2025-11-13 コメント: 1件 ▼
松島みどり議員が訂正 「質問通告は前々日正午まで」という誤認弁明の背景と課題
参議院議員の 松島みどり 氏(東京14区=墨田区・江戸川区北部)が自身のSNS投稿について、「質問通告のルールは前々日の正午まで」とする記述が事実誤認だったとして謝罪と削除を行ったことが明らかになりました。 この一連の出来事は、国会運営の実務と政治家のSNS発信における責任、そして「質問通告制度」の曖昧さという問題を浮き彫りにしています。
訂正求められた「質問通告ルール」発言 国会運営と発信責任の検証
参議院議員の 松島みどり 氏(東京14区=墨田区・江戸川区北部)が自身のSNS投稿について、「質問通告のルールは前々日の正午まで」とする記述が事実誤認だったとして謝罪と削除を行ったことが明らかになりました。松島氏は11月8日の投稿で、国会での質問通告の締切が「2日前の正午まで」とされていると説明したものの、実際には制度的にそのような厳格な締め切りが現行ルールとして定められていないという指摘が出ており、投稿を撤回・お詫びしたことを表明しました。
この一連の出来事は、国会運営の実務と政治家のSNS発信における責任、そして「質問通告制度」の曖昧さという問題を浮き彫りにしています。
質問通告制度と経緯
「質問通告制度」とは、国会の委員会や本会議で議員が政府側に質疑の趣旨を事前に伝える制度で、政府・省庁が答弁や資料準備を円滑に行うために用いられています。制度上、法律で規定されるものではなく、与野党間の申し合わせ・議院運営委員会理事会の決定・各会派や議院の内規という形で運用されてきました。
1999年(平成11年)時点の与野党申し合わせでは「原則として前々日正午までに通告する」という目安が記されていたことが確認されています。しかし、2014年(平成26年)以降の申し合わせでは、通告締切を「前々日正午まで」と明記するのではなく、「速やかな質問通告に努める(できるだけ速やかに通告)」という表現に改められています。つまり、正式な国会運営上のルールとして「前々日正午」の締切が現在も強制的に有効というわけではありません。
そのため、松島氏の投稿が「現在も『2日前の正午まで』がルールだ」という前提に立っていたことが、事実誤認と受け止められました。SNS上での発言を受け、野党側からも「誤った情報が拡散された」との抗議があり、議運理事間で確認も行われました。
松島氏の謝罪と影響
松島議員は投稿で、質問通告の現行ルールを「前々日正午まで」という前提で述べたことについて「事実誤認」であると認め、投稿内容を削除する旨を発表しました。なお、彼女は文中で「国会でお決めいただく質問通告のルールについての発言は慎重であるべきでした」とも述べています。
この対応は政治家のSNS発信における責任をめぐる議論を再燃させています。特に、本件は以下の問題を提起しています。
一つは、制度運用の曖昧さです。「目安」「慣行」と「公式なルール」が明確に区別されないまま、政治家が過去の慣行を「現在の公式ルール」として発信してしまうことがあります。今回もその典型とも言えます。
二つめは、SNS発信の影響力と検証責任です。国会運営という公共性の高いテーマについて、情報の正確性を欠いた発言が広がると、議論の信頼性や制度運用への理解が損なわれかねません。国会議員として、発信前に関係資料・議院運営の申し合わせ等を確認する必要があります。
三つめは、政府・議会運営側の説明責任のあり方です。質問通告制度のように慣行と改正が入り交じる運用である以上、議院が手続きや実務運用を分かりやすく国民に提示しておく必要があります。特に、通告の時刻・手続き・実務運用が外部から見えにくいことが、誤解や混乱の温床になっています。
今後の論点
まず注視すべきは、議院運営委員会や各会派が現在の「質問通告制度の実態」を整理して説明することです。例えば、「通告何時間前まで」「どの程度の要旨を記載すべきか」「通告遅れが発生した場合の取り扱い」など、ルールと運用との差が明らかにされれば、類似の誤発信を減らせます。
次に、SNSなどを含む議員の発信について、事実確認と説明責任のルール化 が求められます。例えば、発信前の確認プロセスを確立する、誤情報があったときの迅速な訂正・説明体制を整えるなどです。
さらに、質疑通告の時期が遅れたことで政府・省庁・議会事務局の準備負担が増大するという指摘も根強く、通告時間を守る実務慣行の再確認が必要です。議会運営の効率化・答弁の質向上を図るためには、通告締切の遵守が理想ですが、それを「義務」ではなく「目安・慣行」として位置付ける現状では曖昧さが残ります。
最後に、今回のように過去の慣行を現在のルールと混同する事態を予防するため、議院内文書・申し合わせの内容を定期的に公開し、国民・マスメディア・議員が確認できる体制整備が急務です。誤情報が政党間の対立を助長し、議会運営そのものへの信頼を損なう可能性があるからです。
――以上、松島みどり議員の投稿削除・謝罪を契機に浮上した「質問通告制度」と議員発信の課題を整理しました。現行制度の実態を含め、制度改革の必要性も含めて今後の動向に注目します。