2025-11-12 コメント投稿する ▼
維新・藤田氏がメディア出禁措置 公設秘書マンション撮影で建造物侵入と警察通報
藤田氏は公設第1秘書が経営する会社兼自宅のマンション敷地内への侵入を「犯罪行為」として警察に通報したと明らかにしており、報道の自由をめぐって政治家とメディアの対立が激化しています。 この出入り禁止措置は、藤田氏の公金還流疑惑をめぐる一連の報道における取材手法への強い反発として実施されたもので、政治とメディアの関係に新たな緊張をもたらしています。
日本維新の会の藤田文武共同代表(44歳)が2025年11月12日の国会内での定例会見で、フリージャーナリストと動画を公開したネットメディアを「金輪際、出禁にさせてもらいました」と宣言しました。藤田氏は公設第1秘書が経営する会社兼自宅のマンション敷地内への侵入を「犯罪行為」として警察に通報したと明らかにしており、報道の自由をめぐって政治家とメディアの対立が激化しています。
この出入り禁止措置は、藤田氏の公金還流疑惑をめぐる一連の報道における取材手法への強い反発として実施されたもので、政治とメディアの関係に新たな緊張をもたらしています。
背景にある公金還流疑惑
今回の対立の発端は、共産党機関紙「しんぶん赤旗」が11月2日に報じた藤田氏の公金還流疑惑です。報道によると、藤田氏側は2017年6月から2024年11月まで、自身の公設第1秘書が代表を務める「株式会社リ・コネクト」に約2000万円を支出していました。
このうち9割以上が政党交付金や調査研究広報滞在費といった公金から支出されており、同社は公設第1秘書に年720万円の報酬を支払っていました。専門家からは「実質的な税金還流であり、利益供与にあたる疑いがある」との指摘が出ています。
公設第1秘書が経営する「リ・コネクト」の本店所在地は、兵庫県西宮市のマンションの一室となっており、同社は「印刷機がない」にもかかわらず、藤田氏側からビラやポスターのデザイン代・印刷代として多額の業務を受注していました。
マンション撮影をめぐる対立
問題となったのは、フリージャーナリストの西谷文和氏らが11月3日に公設第1秘書の会社兼自宅マンションを訪問し、取材活動として撮影した動画をネットメディア「アークタイムズ」で公開したことです。
11月4日の記者会見で藤田氏は、ネットメディアの記者に対して「マンションの動画出されていましたね?オートロックの中に勝手に入っているんですよ。彼は所属しているんですか?」と詰問し、「共用部なので建造物侵入で逮捕されますよ。警察に通報して画像を提供しています」と厳しく指摘しました。
藤田氏は会見で「過去に及川さんという方も松井一郎さんのマンションに入って逮捕されました」と前例を挙げ、今回も同様の犯罪行為だと主張しました。
フリージャーナリストが反論
これに対してフリージャーナリストの西谷文和氏は、藤田氏の発言を受けて質問状を送付し、撤回と謝罪を求めています。西谷氏は「オートロックはなかった」「正当な取材活動だった」として事実誤認があると主張しています。
しかし、実際にネット上に公開された動画を見ると、マンション入口にインターホンが映っており、オートロックマンションの可能性が高いことが指摘されています。SNSでは取材手法への批判が相次いでいます。
「取材と言えば何でも許されると思っているのか」
「住民のプライバシーを考えろ、家族もいるのに」
「メディアの横暴がひどすぎる、これは完全にアウト」
「オートロックに無断で入るのは明らかに犯罪行為だ」
「正当な取材なら事前にアポを取るのが常識でしょう」
出禁措置の詳細と今後の展開
藤田氏は12日の会見で、フリージャーナリストから質問状が届いたことについて「オートロックの中に入っていないとか、なんかいろいろおっしゃられていて、うちに質問状が来たんですが、ちょっとなんかわからない話で。もう動画にも映っている話なので」と反論しました。
藤田氏は「否認されているようなので、私たちはそういうリスクも勘案して、その方と一緒に」動画を公開したネットメディアも出入り禁止にした理由を説明しました。警察への通報については「秘書の会社の方で、警察に通報して、警察は動いているのは事実」と明らかにしています。
この出入り禁止措置により、該当するジャーナリストとネットメディアは今後、藤田氏が関わる記者会見や取材活動への参加が一切できなくなります。政治家が特定のメディアを排除する措置は極めて異例であり、報道の自由をめぐる議論を呼んでいます。
メディアの取材倫理が問われる
今回の問題は、政治家の説明責任とメディアの取材倫理の両面から考える必要があります。一方で藤田氏の公金還流疑惑は重要な政治問題であり、国民の知る権利に応えるための報道は不可欠です。
しかし他方で、居住者のプライバシーや安全を脅かすような取材手法は正当化できません。特に最近、兵庫県でマンションに侵入した男による殺人事件が発生したばかりであり、住民の不安は深刻です。
法律専門家は「オートロックマンションの共用部分への無断立ち入りは、住居侵入罪や建造物侵入罪にあたる可能性が高い」と指摘しています。取材目的であっても、法的な正当性は認められないというのが一般的な見解です。
メディア関係者の間でも「取材の自由は重要だが、住民の安全とプライバシーを侵害してまで行うべきではない」「事前にアポイントを取るのが取材の基本」との声が上がっています。
今回の藤田氏の厳格な対応は、従来のメディアの特権意識に対する警鐘とも受け取られており、今後の政治報道のあり方に大きな影響を与える可能性があります。政治家の説明責任とメディアの取材倫理のバランスをどう保つかが、民主主義社会にとって重要な課題となっています。