2025-03-28 コメント投稿する ▼
横浜市全域が「ワイン特区」に認定 浜なしワインで地産地消と農業活性化を後押し
横浜市全域が「ワイン特区」に認定 地産地消と農業振興に期待
横浜市は2025年3月28日、内閣総理大臣から「横浜ワイン特区」として認定された。これにより、市内全域で特産果実を使用した果実酒の製造に関する規制が緩和され、小規模事業者の参入が可能となる。特に、市のブランド果実「浜なし」を活用したワイン製造の動きが注目されている。
特区認定の概要と規制緩和の内容
「横浜ワイン特区」は、構造改革特別区域制度に基づき、地域の特性に応じた規制改革を通じて地元産業の活性化を図るものである。今回の認定により、従来は年間6キロリットル以上の製造が必要だった酒類製造免許の取得要件が、果実酒に限り年間2キロリットルに引き下げられた。これにより、小規模な施設でもワイン製造が可能となり、市内産の梨、ぶどう、柿を原料とした果実酒の生産が促進される。
「浜なし」ワインの製造と販売の動き
横浜市の特産品である「浜なし」は、約130軒の農家によって生産されており、2024年の生産量は約930トンに上る。しかし、そのうち約3割が規格外品として廃棄されているのが現状である。この規格外品を有効活用するため、ワイン販売会社「テンブレイン」(横浜市青葉区)は、過去4年間にわたり、規格外の浜なしを使用したワインを長野県のワイナリーに委託して製造・販売してきた。2024年にはフルボトル800本を製造し、11月の発売から翌年2月末までに完売するなど、好評を博している。
今回の特区認定を受け、同社の高橋栄治郎社長は、自身が理事長を務める社会福祉法人での製造・販売を目指すことを決定した。免許取得に必要な製造量2キロリットルはフルボトル約2700本に相当し、過去には2300本を委託製造した実績もあることから、実現可能と判断したという。
地産地消と6次産業化への期待
横浜市は、今回の特区認定を契機に、地元農産物の消費拡大と6次産業化を推進する方針である。特に、天候不順などにより発生する規格外品の有効活用を課題とし、果実酒製造の促進により廃棄削減を目指す。また、都市と農のつながりを発信するプロジェクト「横浜農場」を通じて、農畜産物や農景観、地域資源を活かした地産地消の推進を図る。
今後の展望
横浜市みどり環境局農業振興課の澤田悦子課長は、「市内のさまざまな事業者が農家との連携で商品開発をしている。特区認定により、小規模の事業者もワインを製造できるので、横浜から梨・ぶどう・柿を使った新たな特産品が生まれていくことを期待している」と述べている。
今後、横浜市内での果実酒製造が活発化することで、地元農産物の付加価値向上や地域経済の活性化が期待される。また、規格外品の有効活用による食品ロス削減や、都市農業の振興にも寄与することが見込まれる。
- 横浜市全域が「横浜ワイン特区」に認定され、市内産果実を使用した果実酒製造の規制が緩和された。
- 酒類製造免許の取得要件が、果実酒に限り年間6キロリットルから2キロリットルに引き下げられ、小規模事業者の参入が可能となった。
- 特産品「浜なし」の規格外品を活用したワイン製造の動きが活発化しており、地元企業が製造・販売を計画している。
- 地産地消や6次産業化の推進、食品ロス削減、都市農業の振興など、多方面での効果が期待される。