2025-06-04 コメント投稿する ▼
トラック運送業に5年更新制導入へ 適正原価制度で賃金改善と下請け是正を目指す法改正が成立
5年更新制で運送業の適正化へ
トラック運送業のあり方を根本から見直す法改正が、6月4日の参議院本会議で可決・成立した。今回の改正により、これまで一度取得すれば無期限だった事業許可が、5年ごとの更新制に変わる。更新制度は今後3年以内に導入される予定で、業界の健全化と運転手の待遇改善を目指す。
これまで許可取得後の業者に対しては、行政の監査などによって違反が判明するまで実態が把握されにくいという課題があった。改正後は、独立行政法人などが定期的に安全対策や労働環境を調査し、不適切な業者をふるいにかける体制が整備される。
「適正原価」で賃金改善を後押し
注目されるのが、「標準的な運賃」に代わる新制度「適正原価」の導入だ。従来の制度はあくまで参考値にとどまり強制力に欠けていたが、新たに導入される「適正原価」は、人件費や安全対策費などを考慮した上で国が提示し、事業者はこれを下回らない料金設定が求められる。
さらに、下請け構造の是正にも踏み込んだ。多重下請けによる価格のたたき合いを防ぐため、実際に運送を請け負う事業者は、元請けから2次請けまでにとどめるよう制限される。これにより、ドライバーに十分な報酬が行き届き、過酷な労働環境の改善につながると期待される。
中小業者にはデジタル対応が課題
新制度の運用には、各業者がTMS(輸配送管理システム)や業務管理ソフトを導入し、運送契約の内容や実績をデジタルで記録・管理する必要がある。中小規模の運送業者にとっては、新たな負担になることは否定できないが、政府はIT導入補助金などによる支援を進める方針だ。
また、事業者には、運転手の労働時間や安全教育の実施状況なども厳しくチェックされる見通しであり、持続可能な物流体制の構築が焦点となる。
政治主導で実現 自民が主導し野党も協力
今回の改正は、運送業界団体からの強い要望を受け、自民党が議員立法として起草。与野党間で協議が進められ、幅広い合意のもとで成立に至った。長年見過ごされてきた運送業界の構造的問題に、ようやく政治のメスが入った形だ。
ネット上の声も様々
「やっとこの業界にも本格的な改革が来たな。ドライバーの待遇が少しでもよくなれば」
「多重下請けが常態化していたけど、ようやく国が本気を出してくれた」
「うちみたいな中小にとっては厳しいけど、今のままじゃドライバーが続かない」
「“適正原価”は良いけど、ちゃんと徹底されるのかが心配」
「更新制でふるいにかけるのは賛成。安全をないがしろにする会社は淘汰されるべき」
この法改正により、運送業界は確実に転換点を迎える。業界の信頼回復とともに、運転手が安心して働ける環境を整えることが、これからの物流を支える土台となるだろう。