2025-06-09 コメント投稿する ▼
西田昌司議員「ひめゆり発言」抗議決議、石垣市議会で見送り 文案めぐる対立で合意至らず
修正要望に与党が難色、全会一致に至らず
抗議決議案は、野党会派の長浜信夫市議が動議で提出。西田議員の発言を「沖縄戦の歴史認識を歪めるもの」として、強く非難する内容だった。しかし、議会運営委員会では公明党の平良秀之市議が「日本軍は必ずしも県民を守らなかったとは限らない部分もある」として文案の修正を提案し、全会一致を目指すべきと主張した。
さらに、平良氏は「西田氏が月刊誌『正論』などで改めて反論している経緯も考慮し、感情的な決議と受け取られないよう慎重に検討すべきだ」と述べ、採決を定例会最終日まで延期する案を提示した。
野党側「歪んだ歴史認識を許してはならない」
一方、提案者の長浜氏は「他自治体では臨時議会を開いてでも抗議決議を採択している。石垣市議会だけが後れを取るべきではない」と反論。「日本軍が住民を守らなかったという評価は沖縄戦の歴史の中で確立している。個別の事例を持ち出して全体像を否定するのは歴史の歪曲だ」と懸念を示した。
砥板芳行市議も「西田議員の記者会見をすべて確認したが、発言内容はさらに踏み込んでいる。今回の決議案はむしろ抑制的だ」と強調し、文面修正の必要性を否定した。内原英聡市議は「この決議に反対すれば、市議会の見識が問われる」、大道夏代市議は「本人をかばう理由が理解できない」と強い調子で非難した。
議会内の温度差浮き彫りに
議会運営委員会では賛成多数で一度は上程が決定されたが、本会議では反対多数となり、結果的に上程自体が取り消された。仲間均委員長は「平和の重要性は皆が共有しているが、現実には中国の尖閣侵入などもある」と発言し、一部議員からは苦笑も漏れた。
今回の議論は、単なる発言への賛否を超え、沖縄戦に対する歴史認識、表現の自由、地方議会の役割などが複雑に絡む形で展開された。市議会が今後、修正案を協議し最終的な合意に至るかどうかは、引き続き注目される。