2025-06-27 コメント投稿する ▼
通信履歴を3カ月以上保存へ SNS詐欺対策で総務省が指針改正案 プライバシーとの両立は?
通信履歴の3カ月保存要請へ
詐欺や誹謗中傷の捜査強化に向け総務省が指針改正案を提示
詐欺抑止のため通信履歴保存を要請
総務省は6月27日、SNSやインターネットサービスを通じた詐欺被害を抑止するため、事業者に対して通信履歴を3カ月以上保存することを求める指針の改正案を発表した。これは、犯罪グループによる違法情報の流通を把握し、捜査を円滑に進めるための措置とされる。
新たな指針案は、SNS運営会社などがユーザーの通信履歴やアカウント情報、投稿内容、サービス利用の日時などを、少なくとも3~6カ月程度保存することが「望ましい」と明記するもので、同日に開催された作業部会で了承された。
「やる側は何度もアカウントを作れるのに、被害者だけが泣き寝入り」
「口座凍結や通報のタイミングが遅れたら意味がない」
「記録がないと警察も追いようがない」
「悪質ユーザーを野放しにしてる運営も共犯みたいなもん」
「匿名性を盾にやりたい放題の現状にようやくメスか」
「通信の秘密」とのバランスが焦点に
今回の保存要請には慎重な配慮も求められる。通信履歴は、日本国憲法第21条が保障する「通信の秘密」に該当するとされており、国による情報の保存・取得には高い法的ハードルが存在する。
総務省はこれまで、通信事業者に対しては、料金請求や苦情対応など「業務上不可欠な範囲」に限って履歴を保存するよう促してきた経緯がある。そのため今回の改正案でも、保存期間の「上限」はこれまで通り「1年程度」とする姿勢を維持しつつ、あくまで「下限」の目安として3~6カ月を新たに明記する形となっている。
総務省は「通信履歴の保存は、個人のプライバシーとのバランスを慎重に図りつつ、社会的に求められる安全確保に応えるものである」と説明しているが、ネット上では「政府による監視の強化ではないか」と懸念の声もある。
ネット犯罪の巧妙化、捜査の遅れが被害拡大を招く現状
背景にあるのは、SNSや匿名掲示板などを通じた特殊詐欺、なりすまし、誹謗中傷といった犯罪の巧妙化だ。複数の通信手段やアカウントを使い分け、犯罪行為の痕跡を消すケースが増えており、警察当局は「証拠となるログが早期に消去されると、追跡が困難になる」と危機感を募らせている。
また、被害者が被害を自覚するまでに時間がかかるケースもあり、警察に相談した時点で既にログが削除されていたために泣き寝入りせざるを得なかった事例も少なくない。通信履歴の保存期間を延ばすことは、こうした「取りこぼし」を防ぐうえでも重要だとの指摘がある。
特に近年は、外国籍のアカウントやVPNを悪用した不正アクセス、マルチ商法まがいの勧誘、ネットいじめなど、従来型の捜査手法では対応が困難な事案が相次いでいる。こうした現実に即した対応が急がれている中、今回の指針改正は一定の抑止効果が期待される。
「記録かプライバシーか」ではない選択肢を
一方で、ユーザーのプライバシー権をどう守るのかという課題も残る。通信履歴の保存が常態化すれば、たとえ善良な市民であっても、いつ・どこで・誰とやりとりをしたかといった個人の行動履歴が、事業者や当局に把握されることになる。万が一、外部への漏えいが発生した場合、その影響は計り知れない。
総務省は「漏えいや目的外利用には引き続き最大限の配慮を求める」としているが、第三者機関による監視体制の強化や、保存データへのアクセス制限の厳格化、事後報告の義務付けなど、より実効性ある制度設計が必要とされる。
加えて、政府による通信情報の保存要請が常態化することで、「監視社会化」への警戒も根強い。過去には個人情報が警察や第三者に不適切に提供された事例もあり、今後も市民の権利を損なわない制度運用が求められる。
今回の指針改正は、「記録を残すか、プライバシーを守るか」の二者択一ではなく、両立を目指す制度として進化できるかが鍵だ。犯罪抑止と権利保護のバランスをいかに取るか、総務省の今後の対応が注視される。