2025-05-19 コメント投稿する ▼
公明党「平和創出ビジョン」発表:対話で築く国際協調、北東アジア安全保障対話機構を提唱
対話で国際協調を築く
公明党は5月13日、国際社会での対話を通じた平和構築を目指す「平和創出ビジョン」を石破茂首相に提出した。さらに15日には、各国元首脳らで構成される国際人道グループ「エルダーズ」にもこのビジョンを手渡し、平和外交の推進を強調している。このビジョンは2025年からの10年間を視野に、北東アジアでの安全保障協力や核廃絶、AI(人工知能)の規制と平和利用など、17分野にわたる具体的な提言を掲げている。
人間の安全保障を基軸に
このビジョンの根底には、「人間の安全保障」が据えられている。公明党は戦後80年、被爆80年、国連創設80年という歴史的節目に立ち、個々人の生命、生活、そして生存を尊重する姿勢を明確にした。谷合正明参院会長は、「世界が複雑な課題に直面している今、日本は平和外交を主導し、国際社会に貢献するべきだ」と強調。特に、ロシアのウクライナ侵略や新型感染症の流行、気候変動といったグローバルな課題に直面する中で、多国間の協調が不可欠だと指摘している。
北東アジアでの安全保障対話を提唱
このビジョンの柱となるのが「北東アジア安全保障対話・協力機構」の創設だ。これは、対立する国々も含めた多国間の対話を通じ、信頼を醸成し、紛争を未然に防ぐことを目指している。公明党は欧州の「欧州安全保障協力機構(OSCE)」をモデルにし、議論を重ねた。すでに中国ともこの構想を共有し、意見交換を進めている。まずは災害対策など共通の課題をテーマに協力を深め、将来的には国際機関への発展も視野に入れているという。
核廃絶とAIの平和利用
公明党は、唯一の被爆国である日本として核廃絶に向けたリーダーシップを発揮することを目標に掲げている。非核三原則を堅持し、核保有国に対しては「核兵器の先制不使用」を求め、非保有国への攻撃をしない「消極的安全保障」の誓約を促す方針だ。また、急速に進化するAI技術についても、軍事利用の規制を求めつつ、平和利用を推進。人権や民主主義へのリスクを最小限に抑え、人間中心の技術活用を目指している。
平和の党としての歩み
公明党はこれまでも平和への取り組みを進めてきた。1971年には「非核三原則」を国是とする付帯決議を実現し、1992年には国連平和維持活動(PKO)協力法で「PKO参加5原則」を明記。2015年には平和安全法制を整備し、隙間のない安全保障体制を構築した。また、地雷除去や政党外交を通じた各国との信頼関係構築にも力を入れている。直近10年間では、30カ国以上を訪問し、各国との信頼関係を深めてきた。
今後の取り組み
公明党は「平和創出ビジョン推進委員会」を新たに設置し、このビジョンの具体化に向けた取り組みを加速させる考えだ。NGOや若者団体との対話も継続し、国内外のパートナーと連携しながら、平和外交の実現に向けた活動を推進していく。谷合委員長は「国民とともに平和の潮流を生み出すことが重要」と述べ、ビジョンを深化させる姿勢を強調している。