金子恭之国交相が治水加速を表明 奈良の遊水池を全国展開へ内水氾濫対策

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金子恭之国交相が治水加速を表明 奈良の遊水池を全国展開へ内水氾濫対策

金子恭之国土交通相は2026年4月4日、頻発化する豪雨への備えとして、国や河川流域の自治体などが一体となって取り組む治水事業を「ハード、ソフト一体で加速化させる」と述べました。降った雨水を一時的にためる施設の整備が有効だとの考えを示し、各地での対応を促す方針も強調。奈良県北葛城郡川西町で記者団の取材に答えたものです。

増える「内水氾濫」 排水が追いつかない都市の水害


金子氏がとくに重要だと指摘したのが「内水氾濫」(ないすいはんらん)への対策です。内水氾濫とは、増水した河川に支流から水が流れ込めなくなる逆流現象(バックウォーター)によって、市街地に降った雨水の排水が追いつかず、住宅街や道路が浸水する現象のことです。

堤防が壊れるような外水氾濫と違い、川岸から離れた場所でも起こるため、被害が広範囲に及びやすく、近年の豪雨の頻発化とともに各地で深刻な問題となっています。国土交通省の整理によると、気候変動の影響で降雨量が増大し、今後さらに水害が激甚化・頻発化することが見込まれており、堤防や河道改修といった従来型の河川整備だけでは対応が難しくなってきているとの認識が広がっています。

奈良の先進事例を全国へ 遊水池で「ためる」治水


金子氏が視察したのは、奈良県内の大和川流域で進む先進的な治水の取り組みです。大和川は156本の支流が奈良盆地に集中して合流し、大阪府との境にある「亀の瀬」と呼ばれる地滑り地帯がボトルネックとなって洪水が起きやすい構造上の弱点を抱えています。1982年には1万戸以上が浸水する大水害が発生し、奈良県はこれを機に大和川流域総合治水対策を開始しました。

「流す」(河川改修)と「ためる」(雨水貯留施設の整備)の2本柱を軸に対策を進め、2017年以降は「ひかえる」(浸水恐れ区域の市街化抑制)という指針も加えて対策を深化させています。川西町周辺では、大和川の水位が上がると越流堤から水が流れ込む「保田遊水地」の整備が国と市町村の連携のもとで進められており、2025年度の出水期からの運用を目指して施工が続いています。金子氏はこうした「ためる治水」の流れを「全国に持っていかないといけない」と強調しました。

「うちの地域も毎年のように床下浸水する。国が本気で動いてくれるなら歓迎したい」
「遊水池って平常時は何もない広場になるって聞いた。防災と街づくりを同時にできるのはいいと思う」
「ソフトとハードを一体でって言葉は正しい。ただ予算と人手が追いつくかが心配だ」
「奈良の取り組みは40年近い歴史がある。それを今頃全国展開というのは遅すぎないか」
「内水氾濫は逃げにくいし事前にも分かりにくい。まずハザードマップの精度向上も急いでほしい」

「流域治水」を加速 法整備と予算も後押し


国土交通省はすでに2021年度に流域治水関連法を施行し、河川管理者だけでなく流域のあらゆる関係者が協働して水害対策に取り組む「流域治水」を全国で推進しています。全国109の一級水系すべてで流域治水プロジェクトが策定・公表されており、2025年度からはさらに浸水・土砂災害の危険が高い地域における流域対策を支援するための予算制度も拡充されました。

奈良県の大和川水系は2021年12月に特定都市河川に指定され、翌2022年5月には25市町と県・国が連携した流域水害対策計画を作成。全国で初めて特定都市河川浸水被害対策法に基づく「貯留機能保全区域」を指定するなど、先駆的な位置づけとなっています。

ハード・ソフト両輪の整備が急務 各地への展開が鍵


金子氏の発言は、河川整備(ハード)だけでなく、ハザードマップの整備や避難情報の伝達、土地利用規制(ソフト)を組み合わせた総合的な治水対策を国が主導して全国に広げていく姿勢を改めて示したものです。気候変動による豪雨の頻発化が進む中、どの地域でも「想定外の雨」が現実になりつつあります

先進事例を持つ奈良県のノウハウを全国に横展開するためには、予算の継続的な確保と、国・都道府県・市町村が連携できる実効性ある体制づくりが不可欠です。地域ごとの地形や河川特性に応じた柔軟な対策の設計と、住民への丁寧な説明・合意形成を伴う取り組みが、今後の治水対策の成否を分けることになります。

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まとめ
  • 金子恭之国土交通相が2026年4月4日、治水事業の「ハード・ソフト一体の加速化」を表明
  • 増水した河川に市街地の雨水が排水できない「内水氾濫」対策が重要と指摘
  • 奈良県川西町で視察した大和川流域の遊水池(保田遊水地)などの先進事例を全国展開する方針
  • 奈良県は1982年の大水害を機に「流す・ためる・ひかえる」の3本柱で治水対策を推進してきた
  • 大和川水系は全国初の「貯留機能保全区域」指定など、流域治水の先進地域として位置づけられている
  • 全国109の一級水系で流域治水プロジェクトが策定済み。2025年度から予算制度も拡充

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2026-04-05 09:53:39(植村)

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