2026-08-25 コメント投稿する ▼
福岡市職員147人が「議員の威圧」経験 61人が質問原稿代筆を認める
福岡市が2026年8月に課長級以上の職員599人を対象に実施した議会対応アンケートの結果が8月24日に明らかになりました。147人が議員から「長時間の威圧的な言動を受けた」と回答し、「下僕のように扱われた」「反省文の提出を強要された」「水も飲めず、トイレにも行けない」といった深刻な証言が寄せられました。また約1割の61人が議員の質問原稿を作成・提供したと答え、提供先の最多は自民党(51人)でした。福岡県議会での同様の問題が発覚したことを受けた調査で、議会制民主主義の根幹を揺るがす実態が浮き彫りになっています。
「下僕のように扱われた」「反省文を強要」 147人が威圧被害を告白
福岡市が2026年8月6日から19日にかけて、課長級以上の職員599人を対象に実施した議会対応に関するアンケートの結果が8月24日に明らかになりました。566人が回答し、このうち147人が「議員から長時間にわたって威圧的な言動を受けたことがある」と答えたことが判明しました。
「その他」として寄せられた55人の自由記述には、職員の深刻な実態が記されていました。「職員を下僕のように扱う言動をする議員がいる」「メモを取っていたら『取るな』と怒鳴られた」「言いがかりをつけられ反省文の提出を要求された」「そんな説明しかできないなら帰れ、と強く叱責された」「そんな答弁しかできないなら辞めてしまえ、と言われた」といった証言が並んでいます。
また、26人が「精神的に著しい苦痛を受け、心身の不調が生じた」と回答しており、議員からのハラスメントが職員の心身に深刻な影響を及ぼしている現実が明らかになりました。
委員会でも水も飲めず・トイレにも行けない 募る時間外の負担
職員への負担は心理的な威圧にとどまらず、物理的な側面にも及んでいます。「委員会が長時間に及んでも職員は水分補給もトイレへの離席もできない」「一人の議員から長時間にわたり前向き答弁を強く求められた」という証言が寄せられました。
業務時間外への侵食も深刻です。「時間外に議員勉強会や支援団体からの陳情を設定される」「金曜の夕方に月曜朝を期限とする大量の照会があった」という証言が複数寄せられ、職員の私生活や健康への影響が懸念されます。
さらに、「勤務時間中に議員から職場に電話があり機関紙の購入を勧められた」「議員から直接勧誘を受け、購入したくない政党機関紙を購入している」という証言も寄せられています。職員が上位の立場にある議員からの圧力により、望まない政治的購買を強いられている実態は、政治と公費を支払う側の職員との境界を歪めるものです。
こうした実態に、SNS上でも多くの声が上がっています。
「議員のことを先生と呼んで立礼して、代わりに質問まで書いてあげるって普通じゃない」
「下僕のように扱うって言葉が出てくること自体、議員の意識の問題が深刻だよ」
「質問原稿を職員が書いたら、選挙で選んだ議員が仕事してないってことだよね」
「自民党への提供が一番多いってのは、かねてから言われてた慣行が数字で出た感じ」
「水も飲めない、トイレにも行けない状態で職員を拘束するのはもはやハラスメントだよ」
質問原稿の代筆61人が認める 提供先の最多は自民党51人
今回のアンケートでは、議員の質問に関する問題も浮かび上がりました。「2023年度以降、議員の質問原稿等を作成し提供したことがあるか」という問いに対し、約1割にあたる61人が「ある」と回答しました。
提供先の会派(複数回答可)は自由民主党(自民党)が51人と最多、自民党新福岡が25人、公明党が6人と続き、理由については「議員から作成を求められたため」と回答した人が36人でトップでした。
議員は有権者から負託を受けた存在であり、議会での質問は本来、議員自身が政策立案能力と市政への見識をもって行うものです。その質問原稿を行政職員が作成するということは、有権者が選んだ議員の代わりに、選ばれてもいない職員が実質的に議会活動を担うことを意味します。
福岡県議会の前例と民主主義への問い 具体的制度改革が急務
今回の調査は、福岡県議会での問題発覚を受けて実施されました。県では課長以上の幹部職員186人を調査したところ、半数超の96人が質問作成への関与を認め、うち77人が「質問原稿全体を作成した」と回答していました。さらに自民党県議団に他会派の質問案を「横流し」していた事実も明らかになっており、服部誠太郎福岡県知事は「議会制民主主義の根幹を揺るがす問題で反省しなければならない」と述べています。
福岡市議会の平畑雅博議長は今回のアンケート結果を受け「改善すべき点は改善するとの姿勢で、各会派と協議を行いながら適切に対応してまいります」と声明を発表しました。
しかし声明を出すだけでは不十分です。質問代筆の禁止、職員へのハラスメント申告窓口の整備、議員の倫理規程の厳格化といった具体的な仕組みなしに、「議員に質問を作ってもらえる」「職員を下僕のように使える」という慣行が根絶される保証はありません。行政職員は議員個人のスタッフではなく、市民全体に奉仕する存在です。その本来の役割を守るための制度的な歯止めが求められています。
まとめ
- 福岡市が2026年8月6〜19日に課長級以上599人を対象に実施したアンケート結果が8月24日に公表。566人が回答した。
- 147人が「議員から長時間の威圧的な言動を受けた」と回答。26人が心身の不調を経験。
- 自由回答では「下僕のように扱われた」「反省文を強要された」「辞めてしまえと言われた」「水も飲めない」「購入したくない政党機関紙を強制購入」などの深刻な証言が相次いだ。
- 61人(約1割)が議員の質問原稿を作成・提供したと回答。提供先は自民党51人が最多、自民党新福岡25人、公明党6人。理由は「議員から求められたため」が36人でトップ。
- 福岡県議会でも幹部職員186人中96人が質問作成関与を認め、自民党への横流しも発覚。服部福岡県知事は「民主主義の根幹を揺るがす問題」と表明。
- 平畑雅博福岡市議会議長が改善を声明したが、代筆禁止・ハラスメント申告窓口・倫理規程の厳格化といった具体的な制度整備が急務。