2025-07-17 コメント投稿する ▼
「発達障害は存在しない」発言に批判噴出 日本自閉症協会が参政党に強く抗議
日本自閉症協会が明言「まったく間違っています」
「発達障害など存在しない」とする発言に、ついに日本自閉症協会が明確に反論の声を上げた。
2025年7月16日、同協会の公式SNSは、発達障害の存在を否定する「ある政党」について、「これはまったく間違っています」と明言し、「根拠のない主張で当事者や家族を苦しめないでください」と訴えた。
協会は、世界保健機関(WHO)や米国精神医学会が定めた国際的な診断基準、そして日本国内でも超党派で成立した「発達障害者支援法」が存在する事実を強調。発達障害という医学的概念を「存在しない」と一蹴することは、科学・法制度・現場実践のいずれにも反する暴論であると、異例の強い口調で批判した。
「こういう言説こそ、真に生きづらさを作ってると思う」
「発達障害を抱える家族として、本当に心が痛む」
「法律もあるのに、なぜ“ない”なんて言えるのか意味がわからない」
明言は避けつつも参政党を明確に指摘
この投稿では政党名は直接挙げられていなかったが、7月14日には「参政党の『発達障害など存在しません』発言により、不安の声が当会にも届いています」として、参政党による主張に言及していた。
問題となったのは、参政党代表・神谷宗幣氏が2022年に出版した「参政党Q&Aブック 基礎編」での記述。
そこでは「通常の子供たちと全く同じ教育を行なえば問題ありません。そもそも、発達障害など存在しません」と断言したうえで、「ドラえもん」のキャラクターを例に、「現代では彼らが発達障害と見なされてしまう」と記していた。
この内容はすでに絶版となっており、神谷氏自身が「1ヶ月の突貫作業で出版した。内容にも誤りがあった」と釈明しているが、明確な謝罪表明は行われていない。
「“間違ってたから絶版にしました”で済む話じゃない」
「当事者を傷つけたことに対する謝罪が一切ないのが問題」
「特性」か「障害」か 論点のすり替えを許さない空気
参政党の主張には、「発達障害は“障害”ではなく“特性”であるべき」という意図が込められていた可能性もある。実際、同志社大学大学院の高広伯彦教授も「障害か特性かは見方による」と前置きしつつ、「発達障害が“存在しない”という主張は支持できない」と明確に否定している。
つまり、問題は「表現の誤解」や「定義の議論」ではなく、「発達障害の存在自体を否定したこと」にある。これは、当事者やその家族が社会で認知され、適切な支援を受ける権利を根本から否定するに等しい。
日本発達障害ネットワークも声明を出し、「こうした発言は極めて遺憾」とし、発達障害者支援法が果たしてきた役割の大きさと国際的評価を強調。「すべての命を尊重し、障害の有無によって分け隔てられない共生社会を目指す」と述べた。
「“特性”って言えば優しい響きになるけど、支援制度は“障害”を前提に組まれてる」
「存在を否定するって、支援の足場を崩すってこと。これは命に関わる問題」
「共生社会」の理念を政争の具にしてはならない
参政党はこれまでも「教育」「家庭」「伝統文化」を強調する主張を続けてきたが、それが“多様性の否定”につながるのであれば、共生社会の理念に反する。特に今回の件では、「障害を抱える人が社会にいる」という前提すら認めない発言であり、国際的にも日本の社会制度的にも到底受け入れられない。
政治的立場や思想信条を問わず、人間として最低限の共感と配慮を持つことができるか。今回の騒動は、有権者にその本質を問うことになった。