2025-04-11 コメント投稿する ▼
国会に響いたブルーハーツ 岡野議員、下請法改正で経済構造の変革訴え
話題になったのは、経済産業省が設置した「企業取引研究会」の報告書に書かれていた“異例の一文”だ。岡野氏はこう紹介した。
「報告書のまとめの冒頭には、あのブルーハーツの歌詞が引用されていました。『弱い者たちが夕暮れ さらに弱い者をたたく その音が響き渡れば ブルースは加速していく』。まさか行政文書でこの歌を見るとは思いませんでした」
議場にはどよめきが走ったが、岡野氏は表現の背景に込められた問題意識を読み解き、「それだけ現場の切実な声が集まった報告書だった」と続けた。
“弱い者”とは誰か――誤解を正す指摘
岡野氏は続けて、「ここで言う『弱い者』とは、決して下請け業者のことではない」と強調した。
「本来の商品価値を磨こうともせず、力関係を利用して労働者や取引先を正当に評価せず、価格を押し下げる企業こそが“弱い者”であり、そうした企業が連鎖して形成するサプライチェーンは、本当に強い経済を生み出すのかと疑問を呈している」と説明すると、議場からは「その通りだ」との賛同の声も上がった。
取引の適正化が「強い経済」へのカギ
岡野氏は、価格をただ抑えるだけでなく、サプライチェーンの中で各企業が商品やサービスの価値を高め、成果を分かち合える構造に転換すべきだと訴えた。
「安い労働力に頼る時代は終わり。これからは、一人ひとりの生産性を引き上げ、誇りを持って働ける社会を作ることが重要です。そのためには、元請に近い立場の企業が率先して取引の在り方を見直し、業界全体に波及させる動きが必要です」
政府としても、取引最上位企業から業界団体を通じて、サプライチェーン下層まで価格転嫁が進むよう働きかけるべきではないかと提案した。
経産相「業界トップに直接要請」
これに対して、武藤容治経済産業大臣は「サプライチェーンの下流に行くほど価格転嫁が進みにくいという課題は確かにある」と認めた。
そのうえで、「先日、電気電子、産業機械、自動車の各業界トップに対し、私から直接、取引適正化を要請した」と明かし、「価格決定の情報をチェーン全体に伝えるよう、ハイレベルな要請を進めている。今後はその実施状況をきちんとフォローしていく」と述べた。
背景にあるもの
今回の下請法改正の議論は、単なる制度の見直しにとどまらず、日本経済の構造的課題、つまり「安さ」頼みから「価値」重視への転換という大きなテーマに触れている。
ブルーハーツの歌詞を借りてでも、現場の苦悩と現状を訴えた岡野議員の姿勢が、多くの共感を呼んだのは確かだ。