餅に終わらせないための具体的な行動を国に迫るものだった。
特に、近年問題となっている指導者の体罰や観客の迷惑行為、SNSでの中傷などについては、「現場に即したルール作りと執行体制が整ってこそ、真の改善になる」と語り、理念だけでなく現実に寄り添う政治の重要性を示した。
また、吉良氏は「子どもたちの体験を阻むハードルをひとつひとつ取り除いていくことが、スポーツ基本法の本当の目的につながる」と述べ、教育の場における多様性と包摂の姿勢を重視する立場を強調した。