2025-04-10 コメント投稿する ▼
食料品の消費税ゼロへ 立憲が参院選公約に向け提言 党内に広がる“減税論争”
現在、飲食料品には軽減税率として8%の消費税がかかっているが、提案では、物価高が落ち着くまでの期間、これを0%にすることを柱としている。試算では、年間約5兆円の税収減が見込まれるものの、必要な財源は国債の発行や政府の剰余金などで手当てできるとした。
江田氏は10日に行われた会合で、「超党派で食料品の消費減税を求める声が出始めている。われわれこそがその先駆けだという気概で、しっかり議論をリードしたい」と意気込みを語った。
グループでは、将来的に「給付付き税額控除」の導入も視野に入れており、今回の提案をその「橋渡し」と位置づけている。これは、低所得層が負担する消費税の一部を税額控除で取り戻し、控除しきれない分を現金で支給する制度で、欧州などで導入実績がある。
党内では、11日から参院選に向けた政策議論が本格化する予定で、江田氏らはこの案を正式に提言する方針だ。
党内に横たわる「減税 vs 財政規律」の溝
ただし、立憲にとって「消費税減税」は簡単にまとまるテーマではない。党内には、財政健全化を重視する「財政規律派」と、景気回復や生活支援を優先する「減税派」が存在し、意見が大きく割れているからだ。
特に、かつて自らが首相として消費税率10%引き上げの道筋をつけた野田佳彦元首相は、財政規律派の象徴的存在。江田氏らの提案に対し、どこまで理解を得られるかは不透明だ。
2月に開かれた勉強会には、立憲所属議員の3割にあたる約60人が出席するなど、関心の高さは伺えるが、党執行部がこの案を公約に盛り込むかどうかは予断を許さない。
与党は慎重姿勢、減税論議は国政の焦点に
一方、与党・石破政権は、消費税の引き下げには慎重だ。石破首相は新年度予算の成立後の記者会見で、「物価高に対応する対策は講じていく」としながらも、「消費税減税は適当ではない」と否定的な考えを示している。
与党内には、「消費税は社会保障の財源でもあり、簡単に減らすわけにはいかない」との声も根強い。今後、立憲の動きに呼応するかたちで、他の野党や一部与党議員の間にも減税を求める声が広がれば、参院選を前に消費税のあり方が大きな争点となる可能性がある。
有権者にとって、日々の暮らしに直結する消費税。政党間の攻防は、いよいよ現実の家計に踏み込んだものになりつつある。