2025-04-04 コメント投稿する ▼
日比円滑化協定で中国刺激の懸念 新垣議員が国会で追及
この協定は、昨年7月に日本とフィリピンの間で締結されたもので、今後、部隊の相互往来や南シナ海周辺での共同訓練の実施が見込まれている。こうした動きに対し、新垣氏は「実質的には対中国包囲網を築くための協定ではないのか」と問いかけ、自衛隊や米軍がフィリピン軍の近代化を後押ししているのではないかとの見方を示した。
これに対し、中谷元防衛相は「RAAは一方の国の部隊が他国で訓練や災害対応を行う際、その活動を円滑にするための協定だ。中国をはじめ特定の国を想定しているわけではない」と説明した。
しかし、新垣氏は食い下がらなかった。南シナ海でフィリピンと中国が領有権をめぐって対立を続けている現状を踏まえ、「そうした地域情勢の中でこの協定を結ぶのは、どう考えても中国を刺激するだろう」と述べ、外交的なリスクに強い懸念を示した。
さらに新垣氏は、法制度の違いにも言及。死刑制度が存続している日本と、廃止しているフィリピンでは対応が異なるため、仮に訓練中にフィリピン軍人が日本国内で重大犯罪の容疑者となった場合、「日本が裁判権を持ち、死刑判決を出すことも理論上はあり得る」と指摘。その際の法的対応についてただした。
この点について防衛省の参考人は、「日本の裁判所の判断により、死刑が科される可能性は否定できない」と答弁した。
- RAA(円滑化協定)は自衛隊とフィリピン軍の共同訓練・活動を促進するもの
- 新垣議員は「対中包囲網」との疑念を提示し、地域緊張への影響を懸念
- 中谷防衛相は「特定の国を念頭に置いたものではない」と反論
- 法制度の違いから、共同訓練中の不測の事態への対応にも課題が残る
- 中国側はRAAの締結に対し警戒を強めており、地域の安全保障環境は一層複雑化
日本政府としては、インド太平洋地域での自由で開かれた秩序の維持を重視し、防衛協力を進めたい考えだ。しかし、協定の裏にある地政学的な思惑とその影響は、今後も国会内外で議論を呼びそうだ。