2025-07-12 コメント投稿する ▼
参政党・神谷宗幣氏が治安維持法を正当化「共産主義を取り締まるため」―人権軽視の発言が波紋
参政党・神谷代表が「治安維持法」を正当化 戦前の弾圧立法を礼賛し“人権否定”の暴論
参政党の神谷宗幣(そうへい)代表が7月12日、鹿児島市で行った街頭演説で、戦前の弾圧法「治安維持法」を正当化する発言を行い、波紋が広がっている。
神谷氏は演説中、「治安維持法は共産主義を取り締まるもので、共産主義者にとっては悪法かもしれないが、国家にとって必要だった」と主張。多くの人権弾圧を生み、「希代の悪法」とされてきた法律を擁護した。
「治安維持法は悪法ではない」? 繰り返される歴史認識への逆行
治安維持法は1925年に制定され、戦前・戦中の日本で思想・言論の自由を封じ、国体(天皇制)を批判する者を重罪に問うために使われた。特に日本共産党を標的とし、結社・出版の自由、そして平和運動や労働運動を行う市民も摘発の対象にされた。
とりわけ悪名高いのが、「目的遂行罪」や「予備・陰謀・扇動罪」などの拡張条項により、思想や内心を取り締まるような実態となったことだ。拷問や虐殺も横行し、作家・小林多喜二の獄中死はその象徴である。
戦後に「廃止」された理由と憲法の原則
第二次世界大戦後、連合国軍総司令部(GHQ)の指導のもと、治安維持法は廃止され、日本国憲法により国民主権・表現の自由・思想の自由が保障された。
この憲法理念と人権保障は、日本が再び戦争を起こさないための土台であり、現代の民主国家としての根幹を成すものである。
「共産主義対策」として正当化? 民主主義の否定に警鐘
神谷氏の「共産主義を取り締まるため」という発言は、思想の多様性を否定し、「特定の考え方に基づく弾圧」を容認する姿勢をあらわにしたものだ。
「共産主義にとっては悪法でしょうね」
「共産主義を取り締まるものですから」
と語る神谷氏だが、それはまさに「異なる思想を持つ者は弾圧してもよい」という論理であり、戦前の特高警察や大本営による言論弾圧の正当化にもつながりかねない。
時代錯誤では済まされない暴言
神谷氏の一連の発言は、単なる「時代錯誤」や「問題発言」ではなく、現代日本の民主主義と人権意識を根底から否定する極めて深刻な内容である。
日本国憲法が掲げる「表現の自由」「思想・信条の自由」「国民主権」を軽んじるこうした姿勢に対し、国民的な議論と警戒が求められる。