2025-01-11 コメント投稿する ▼
沖縄県ワシントン事務所問題 デニー知事と県執行部、見当違いの答弁で逃げ回る
事務所設立の経緯と目的
2015年4月、沖縄県は米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設反対などを米側に直接訴えるため、ワシントンD.C.に事務所を開設しました。当初、米国務省から「政治的活動」として非課税事業者としての登録に難色を示され、駐在職員の就労ビザ取得が課題となりました。そのため、企業の転勤者向けに発給される「L-1」ビザを取得するため、県全額出資の株式会社を設立する方針が採られました。
株式会社設立とビザ取得の手続き
事務所は、米国の弁護士の助言を受け、株式会社沖縄県ワシントン事務所(Okinawa Prefecture DC Office, Inc.)を設立しました。ビザ申請時には、駐在職員の肩書を「社長」「副社長」とし、米国移民・関税執行局に提出した資料では、「沖縄県から直接雇用されることはない」「株式会社が雇用を管理している」と記載されていました。しかし、実際には駐在職員は県職員の身分を有した地方公務員であり、事実と異なる内容が報告されていました。
県幹部の認識と手続きの不備
事務所設立当時、県担当幹部と現地駐在の事務所長は、法人形態を「株式会社」と認識していなかったことが判明しました。県は昨年10月に県議会の指摘でこの事実を把握し、駐在職員の「兼職状態」や経営状況の未報告といった違法状態が約9年間も見過ごされていた要因とされています。
委託業者への依存と情報共有の不足
事務所設立に際し、県は現地弁護士の助言を含めた対応を米コンサルティング業者「ワシントンコア」社に業務委託しました。実質的な「丸投げ」状態で、会社設立も業者側が主導したと説明されています。しかし、この実態は本庁内で共有されず、必要な手続きが一切取られていなかったとされています。
県議会の対応と今後の課題
県議会は、地方自治法100条に基づく調査特別委員会(百条委員会)を設置し、設立経緯の調査を進めています。玉城デニー知事は事務所の存続を意向していますが、調査結果次第では廃止を求める声が高まる可能性があります。行政手続きの適正化と情報共有の徹底が求められています。
この問題は、地方自治体の行政運営における透明性と適正手続きの重要性を改めて浮き彫りにしました。今後、同様の事態を防ぐための制度改革や内部統制の強化が期待されます。