2025-11-11 コメント投稿する ▼
土佐清水市長程岡庸ら4人逮捕、地域みらい留学施設で官製談合疑い
県の人口減少対策として期待されていた地域活性化事業が、わずか1万円差という露骨な談合により汚されたことで、過疎地域の未来への取り組みに深刻な影を落としています。 今回談合の舞台となったのは、土佐清水市が旧幡陽小学校を改修して整備する「宿泊型多文化共生コミュニティ施設」です。
2025年11月11日、高知県警は土佐清水市が発注した宿泊型多文化共生コミュニティ施設の電気設備工事をめぐる官製談合防止法違反などの疑いで、程岡庸市長ら4人を逮捕しました。県の人口減少対策として期待されていた地域活性化事業が、わずか1万円差という露骨な談合により汚されたことで、過疎地域の未来への取り組みに深刻な影を落としています。
逮捕されたのは土佐清水市長の程岡庸容疑者(66歳)、土佐清水市議会議員の永野裕夫容疑者(67歳)、四万十市の会社役員榮勇男容疑者(84歳)、四万十市の会社役員小野和幸容疑者(66歳)の4人です。県警の調べによると、今年5月28日に執行された指名競争入札で、程岡容疑者が最低制限価格5912万円を永野容疑者に漏らし、最終的に小野容疑者の会社が5913万円で落札したとされています。
地域の未来を担う施設で露骨な不正
今回談合の舞台となったのは、土佐清水市が旧幡陽小学校を改修して整備する「宿泊型多文化共生コミュニティ施設」です。この施設は高知県の人口減少対策総合交付金を活用した事業で、全国から清水高校への「地域みらい留学生」を受け入れるための拠点として位置づけられています。
地域みらい留学は、全国の中学生が都道府県の枠を超えて地方の魅力的な高校を選択し、3年間をその地域で過ごす国内留学制度です。土佐清水市は1年目に5人、2年目に7人、3年目に8人の受け入れを目標としており、人口減少に歯止めをかける切り札として期待されていました。
しかし、この重要なプロジェクトの中核施設建設において、市長自らが最低制限価格を漏らすという前代未聞の不正が行われていたのです。最低制限価格5912万円に対し、わずか1万円上乗せした5913万円での落札は、談合の存在を明確に物語っています。
「市長が率先して談合とか最悪。税金なんだと思ってるの」
「過疎地域の未来のための事業なのに、こんな汚い大人たちが関わってるなんて」
「1万円差って、もはや隠す気もないよね。県民を馬鹿にしてる」
「地域みらい留学の生徒たちが気の毒。こんな大人たちの街に来させるの?」
「高知県の税金が無駄遣いされてる。許せない」
繰り返される土佐清水市の腐敗体質
今回の事件で特に深刻なのは、土佐清水市の政治腐敗が繰り返されているという点です。同市では1996年にも当時の市長が公共工事をめぐる収賄容疑で逮捕されており、翌1997年には近隣の三原村長も談合関連の汚職事件で逮捕されています。高知県内の現職首長の逮捕は今回が1997年以来28年ぶりとなります。
程岡容疑者は2023年10月の市長選で初当選したばかりの新人市長でした。土佐清水市出身で高知工業高校を卒業後、家業の電器店を営み、2015年から土佐清水商工会議所会頭を務めるなど地元経済界のリーダー的存在でした。一方、永野容疑者は1998年から市議を務める6期目のベテランで、議長を3度務めた市議会の重鎮でした。
地域の有力者が結託して行った今回の官製談合は、小さな自治体に根深く残る利権構造の象徴といえます。市長と議員という本来チェック機能を果たすべき立場の者同士が、むしろ共謀して不正を行っていたという事実は、地方自治の根幹を揺るがす深刻な問題です。
税金の私物化に怒りの声
この宿泊型多文化共生コミュニティ施設は「みらいコミュニティ Tosashimizu Base(トサシミズベース)」と命名され、「清水の未来を創造する拠点」というコンセプトで今年6月に名称が決定していました。事業全体の概算費用は約3億9500万円で、高知県の人口減少対策総合交付金が投入されています。
しかし、その「未来創造の拠点」が、市長による情報漏洩という犯罪行為によって汚されてしまいました。県民の貴重な税金が、公正な競争ではなく事前に決められた談合により無駄遣いされていたのです。
談合により不当に高い価格で落札された可能性も高く、本来であればもっと安い価格で質の良い工事ができたはずです。過疎地域で限られた予算の中で地域活性化を図らなければならない状況において、このような税金の無駄遣いは断じて許されません。
地域振興への悪影響は深刻
今回の事件が地域振興に与える影響は計り知れません。地域みらい留学は全国から生徒を呼び込む重要な取り組みですが、受け入れ自治体の市長が逮捕されるという事態は、制度そのものへの信頼を大きく損ないます。
せっかく地方での学びに興味を持った中学生や保護者が、「談合で建設された施設」「市長が逮捕された自治体」というイメージを持ってしまえば、土佐清水市への留学を敬遠する可能性が高くなります。地域活性化どころか、かえって土佐清水市の魅力やイメージを大きく傷つける結果となりかねません。
また、高知県が推進する人口減少対策にも深刻な打撃です。県の交付金を活用した模範的事業のはずが、官製談合の舞台となったことで、他の自治体への波及効果も懸念されます。真面目に地域振興に取り組んでいる他の市町村にとっても、迷惑な話といえるでしょう。
土佐清水市は「詳細がまだ把握できていない。警察には全面的に協力していく」とコメントしており、程岡容疑者の職務は副市長が代行することになります。しかし、市長と市議会の重鎮が同時に逮捕されるという異常事態の中で、市政の正常化と市民への信頼回復は容易ではありません。
地域の未来を担うはずだった施設が、地域政治の腐敗を象徴する存在となってしまった今回の事件。過疎地域が抱える構造的な問題の深刻さを改めて浮き彫りにした形となりました。