2025-06-10 コメント投稿する ▼
公約沖縄の待機児童数は過去最少でも“ゼロ”にはほど遠い 地域格差と制度の盲点が課題
10年連続で減少も、依然として171人が“保留児童”に
沖縄県は6月10日、2025年4月1日時点での待機児童数が速報値で171人となったと発表した。前年から185人減少し、10年連続で「過去最少」を更新したことを強調するが、「ゼロ」には依然として遠い。県内14の市町村に待機児童が存在し、都市部を中心に入所困難な状況が続いている。
実際、「待機児童ゼロ」を宣言する自治体も全国にはあるが、沖縄県はそのラインに到達できていない。数値の改善は進んでいるものの、保育の現場では“希望する園に入れない”“兄弟で同じ園に通えない”といった現実的な問題が根強く残る。
また、国の定義に照らし合わせた“統計上の待機児童”に絞っていることも問題だ。希望する条件を譲らず入園辞退とされたケースや、育休延長によって申込を一時見送った保護者の存在は、数字に反映されていない。この“見えない待機児童”を含めれば、実態はさらに深刻と見るべきだ。
都市部に集中する「保活難民」 数値だけでは見えない苦労
今回の発表でもっとも多くの待機児童を抱える市町村名は明らかにされていないが、例年通りであれば那覇市、浦添市、宜野湾市といった中南部の都市部が中心になるとみられる。これらの地域では共働き家庭が増加する一方、保育施設の拡充や保育士の確保が追いついていない。
特に那覇市では「兄弟で同じ園に預けたい」という希望が通らず、家族の生活リズムが崩れてしまう事例が後を絶たない。保活に奔走する保護者たちの声は深刻だ。
「“過去最少”って聞いても、うちは落ちました。意味がない」
「数字だけ改善しても、結局、子どもを預けられない家庭はたくさんいる」
「申込のハードルが高すぎるし、希望園を少しでも変えると不利になる」
「隠れ待機児童が多すぎる。これで“改善”とは言えない」
「地方選出の議員は“ゼロ目前”と喜ぶけど、都市部の実情知らないのでは?」
こうした声が示すのは、「統計上の改善」と「保護者の実感」との大きな乖離だ。保育の現場では依然として入園選考の倍率が高く、キャンセル待ちや育休延長を余儀なくされる家庭が多い。
保育士不足と制度の限界 「ゼロ」達成への道のりは平坦ではない
保育士不足も解決していない。県は処遇改善を図ってきたものの、賃金の低さや労働環境の厳しさから、資格を持っていても就職を敬遠する「潜在保育士」が多く、人材確保は依然として難航している。新たな保育施設を整備しても、人手が足りなければ受け入れ枠は拡大できない。
さらに、企業主導型保育施設の増加や、短時間保育枠の拡充など、多様な保育ニーズに応える政策も始まりつつあるが、現場の制度運用が複雑化し、利用者側も混乱しがちだ。行政手続きの煩雑さ、選考基準の不透明さが保護者の不信感を招いている。
“数合わせ”から“本質的改善”へ 政策の再構築が必要
沖縄県は出生率が全国でも突出して高い地域であり、その分、保育需要も大きい。したがって、ただ数値を下げるだけでなく、“どの家庭も希望する形で安心して子どもを預けられる環境”こそが本来目指すべき姿だ。
現状のように、「定義上の待機児童が減った=改善された」とする安易な広報では、かえって信頼を損なうリスクもある。制度の透明化、保育士の待遇改善、そして“実感としての待機児童ゼロ”を目指す政策の立て直しが求められている。
統計の先にある、親たちの声なき声に向き合わなければ、「過去最少」という言葉は空虚な数字に過ぎない。
この投稿は玉城デニーの公約「待機児童ゼロを実現するとともに、保育の質の向上を図ります。」に関連する活動情報です。この公約は点の得点で、公約偏差値、達成率は0%と評価されています。