2025-11-13 コメント投稿する ▼
藤田文武氏が衆院選制度改革で中選挙区制導入を提案
過去に中選挙区制を運用した時期には、同一政党内から複数の候補者を擁立することで票が割れ、政党内競争が激化するというリスクが確認されていました。 こうした過去の課題を踏まえないまま制度を変えると、制度変更が政党有利の駆け引きに使われてしまう懸念もあります。 選挙制度を変えるということは、戦略の土台を変えるという意味でもあります。 次に、中選挙区制を前提とした選挙区割りの見直しです。
藤田氏は現在の「小選挙区比例代表並立制」について「健全な二大政党制を志向したが、なし得なかったと結論が出た」と述べ、SNS普及などに伴う多党化の潮流を背景に、従来の制度が時代にそぐわなくなっているとの認識を示しました。
中選挙区制の提唱理由
藤田氏が導入を主張する中選挙区制とは、ひとつの選挙区から複数の議員を選ぶ方式で、かつて日本でも採用された制度です。自ら「多党化の時代に突入しており、中選挙区制がベストだ」と語り、複数政党がせめぎあう時代において、有権者の細かな支持をより反映できる可能性があると見ています。
また、小選挙区制では支持が散った政党の票が議席に十分結びつかず、いわゆる“死票”が多くなるとの批判があります。その点でも、中選挙区制が持つ柔軟性に期待を掛けている格好です。
制度復活の課題と懸念
ただし、この制度を再び導入するには慎重さも必要です。過去に中選挙区制を運用した時期には、同一政党内から複数の候補者を擁立することで票が割れ、政党内競争が激化するというリスクが確認されていました。制度そのものが“票の取り合い”構造を生み、選挙費用や後援会運営などが肥大化し、金銭的な政治の温床になったとの指摘もあります。
こうした過去の課題を踏まえないまま制度を変えると、制度変更が政党有利の駆け引きに使われてしまう懸念もあります。制度改革を主張する以上、透明な議論と国民への説明が不可欠です。
政治的波及とタイミング
選挙制度を変えるということは、戦略の土台を変えるという意味でもあります。制度の枠組みが変われば、政党も候補者も支援体制も大きく変化せざるを得ません。藤田氏が「多党化」という現実を前提に改革を呼びかけているのは、今の政治における支持の分散を制度の「古い枠組み」が受け止めきれていないという問題意識の現れでもあります。
一方で、制度変更を持ち出すことはタイミングや「誰が得をするか」という政治的駆け引きを含んでしまいます。議員定数の見直し、選挙区割りの再設定、実施時期の整備などハードルも多く、国民の理解を得られなければ改革そのものが信用を失うリスクも孕んでいます。
今後注目するポイント
藤田氏の提言が本格的な制度改革に繋がるかを見極めるため、いくつか焦点があります。
まず、議員定数削減の具体的な方針とスケジュールです。藤田氏はこれを「まず実現させる」と発言していますが、具体的な数字や時期はまだ明らかにされていません。
次に、中選挙区制を前提とした選挙区割りの見直しです。人口動態の変化や地域間の格差をどう反映させるかが制度の公平性を左右します。最後に、国民への説明責任と理解促進です。選挙制度は有権者の信頼によって支えられます。なぜ制度を変えるのか、変えるとどうなるのかを丁寧に伝えることなしには、制度そのものが「政党の都合で変えられた」と受け取られてしまうリスクがあります。
選挙制度は社会のルールそのものです。ルールが変われば、ゲームの勝者も戦略も大きく変わります。藤田氏が提示した「中選挙区制復活」の構想は、今の多党化時代にあって議論に値する提案です。しかしその実現には、制度設計の綿密さと国民との信頼構築が前提です。改革の意志は強くとも、具体化のプロセスにこそ慎重な配慮が求められます。