岸田文雄前首相、TICAD9議長代理に起用　石破首相の個別会談中に議事進行を担当

岸田前首相が議長代理として国際会議の舞台に復帰

政府は8月5日の閣議で、今月20日から22日に横浜市で開催される第9回アフリカ開発会議（TICAD9）の議長代理に岸田文雄前首相を起用することを正式決定した。議長は石破茂首相が務めるが、各国首脳らとの個別会談が同時並行で行われる際には、岸田前首相が代わって全体会合の議事進行を担う。

林芳正官房長官は同日の記者会見で、「全体会合の議事運営は首脳経験者や首相経験者が行うことが望ましい」と説明。国際舞台での議事進行役には高い外交経験と調整力が求められることから、首相経験者である岸田氏の起用は「適任」と判断されたとみられる。

TICADの意義と日本外交

TICAD（Tokyo International Conference on African Development）は、日本政府が主導して行う首脳級の国際会議で、アフリカ諸国と国際機関、民間セクターが一堂に会し、開発課題や経済協力、平和構築など幅広いテーマを議論する。第1回会議は1993年に東京で開催され、以降3年ごとに開催地を交互に日本とアフリカで設定してきた。今回は9回目となり、横浜市での開催は複数回目となる。

日本にとってTICADは、アフリカ諸国との外交関係を深化させると同時に、中国や欧州連合（EU）、米国などが進めるアフリカ外交とのバランスを取る重要な場でもある。日本はインフラ整備や人材育成、保健医療支援などでの協力を通じ、「質の高い成長」をキーワードにアフリカの発展を後押ししてきた。

岸田氏起用の背景

今回の議長代理起用は、石破首相の国際会議運営と個別外交の双方をスムーズに進めるための布陣といえる。会議では全体会合のほか、多くの二国間・多国間会談が並行して行われるため、議長代理の役割は極めて重要だ。

過去には麻生太郎元首相や他の閣僚経験者が議長代理を務めており、首相経験者の起用は珍しくない。岸田氏は外相経験も長く、G7や国連などの多国間会議での経験が豊富であることから、各国代表との対話や議事進行に適していると判断された模様だ。

国際舞台で問われる調整力

議長代理は単なる司会役にとどまらず、議題ごとの討議時間の調整、参加国の意見を公平に反映させる進行、議論の方向性を整理して最終文書の取りまとめに関与する場合もある。特にアフリカ諸国は多様な政治体制や経済状況を持ち、課題も地域ごとに異なるため、議事進行には高い外交センスが求められる。

岸田氏にとっても、首相退任後の国際舞台での活動は、自身の外交手腕を改めて内外に示す機会となる。TICADでの役割を通じて、日本の対アフリカ政策の継続性と安定性をアピールできれば、国際社会での信頼感の維持につながるだろう。

SNSの反応

「岸田さん、こういう場面では安心感がある」
「首相経験者を議長代理に起用するのは理にかなっている」
「TICADはもっと国内でも注目されるべき」
「外交の現場で経験を活かせるのは良いこと」
「石破首相と岸田前首相のコンビ、意外と良さそう」

今後の展望

TICAD9では、アフリカ経済の持続的発展、気候変動対策、医療・保健の強化、食料安全保障、平和と安定の確保といった幅広い課題が議論される見込みだ。日本としては、これらのテーマでの具体的な支援策や民間投資の促進を打ち出すことで、アフリカ諸国との信頼関係を強化する狙いがある。

岸田氏の議長代理としての役割は、議論を円滑に進めるだけでなく、日本が国際協調と戦略的パートナーシップを重視している姿勢を示すうえで重要な意味を持つ。会議の成果とともに、石破首相と岸田前首相による二人三脚の外交運営にも注目が集まるだろう。