2025-06-29 コメント投稿する ▼
石垣市・中山市長が不信任で自動失職 日付改竄問題で再選出馬に賛否の声
改竄問題で中山市長が自動失職
沖縄県石垣市の中山義隆市長が、議会による不信任決議を受け、地方自治法の規定により6月29日に自動失職した。市長職をめぐる直接的な発端となったのは、市の国民健康保険特別会計における赤字補塡に関する手続きでの「日付改竄」だ。
本来、赤字補塡の専決処分は5月30日までに済ませる必要があった。しかし市の担当者がこの期限を失念し、実際の決裁は6月9日。発覚後、市側は決裁文書の日付を「5月30日」にさかのぼって記載するという改竄を行った。さらに市議会の委員会において、担当課長が「5月30日に祭り会場で市長から決裁印を受けた」と虚偽の説明を行い、問題は一層深刻化した。
これを受けて石垣市議会は6月18日、不信任決議案を可決。議会を解散すれば職に留まることもできたが、中山氏は「議会解散は筋が通らない」として自らの自動失職を選択した。
“筋が通らない”という主張と市民感情のズレ
中山氏は産経新聞の取材に対し「専決処分に伴う日付のさかのぼりがあった。改竄といわれればその通り」と改竄を認めたものの、それを「事務的なミス」とも説明し、故意性を否定。市民に対しては「批判は真摯に受け止める」と述べるにとどめた。
一方、議会内外からはこの発言に強い反発も広がっている。公文書の改竄は行政の信頼を根底から揺るがす行為であり、「事務的なミス」で済ませるにはあまりに重大すぎるとの声が相次いでいる。虚偽答弁まで含んだ今回の一連の行動は、故意性や組織ぐるみの隠蔽体質を疑われても仕方がない。
さらに、市民の中には「筋が通らない」として議会を解散しなかった中山氏の判断に対して、「説明責任から逃げただけではないか」との批判もある。改選を経ることで責任を果たすのではなく、辞職によって一時的に幕を引く姿勢に不誠実さを感じる人も少なくない。
出直し選挙へ 7月2日に出馬可否を最終判断
中山氏は今後50日以内に行われる出直し市長選に出馬する意向をにじませている。自民党石垣市支部が候補者を決定する方針であり、7月2日までに最終判断が下される見通しだ。
過去に何度も市長選に勝利してきた実績を持つ中山氏だが、今回は厳しい選挙戦になることは間違いない。
特に、選挙戦では「公文書改竄」「虚偽答弁」「責任逃れ」という三点セットが問われることになる。仮に再選された場合、市民の「許容」とも受け取られかねず、今後の石垣市政の信頼性が揺らぎ続けるリスクが残る。
一方で、石垣市が国防上の重要拠点であるという地域的な事情や、現職としての実績・人脈を評価する声もある。市政の安定を求める有権者の中には、「代わりがいない」として中山氏の続投を望む層も一定数存在するのが現実だ。
ネットでは批判と皮肉の声が噴出
SNS上では今回の一件について、怒りと呆れが入り交じった投稿が目立つ。
「決裁日を勝手に変えて何が“事務的ミス”だよ。ふざけんな」
「責任取りたくないから議会解散せずに逃げただけだろ」
「出直し選挙に出るってことは、また税金使って選挙やるのか。勘弁して」
「虚偽答弁までやっておいて再選狙うの?市民なめてるとしか思えない」
「これで再選されたら、もう石垣市は“公文書改竄OK市”ってことになる」
こうした声に対し、一部では「石垣の未来を考えれば中山さんしかいない」「騒ぎすぎ」といった擁護の意見も出ているが、全体としては不信感が根強い。
市政の信頼回復は可能か
公文書の改竄が問われるなかで、最終的に市民がどのような判断を下すかが注目されている。出直し市長選は単なる人選びではなく、「行政の倫理」を問い直す場ともなるだろう。
透明性のある政治、説明責任を果たす首長、誠実な行政対応。これらが揃って初めて、市民の信頼は再び取り戻される。仮に中山氏が再選を果たすにしても、これまで以上に厳しい視線と説明責任が課せられることになるのは避けられない。