2026-03-07 コメント投稿する ▼
沖縄県ワシントン事務所問題、米国弁護士の証言が真相解明へ一歩
沖縄県が設置し、昨年6月に閉鎖されたアメリカ・ワシントン事務所を巡る問題で、県議会の調査特別委員会(百条委員会)が真相解明に向けた調査を進めています。 今回の調査で、百条委員会は参考人として米国の弁護士、ダニエル・クラカワー氏に意見を聴取しました。 問題となっているのは、事務所の運営実態を担っていたとされる「ワシントンDCオフィス」という法人の設立経緯です。
事務所閉鎖に至る経緯と問題の全体像
沖縄県は、アメリカでの情報収集や在地自治体との連携などを目的にワシントン事務所を設置していましたが、その運営方法や費用負担、実態について長年疑問の声が上がっていました。特に、事務所の運営を外部に委託する際の契約内容や、設立された関連法人の実態などが不透明であるとの指摘が相次ぎました。こうした問題が表面化したことを受け、県は昨年6月に事務所を閉鎖。県議会は、地方自治法に基づき、強制的な調査権限を持つ百条委員会を設置し、問題の全容解明と責任の所在を明らかにするための調査に乗り出しています。
米国弁護士が語る「直接契約」の真実
今回の調査で、百条委員会は参考人として米国の弁護士、ダニエル・クラカワー氏に意見を聴取しました。県が事務所運営のために業務を委託したとされる米国のコンサルティング会社「ワシントンコア社」が、さらに米国の法律事務所に業務を再委託していたのではないか、という点が争点の一つとなっていました。しかし、クラカワー氏は、「それは再委託ではありません。県と法律事務所が直接契約を結んでいたのです」と、これまでの認識とは異なる見解を証言しました。この証言は、契約の実態が複雑であり、公的な調査の対象となるべき契約が、当初想定されていた形とは異なっていた可能性を示唆しています。契約の主体や経緯が不明確であったことは、公金支出の適正性に対する重大な疑念を生む要因です。
「株式会社」か「特殊法人」か? 設立認識の食い違い
問題となっているのは、事務所の運営実態を担っていたとされる「ワシントンDCオフィス」という法人の設立経緯です。この法人の位置づけについて、初代所長を務めた平安山英雄氏は、「株式会社という認識はなく、特殊法人という認識でした」と証言しました。一方で、2代目の所長であった運天修氏は、「地方自治法との整合性を考えると、このような形態で事務所を置くことはできませんでした。非常に、黒に近いグレーな状態だったと感じています」と、その法的・倫理的な問題点を指摘する見解を示しています。このように、関係者の間で法人としての認識や実態の捉え方に大きな隔たりがあったことは、設立プロセス自体に問題があったことを強く示唆しています。
初代所長の権限と書類署名の謎
さらに、平安山氏が県を代表して契約などの法的行為を行う権限を正式に持っていたのかどうかも、重要な論点となっています。県側は、平安山氏にそのような権限は与えていなかったと主張してきました。しかし、クラカワー弁護士は、百条委員会の質問に対し、「平安山氏には(県と契約する)権限があったと思います」と回答しました。加えて、クラカワー氏は、法人の定款には自身が署名したが、実際の業務委託契約書や設立関連の書類には平安山氏が署名したことも明らかにしました。これは、権限の有無と実際の署名行為との間に食い違いがある可能性を示しており、誰が、どのような権限に基づいて、いつ、何に署名したのか、という点が未解明なままであることを浮き彫りにしています。
知事への証人尋問へ、真相究明はこれから
過去の県の調査検証委員会も、ワシントンDCオフィス社の設立手続きには「重大な瑕疵(かし)があった」と指摘し、「十分な法的調査を怠ったまま拙速に進められた印象を拭えない」との報告書をまとめていました。こうした背景を踏まえ、百条委員会は、現職の玉城デニー知事に対し、13日午後、証人として尋問を行う方針を固めました。百条委員会は、資料の提出命令や証言の拒否に対して罰則を科すことができる、非常に強力な調査権限を持っています。今回の知事への証人尋問は、この問題の真相解明に向けた大きな節目となることが予想され、県民の関心が集まっています。