2025-08-16 コメント投稿する ▼
沖縄も人口減少へ 未婚化と晩婚化に挑む「おきなわ結マッチ」と少子化対策の行方
出生率トップから人口減少へ
沖縄といえば、かつて「日本一の出生率」を誇る県として知られていました。2000年代初頭までは合計特殊出生率が2.0近くを維持し、全国平均を大きく上回っていたのです。しかし、その勢いも長くは続きません。2020年の出生率は1.83と、全国一位を保ちながらも下降線をたどり、2025年にはついに人口減少の局面に突入すると予測されています。
新垣淑豊氏も、自身のポストで次のように警鐘を鳴らしています。
依然として全国トップではあるものの、下降傾向は止まらず、2025年には人口減少局面に突入する見通しとなっています
数字の上では全国水準より高いとはいえ、沖縄ももはや「人口増の最後の砦」ではなくなりつつあるのです。
未婚化・晩婚化が深刻化
問題の核心は未婚化と晩婚化です。沖縄の平均初婚年齢は男性30.2歳、女性29.5歳と全国平均とほぼ同じ水準に上昇。さらに、生涯未婚率では男性が26%超と全国ワースト、女性も16%台で全国でも上位という厳しい現実が明らかになっています。
若年世代が『結婚したくても踏み出せない』状況に置かれていることが推察されます
背景には非正規雇用の増加や、地域での出会いの機会の乏しさ、経済的不安定といった要素が複雑に絡み合っています。単なる「ライフスタイルの多様化」では片付けられない構造的な課題です。
オンライン婚活サービス「おきなわ結マッチ」始動
こうした状況を受け、沖縄県は2025年度から新たに「結婚支援ネットワーク構築事業」を立ち上げました。その中心となるのが、2025年8月にプレ運用を開始したオンライン婚活サービス「おきなわ結マッチ」です。
この仕組みは、20代から40代の沖縄在住者や移住希望者を対象に、本人確認を徹底したうえでオンライン上でのマッチングや交流を可能にするものです。10月から本格運用に入り、初年度には約500人の登録を見込んでいます。
オンラインという利便性は、特に離島や中山間地域に暮らす人々にとって、これまで物理的制約によって諦めていた結婚の機会を再び開く可能性を秘めています
この言葉の通り、従来は地理的条件によって出会いの機会が限られていた地域の住民にとって、大きな可能性を切り開く仕組みとなりそうです。
子育て環境整備も進展
沖縄県は「出会い」の支援にとどまらず、子育て環境の改善にも力を注いできました。待機児童数は2015年に2,500人を超えていましたが、2024年には350人程度まで減少しています。保育士の待遇改善や保育の質向上にも取り組み、一定の成果を上げてきました。
一方で、認可保育園の不足や保育士不足といった課題は依然として残されています。児童手当の拡充や教育費支援、住宅支援など、国の「こども未来戦略」と連動する形での政策も進められていますが、持続的に効果を出すにはさらなる支援が欠かせません。
人口危機をどう乗り越えるか
沖縄は長らく「出生率が高いから大丈夫」という見方をされてきました。しかし、今や男性の未婚率は全国最悪という現実に直面し、少子化は単なる数字の問題ではなく「地域社会の構造的危機」となりつつあります。
婚活支援は単なるマッチングではありません。経済、福祉、教育、居住、そして人のつながりの再構築に直結した『希望のインフラ』となることを期待しています
新垣氏の言葉にあるように、結婚支援は単なる「出会いの場」ではなく、社会基盤を再生するための重要な施策です。
少子化対策を「個別の支援策」で終わらせず、地域社会の未来像と接続した総合戦略にまで高められるかどうか。それこそが、沖縄が人口減少時代に立ち向かう上での最大の試金石となるでしょう。