死刑執行、異例の“3年空白” 再開の裏に揺れる世論と制度見直し論

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死刑執行、異例の“3年空白” 再開の裏に揺れる世論と制度見直し論

3年ぶりの執行に世間が驚きと重さ


2022年7月を最後に停止していた死刑執行が、実に2年11カ月ぶりに行われた。27日、法務省は神奈川県座間市で9人を殺害し死刑が確定していた白石隆浩死刑囚に対し、刑の執行を実施したと発表。法務大臣による即日公表の制度が始まった1998年以降で、最長となる空白期間を経ての再開となった。

今回の執行にあたり、鈴木馨祐法相は臨時会見で「慎重の上にも慎重を期して判断した」と強調。死刑制度そのものの是非に触れる質問に対しては、「凶悪犯罪はいまだ後を絶たない。死刑の廃止は適当ではない」と明言した。

だがこの3年間、国内外で死刑制度をめぐる意識の変化が進行していたのは事実だ。執行再開の一方で、根底では死刑制度に対する日本社会の“揺らぎ”が強まりつつある。

「モラトリアム状態か」との憶測も


2022年以降、執行が途絶えたことで、国内では「日本も死刑モラトリアム(事実上の執行停止)に入ったのではないか」との声もあがっていた。欧州諸国を中心に死刑制度を撤廃・停止する国が相次ぐ中、日本もいずれ方向転換するのではという予測が拡がっていた。

事実、国際社会からの批判は根強く、国連の人権機関や各国のNGOは、日本政府に対して度々「死刑廃止に向けた動き」を求めてきた。その一方、日本国内では、世論の大多数はいまだ死刑存続に賛成している。

ただ、近年の変化も無視できない。2024年2月に内閣府が公表した世論調査では、「死刑を廃止すべき」とする回答が16.5%と過去最多を記録。5年前の9.0%から急増しており、調査方法の違いを差し引いても、死刑制度への懐疑的な意識が広がっていることがうかがえる。

「いつの間にか執行止まってたの、正直知らなかったけど、これは考えさせられる」
「死刑って必要なんだろうか。誤判がある以上、怖くて支持できない」
「死刑は感情の問題。遺族の気持ちを無視する議論は納得できない」
「執行が遅れれば遅れるほど、制度の正当性が揺らぐ」
「再審請求中は執行すべきでないけど、永遠に保留というのもまた不公平」

ネット上では、制度の必要性と冤罪リスクとの間で、真剣な意見交換が続いている。

冤罪再審と制度見直しへの圧力


2023年3月には、静岡県で起きた一家4人殺害事件で死刑が確定していた袴田巌さんの再審開始が東京高裁で決定され、2024年10月には無罪が確定した。日本の死刑制度にとって、これは極めて象徴的な出来事だった。

死刑が確定した後で無罪となった事例は極めて稀だが、その重みは計り知れない。袴田さんのように、約半世紀の獄中生活を経て再審が認められた事実は、司法制度そのものへの信頼を揺るがすものであり、「誤判による死刑執行」が決して絵空事ではないことを突きつけた。

現在、未執行の死刑囚105人のうち、49人が再審を請求中という現実がある。再審制度の在り方や弁護人の証拠開示請求権の拡大など、制度そのものの改善が求められる局面に入っている。

制度の“見直し”か、“継続強化”か 政治判断の分岐点に


刑事訴訟法では、死刑確定から6カ月以内の執行命令が求められているが、これは「訓示規定」であり、実務上は大幅な猶予が常態化している。実際、法務省によれば過去10年の死刑確定から執行までの平均期間は9年6カ月。慎重な検討は当然としても、その長期化は死刑制度の「有効性」そのものへの疑念を招きかねない。

現行制度を維持するにしても、透明性や再審手続きの明確化、冤罪防止策の徹底は不可欠だ。また、仮に制度を見直すならば、それに代わる抑止力と被害者感情への配慮をどう示すかが問われる。

現時点で政府は死刑制度の存続方針を維持しており、鈴木法相も「凶悪犯罪は後を絶たない」との立場を貫いている。しかし、袴田事件や世論の変化を無視すれば、制度の信頼は逆に損なわれる。政治・司法の双方が、理念と現実の間で正面から向き合う時期に来ているのは間違いない。

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2025-06-28 16:00:07(うみ)

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