2026-07-08 コメント投稿する ▼
特定事業所加算の24時間体制見直し要望 ケアマネジャー負担軽減へ
しかし、この24時間体制の維持は、現場のケアマネジャーや事業所にとって大きな負担となっています。 こうした業務の増加に加え、特定事業所加算(I)で求められる24時間体制の維持は、ケアマネジャーにとって過重な負担となっています。
特定事業所加算(I)の役割と課題
居宅介護支援事業所は、介護保険制度において利用者のケアプランを作成し、サービス事業者との調整などを行う中核的な役割を担っています。その中でも「特定事業所加算(I)」は、事業所の質を一定水準以上に保つことを評価する制度です。この加算を取得するためには、人員配置やサービス提供体制など、厳しい要件を満たす必要があります。
特に、特定事業所加算(I)の要件の一つである「24時間体制」は、利用者が突発的な病状悪化や事故に見舞われた際に、いつでも事業所のケアマネジャー等に連絡・相談でき、必要な対応を受けられるようにすることを目的としています。これにより、利用者は住み慣れた自宅での生活を継続しやすくなり、また、医療機関への早期受診や適切なサービス連携につながるなど、切れ目のない支援体制の構築に寄与すると考えられてきました。
しかし、この24時間体制の維持は、現場のケアマネジャーや事業所にとって大きな負担となっています。本来、ケアマネジャーの主な業務はケアプラン作成やサービス調整であり、24時間常時対応は想定外の業務負荷となりかねません。
ケアマネジャーの負担増と事業所の経営圧迫
近年の介護保険制度における報酬改定では、地域包括ケアシステムの深化・推進や、医療・介護連携の強化などを背景に、居宅介護支援事業所にもより質の高いサービス提供が求められるようになりました。その結果、ケアプラン作成に加え、多職種との連携、関係機関との会議への参加、重度化や看取りへの対応など、ケアマネジャーの業務はますます複雑化・専門化しています。
こうした業務の増加に加え、特定事業所加算(I)で求められる24時間体制の維持は、ケアマネジャーにとって過重な負担となっています。事業所によっては、夜間や休日にケアマネジャーが交代で電話対応や緊急訪問を行わざるを得ず、長時間労働や心身の疲弊につながるケースも少なくありません。
さらに、24時間体制を維持するためには、十分な人員配置や研修体制の確保が必要となり、人件費の増加につながります。特に、経営基盤の弱い小規模な事業所や、都市部以外で十分な人材確保が難しい地域においては、この加算の算定要件を満たし続けることが経営上の大きな課題となっています。加算の要件を満たせない、あるいは維持が困難になった事業所では、加算が算定できず、経営が圧迫される事態も懸念されています。
ケアマネ協会からの具体的な要望内容
このような状況を受け、ケアマネ協会は、特定事業所加算(I)における24時間体制の要件について、より実態に即した見直しを求めています。具体的には、「24時間対応」の定義を柔軟化し、必ずしも事業所のケアマネジャーが直接対応する形式に限定しない考え方を求めている模様です。
例えば、地域の他の居宅介護支援事業所と連携してオンコール体制を共有したり、外部のコールセンターや在宅医療・介護サービス事業者と連携して緊急時の対応窓口を設けるといった方法も、一定の要件を満たすものとして認めるよう要望しています。これにより、個々の事業所の負担を軽減しつつ、利用者が必要な時に適切な支援を受けられる体制を確保することが可能になると考えられます。
また、加算の算定要件自体を見直し、24時間体制の厳格な運用だけでなく、ケアマネジメントの質や、地域における包括的な支援体制への貢献度などを評価する代替指標の導入なども検討するよう求めています。ケアマネジャーが過重な負担なく、専門性を発揮できる環境を整備することが、結果として利用者のサービス継続や、より質の高いケアマネジメントにつながるという考えが根底にあります。
今後の議論と展望
今回のケアマネ協会の要望に対し、上野賢一郎会長率いる自民党の議連は、現場の実情を理解し、今後の制度検討の重要な要素として受け止める姿勢を示したと報じられています。この要望が、今後の介護報酬改定や関連制度の議論にどのように反映されていくかが注目されます。
もし、特定事業所加算(I)の24時間体制要件が見直され、より柔軟な運用が可能になれば、多くの居宅介護支援事業所の経営改善や、ケアマネジャーの負担軽減につながることが期待されます。これにより、ケアマネジャーが本来業務であるケアマネジメントに注力できる時間が増え、利用者のニーズに的確に応える質の高いサービス提供体制の維持・向上につながる可能性があります。
一方で、加算要件の緩和が、サービス提供体制の質の低下を招かないかという懸念も残ります。制度改正にあたっては、利用者の安全・安心を最優先にしつつ、事業所の持続可能性も確保できる、バランスの取れた見直しが求められるでしょう。持続可能な地域包括ケアシステムを構築していく上で、ケアマネジメント機能の強化と、それを支えるケアマネジャーの働きがいのある環境整備は、今後も重要な政策課題であり続けると考えられます。