2025-04-08 コメント投稿する ▼
医療・介護現場に危機感 小池氏、社会保障費抑制の撤回と賃上げを要求
診療報酬改定後の医療機関の経営悪化
小池氏は、2024年の診療報酬改定以降、病院をはじめとする医療機関の経営が急速に悪化していると指摘。日本病院会など6団体の緊急調査でも、報酬改定後に赤字病院が増加していることが明らかになっており、非常に深刻な状況であると述べた。このため、小池氏は政府に対し、緊急の調査を実施するよう要求した。
医療・介護・福祉労働者の賃上げの低迷
今年の春闘において、医療、介護、福祉労働者の賃上げが昨年より低水準であることに懸念を示した小池氏は、その背景として、診療報酬改定後の医療機関の経営悪化を挙げた。物価が上昇しているにもかかわらず、収入が抑えられているため、病院経営が危機に瀕していると指摘し、社会保障費抑制の「目安」の廃止を求めた。
社会保障費抑制路線の見直しと公費投入の必要性
小池氏は、全就業者の8人に1人に当たる医療・福祉関係の就業者の賃金が上がらなければ、日本の経済も良くならないと主張。社会保障の「自然増」抑制路線を中止し、処遇改善、待遇改善の手だてを取るべきだと指摘した。また、診療報酬の引き上げとともに、患者や利用者の負担につながらないよう公費を投入すべきだと主張した。
訪問介護事業所の減少と地域医療の危機
さらに、小池氏は、昨年4月の訪問介護の基本報酬引き下げ以降、訪問介護事業所の倒産が相次ぎ、訪問介護の空白自治体が急増している実態を指摘。具体的には、訪問介護事業所がゼロの自治体が107町村、1つのみの自治体が272市町村に上るとし、地域医療・介護の崩壊が進んでいると警鐘を鳴らした。
政府の対応と今後の課題
厚生労働省の吉田真次政務官は、昨年の補正予算で緊急的な支援を行ったと述べるにとどまったが、小池氏は、それでは足りないと強調。また、財務省がこれまで社会保障関係費を「高齢化の伸びの範囲内に抑制する」との「目安」を示してきたことに対し、物価が上がっているのに収入が抑えられているため、病院経営が危機に瀕していると指摘し、目安の廃止を迫った。加藤勝信財務相は「経済物価動向などへの配慮を含め適切な対応を図ってきた」と述べたが、具体的な対策は示されなかった。
医療・介護従事者の賃上げと社会保障費抑制の見直しは、今後の日本の医療・福祉の充実と経済の健全な発展にとって重要な課題であり、政府の迅速かつ具体的な対応が求められている。