2025-04-21 コメント投稿する ▼
原発の恩返しは新幹線?福井知事、小浜ルート維持に「奥の手」主張
北陸新幹線延伸計画:福井知事、原発貢献を理由に小浜ルート維持を主張
北陸新幹線の金沢―敦賀間が延伸開業してから1年が経過した。現在、敦賀から新大阪までの延伸計画が進行中だが、着工の見通しは立っていない。この状況下で、東海道新幹線米原(滋賀県米原市)へのルート変更を求める声が上がっている。これに対し、福井県の杉本達治知事は、県南部に立地する原子力発電所が電力の安定供給に貢献してきたことを理由に、小浜ルートの維持を訴えている。しかし、この主張には関係者から疑問の声も上がっている。
小浜ルートと米原ルートの比較
北陸新幹線の敦賀以西の延伸ルートについては、以下の2案が検討されている:
- 小浜ルート:福井県小浜市を通り、京都市を経由して新大阪に至る。このルートは、金沢から新大阪までを約1時間19分で結ぶとされ、想定される工期は15年とされている。
- 米原ルート:敦賀から東海道新幹線の米原駅に接続するルート。建設距離が短く、工期は約10年と見込まれているが、米原駅での乗り換えが必要となる。
2016年に与党のプロジェクトチームが小浜ルートを正式に採用したが、近年、米原ルートへの再考を求める声が強まっている。特に、石川県の自民党県連が米原ルートへの再考を国に求める決議案を提出する方針を示すなど、議論が再燃している。
福井県知事の主張とその背景
杉本知事は、福井県南部に立地する原子力発電所が長年にわたり関西地域への電力供給に貢献してきたことを強調し、その見返りとして小浜ルートの維持を主張している。3月24日に関西電力の森望社長と面会した際には、「電力消費地である大阪や京都での理解が進んでいない。関西からしっかりと建設促進の声を上げていただきたい」と述べ、関西地域の支援を求めた。
また、杉本知事は、原発立地地域の振興は国の責務であるとし、北陸新幹線の小浜ルートはその一環であると主張している。このような主張は、原発の地元負担に対する補償としてのインフラ整備を求めるものである。
関係者からの疑問と今後の展望
一方で、原発の電力供給と新幹線ルート選定を結びつける杉本知事の主張には、関係者から疑問の声も上がっている。特に、米原ルートは建設距離が短く、工期も短縮できることから、費用対効果の面で優れているとの指摘がある。また、京都府や大阪府などの関西地域では、小浜ルートに対する理解が進んでおらず、建設促進の声が上がっていない現状も課題となっている。
現在、敦賀以西の延伸計画は環境アセスメントの手続きが進行中であり、着工時期は未定である。今後、関係自治体や国との協議が進む中で、ルート選定に関する議論がさらに活発化することが予想される。
- 北陸新幹線の敦賀以西の延伸計画は、小浜ルートと米原ルートの2案が検討されている。
- 福井県の杉本知事は、原発の電力供給貢献を理由に小浜ルートの維持を主張している。
- 米原ルートは建設距離が短く、工期も短縮できることから、再考を求める声が強まっている。
- 関西地域での理解不足や建設促進の声の欠如が、小浜ルートの課題となっている。
- 延伸計画は環境アセスメントの手続きが進行中であり、着工時期は未定である。
今後、関係自治体や国との協議が進む中で、ルート選定に関する議論がさらに活発化することが予想される。