2025-11-11 コメント投稿する ▼
小野田紀美氏「テロリストに何も与えない」 安倍元首相銃撃事件への質問に沈黙で応じる
小野田氏の言葉は、ニュージーランドのアーダン元首相が2019年の銃乱射事件後に「犯人の名前は二度と口にしない」と語った発言を想起させるものだった。 「テロリストに名前も与えない」という姿勢は、凶行に及んだ人物に社会的注目や“舞台”を与えないという強い決意の表れでもある。 一方で、「事件の背景に踏み込まないのは説明責任の放棄ではないか」という声も一部で上がっている。
「テロリストに何も与えない」——小野田紀美氏が断言
小野田紀美・外国人共生担当相は11日の記者会見で、安倍晋三元首相の銃撃事件について質問を受けた際、「所管外だ」とした上で、きっぱりとこう言い切った。
『テロリストには何も与えない、名前もだ』と言った人がいました。テロリストに対して、何かコメントすることはありません。
事件の詳細や背景については一切語らず、コメントを控える姿勢を貫いた。
背景にある“あの日”と記者とのやり取り
安倍元首相が演説中に銃撃されたのは2022年7月8日。奈良県での惨劇から3年以上が経つ。事件の裁判では、被告の男が母親の旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)への恨みを動機にしたとされている。
会見では一部記者が被告を「さん付け」で呼びながら、「安倍氏が統一教会を野放しにした責任はないのか」と問いかけた。これに対し小野田氏は、淡々とした口調で答えた。
私から申し上げることは一つもございません。
さらに、別の記者から「事件の気持ちの整理はついたか」と聞かれると、
一生、つきません。以上です。
と静かに答え、会見場は一瞬、張り詰めた空気に包まれた。
発言が意味するもの
小野田氏の言葉は、ニュージーランドのアーダン元首相が2019年の銃乱射事件後に「犯人の名前は二度と口にしない」と語った発言を想起させるものだった。
「テロリストに名前も与えない」という姿勢は、凶行に及んだ人物に社会的注目や“舞台”を与えないという強い決意の表れでもある。
一方で、「事件の背景に踏み込まないのは説明責任の放棄ではないか」という声も一部で上がっている。旧統一教会と政治の関係、警備体制の不備など、社会が抱える課題に対して、政府としてどのように向き合うのかが問われている。
「整理は一生つかない」——沈黙の裏にある本音
小野田氏の「一生つきません」という言葉には、あの事件が与えた衝撃と、いまなお癒えない痛みがにじむ。
政治家であっても、一人の人間としてあの日の記憶を背負っているということだろう。
ただ、政治の場では“個人の感情”と“公の説明”をどう両立させるかが常に問われる。小野田氏の沈黙は、信念の表れでもあり、同時に政府の説明姿勢に一石を投じるものでもある。
今回の発言で、政府の姿勢は一層明確になった。「テロに屈しない」「注目を与えない」。しかしそれだけで終わらせてはいけない。
事件の背景にある宗教団体と政治の関係、警備体制の課題、そして被害者と社会の癒やし——。再発を防ぐために、掘り下げて語るべきことはまだ多い。