2025-08-12 コメント: 1件 ▼
寝屋川市、「特区民泊」事業からの離脱を表明 生活環境優先で大阪府に申立
寝屋川市、「特区民泊」事業からの離脱を表明 市民懸念受け大阪府に申立
大阪府寝屋川市は12日、国家戦略特区を活用した「特区民泊」事業から離脱する方針を正式に発表した。7日付で大阪府に対し、特区エリアから外すよう申立書を提出した。
特区民泊は、個人宅やマンションを宿泊施設として活用できる制度で、訪日外国人観光客の増加を背景に全国各地で導入されてきた。しかし、市によると、令和元年度に市内で認定された2件以降、新規認定はなく、市民からは外国人観光客によるごみ出しや深夜の騒音など生活環境への影響を懸念する声が寄せられていた。
広瀬慶輔市長は「今の寝屋川市には特区民泊は不要だ」と述べ、住民満足度を優先する市政方針と特区民泊制度は方向性が異なると強調した。
「観光よりも生活環境を守るべき」
「民泊で町内の雰囲気が変わるのは嫌だ」
「短期滞在客のマナー問題はどこも起きている」
「規制緩和してまで進める必要はない」
「既存分はきちんと管理してほしい」
離脱の背景
寝屋川市は大阪府の国家戦略特区に含まれており、条件を満たせば民泊営業が可能だった。しかし、コロナ禍以降も市内で民泊需要は限定的で、認定件数は令和元年度の2件のみ。近隣住宅地への影響や安全面の不安が住民から継続的に指摘されていた。
市担当者は「規制緩和をしてまで民泊を推進する必要性は低い。むしろ地域の安心・安全を守ることが優先」と説明。離脱が認められれば、既存の事業者とは協議し、旅館業法に基づく簡易宿所への移行などを検討するという。
全国的な民泊の課題
特区民泊は訪日客需要を地方にも波及させる政策として2015年以降広がったが、都市部では騒音やごみ出し、違法営業などのトラブルも報告されている。特に住宅密集地では住民との摩擦が大きく、導入に慎重な自治体も増えている。
寝屋川市の離脱表明は、民泊推進よりも住環境維持を優先する判断として注目される。大阪府は申立を受け、制度上の手続きや影響範囲について協議を進める見通しだ。
特区民泊からの離脱が承認されれば、市は観光施策を宿泊施設増設よりも地域資源活用やイベント型集客などにシフトさせる方針だ。観光と生活環境のバランスをどう取るかは、他自治体にも共通する課題であり、寝屋川市の動きは今後の民泊制度の在り方に一石を投じる可能性がある。