2025-11-14 コメント投稿する ▼
保険外しで現役世代に月額100円の軽減、患者に最大50倍負担増 高市・維新連立政策に医師会反発
全国保険医団体連合会などが実施したアンケートでは、5687件の回答のうち95%が保険外しに反対しており、現役世代の負担軽減を掲げた政策が、逆に大幅な負担増を招く実態が浮き彫りになっています。 2025年6月11日、自由民主党・公明党・日本維新の会の3党がOTC類似薬の保険給付の見直しで合意し、早ければ2026年度から実施する方針を決定しました。
高市早苗首相率いる自民・維新連立政権が推進するOTC類似薬の保険適用除外について、現役世代から「働けなくなる」「第2子をあきらめる」などの悲痛な声が相次いでいます。全国保険医団体連合会などが実施したアンケートでは、5687件の回答のうち95%が保険外しに反対しており、現役世代の負担軽減を掲げた政策が、逆に大幅な負担増を招く実態が浮き彫りになっています。
高市政権が2026年度実施を明言
2025年6月11日、自由民主党・公明党・日本維新の会の3党がOTC類似薬の保険給付の見直しで合意し、早ければ2026年度から実施する方針を決定しました。2025年10月に高市早苗氏が憲政史上初の女性首相に就任し、日本維新の会との連立政権が発足したことで、この政策の実現に向けた動きが加速しています。
OTC類似薬とは、医療用医薬品でありながら既存の市販薬と成分・効能・リスクがほぼ同じで、医師の処方箋が必要な薬品です。花粉症薬のアレジオン錠、ムコダイン錠、アレグラ錠、クラリチン錠、タリオン錠など多くの薬が対象となる見込みで、現在は1~3割の自己負担で済んでいる薬が全額自己負担になる可能性があります。
「鎮痛剤を保険外にされると死活問題。金額を気にして薬を十分に使用できなくなると生活もままならない」
「子どもをあと1人は、と思っていたが現役世代の負担を重くするのならば諦めざるを得ない」
「毎日使う保湿剤が保険外になったら、自分の喘息薬代を節約するしかない」
「ロキソニンなどの鎮痛剤を保険適用外にされると働きながら子育てができなくなる」
「薬代が20~30倍になったら、治療を継続できない」
薬代が最大50倍の負担増に
厚生労働省の資料では、花粉症薬、湿布薬、総合感冒薬、解熱鎮痛薬の4品目を例示し、保険除外になれば8倍から最大50倍の自己負担増になることが明らかになりました。患者アンケートでは「薬代が高くなる」が83.6%、「薬が必要量用意できず症状が悪化する」が61.0%と続き、物価高で生活が厳しい中での大幅な負担増への懸念が鮮明になっています。
日本医師会の宮川常任理事は「市販薬は処方薬に比べて価格が高く設定されており、特に経済的に困窮している人々の負担が増える」と警鐘を鳴らしています。特に小児医療費助成制度で現在無料または少額負担で治療を受けている地域では、高額なOTC医薬品を購入しなければならなくなる事態が懸念されます。
医療関係者が一斉反発
日本医師会は医療機関の受診控えによる健康被害、経済的負担の増加、薬の適正使用が難しくなることの3点を挙げて強く反対しています。患者が自己判断で市販薬を使用し、適切な治療を受けられずに重篤化する可能性が高まり、結果として治療が遅れて合併症を引き起こし、かえって高額な医療費が発生するリスクがあると指摘しています。
特定非営利活動法人日本アトピー協会は6月26日、アトピー性皮膚炎の治療に必要な薬の保険適用継続を求めるオンライン署名を開始しました。アトピー患者にとって保湿剤と外用薬は、目が悪い方がメガネを必要とすることと同じで、毎日を過ごすために欠かすことのできない薬だと訴えています。
しかし政府は、日本維新の会が「OTC類似薬を保険適用外にすれば年間で約3500億円の医療費削減になる」という試算を示し、現役世代の負担軽減策のひとつとして議論を推進しています。保険料軽減は国民1人当たり月額100円程度にとどまる一方で、患者には多大な負担増が強いられる構図となっています。
「ドロ船連立政権」への批判も
アンケートの中間報告では、子育て世代など現役世代も含めて5687件超の回答が寄せられ、具体的な事例が3358件に上りました。難病患者家族の大藤朋子さんは「困る人がたくさんいることが示された。当事者の声をしっかり聞いてこの制度をどうするか決めてほしい」と政府に訴えています。
現在の物価高は明らかに数十年に渡る自民党の失策によるものであり、物価高対策として財政出動や減税は一刻の猶予も許されません。にも関わらず、自民党と連立を組む維新の会の要求に応じてOTC類似薬の保険外しを進める高市政権の姿勢は、まさに「ドロ船連立政権」と言わざるを得ません。
政府は2025年末までの予算編成過程で十分な検討を行い、早期に実現可能なものについて2026年度から実行する方針を示しており、来年の通常国会での具体的な法案審議が焦点となります。減税による真の現役世代支援こそが求められる中、患者負担を大幅に増やす政策の是非が問われています。