2026-03-25 コメント投稿する ▼
国立大付属校が半数で縮小、20年の交付金削減が教育現場を追い詰める
全国の国立大学で、付属の幼稚園・小中高校(付属校)の規模を縮小する動きが加速しています。教員養成系の56国立大・学部でつくる日本教育大学協会の調査によると、国立大が法人化された2004年度以降、9大学が付属校を統廃合し、さらに半数にあたる28大学が学級数を削減しました。少子化による児童・生徒数の減少に加え、国から配分される運営費交付金の削減が続いてきたことが大きな原因とみられており、付属校の現場では教育研究への深刻な影響が出始めています。
法人化から20年、国立大を直撃した財政難の実態
問題の根底にあるのは、国立大学の深刻な財政難です。国立大学は2004年度に独立行政法人化され、国から支給される運営費交付金によって運営を支えてきました。しかし、この交付金が法人化以降、約20年間にわたって削減され続けました。2004年度に全体で1兆2415億円だった交付金は、2025年度には1兆784億円と、およそ13%も減少しました。
さらに、同じ期間に消費税率の引き上げや物価・人件費の上昇が重なり、文部科学省は「名目上の削減額よりも実質的な目減りははるかに大きい」と指摘しています。光熱費や人件費の増加分を加味すれば、実質的には約1900億円相当の減額に相当するとの試算もあります。国立大学協会は2024年6月、「もう限界」とする緊急声明を公表するなど、大学現場の危機感は高まっていました。
こうした状況を受け、2026年度予算案では運営費交付金が9年ぶりに増額され、1兆971億円(前年度比188億円増)となりました。しかし文部科学省の担当者も「増額したとしても楽観できる状況ではない」として、財政の厳しさは変わらない認識を示しています。
付属校の縮小が止まらない、28大学で学級削減
こうした財政難のしわ寄せが、付属校にも直接及んでいます。日本教育大学協会の調査では、2018年度までに学級数を削減した大学は17大学でしたが、2025年度には28大学に増加しました。統廃合を行った大学も神戸大など9校にのぼります。削減された付属校は、幼稚園15校、小学校13校、中学校6校、高校2校、特別支援学校1校、義務教育学校1校の計38校です。
奈良教育大学は2026年度から、法人化以降では初めて付属小・中学校の学級数を削減することを決めました。担当者は「運営費交付金が減少傾向で、法人運営は厳しく、経費削減や資金獲得を試行錯誤している。付属校も削減せざるを得なかった」と苦しい内情を明かしました。弘前大学でも学級削減が進んでおり、地方国立大学ほど財政的に追い詰められている実態が浮かび上がっています。
「子どもの教育実習先が減るのは困る。国立の付属校は公立とは違う学びの場なのに」
「運営費交付金を20年削り続けた結果がこれ。自民党の教育軽視がここに来て出てきた」
「少子化だけが理由じゃないでしょ。国がお金を出さないから現場が犠牲になってる」
「奈良教育大の付属校まで削減されるとは。地方の教員養成が崩れていく気がして不安」
「付属校で研究・実習ができなければ、教育の質が落ちる。子どもたちへの影響が心配です」
教員養成の危機、「実践の場」が失われていく
付属校は、単に子どもたちが学ぶ場所ではありません。大学で教育を学ぶ学生が実際の教室で教える「教育実習」を受け入れ、教員が教育に関する最先端の研究を実践する場でもあります。国立大の付属校は教員養成学部や学科を置く大学に、大学設置基準で小中学校の設置が義務付けられているほど、その役割は重視されてきました。
千葉大学の藤川大祐・教育学部長は「付属校だけでは教育実習に対応できず、すでに公立校に受け入れてもらっている。付属校の学級数を減らすことで、実習先の確保がさらに困難になる」と指摘しています。教育研究の観点からも「実践の場が不足する」と強調しており、付属校の縮小は将来の教員の質にも影響を与えかねない深刻な問題です。
全国国立大学付属学校連盟の彦坂秀樹・事務局長も「各大学の事情が異なるため一概には言えないが、運営費交付金が減っている中で、財政面の悪化は大きな要素になっているとみられる」と語っています。
保護者に人気の付属校、縮小で入学競争はさらに激化か
国立大の付属校は、先進的な教育が受けられる一方で私立ほど学費がかからないことから、保護者の間で人気が高く、入学倍率も高い傾向があります。2025年度時点で、国立大の付属校は幼稚園48校(こども園を含む)、小学校66校、中学校67校、義務教育学校6校、高校15校、中等教育学校4校、特別支援学校45校が存在します。こうした学校の学級数が減れば、入学できる子どもの数はさらに少なくなり、競争が激化することも懸念されます。
国の財政健全化が優先され、そのしわ寄せが教育現場に向かう構図は、もはや無視できない段階に達しています。約20年間にわたる運営費交付金の削減が、教育研究の基盤を静かに蝕んできた結果がここに表れています。今後、2028年度以降を見据えた運営費交付金の算定方法の見直し作業が文科省で進む予定ですが、付属校の縮小に歯止めがかかるかどうかは、予算のあり方そのものが問われることになります。少子化対策を声高に掲げながら、子どもたちの教育環境の土台を切り崩すような財政運営を続けることは、社会全体への問いかけでもあります。
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まとめ
- 国立大の付属校統廃合が2004年度以降で9大学、学級削減が28大学(半数)に拡大
- 背景には20年にわたる運営費交付金の削減。2004年度比で名目13%減、実質では18〜20%の目減りとの試算も
- 2026年度予算で9年ぶりに188億円増額されたが、文科省担当者も「楽観できない」と認める
- 奈良教育大学が2026年度から法人化後初の付属校学級削減。弘前大など地方大でも進む
- 教育実習の受け入れ先が不足し、将来の教員の育成にも影響が及ぶ懸念が広がる
- 付属校縮小で入学競争がさらに激化する恐れ。国の少子化対策と矛盾する財政運営が問われる