2025-11-12 コメント投稿する ▼
北谷町長選で女性起業家・玉城佐恵子氏が挑戦、PFAS問題と女性活躍支援掲げ現職に対抗
立候補を決めた理由について玉城氏は「会社を経営する中で女性の働き方を深く考えてきた。 特に女性の経済的自立支援や子育て世代への支援といった政策は、実際にビジネスの現場で直面してきた課題から生まれており、具体性と実現可能性を備えた提案として評価されている。
沖縄県北谷町長選が2025年11月11日に告示され、任期満了に伴う選挙戦がスタートした。現職で2期目を目指す渡久地政志氏(46)に対し、無所属新人で会社役員の玉城佐恵子氏(41)が挑戦する構図となっている。投開票は16日。10日現在の選挙人名簿登録者数は2万2181人で、女性の活躍と住民参加型の町づくりを掲げる玉城氏の政策に注目が集まっている。
起業家から政治の道へ
玉城佐恵子氏は1984年2月15日生まれの41歳。南風原町大名出身で、現在は北谷町桑江に在住している。麻生ビューティーカレッジを卒業後、2021年にネイルサロンなどを運営する「琉佐美」を北谷町内で創業し、同年から役員を務めている。会社経営を通じて女性の働き方を深く考えてきた経験が、今回の立候補への原動力となった。
立候補を決めた理由について玉城氏は「会社を経営する中で女性の働き方を深く考えてきた。一企業の努力だけでは限界があり、これまで現場の声を行政に届けようとしてきたが、今の行政に違和感を持っている。自ら行動し仕組みを変える側に立ちたいと思い、立候補を決意した」と語る。
民間での実践的な経験を政治に活かそうとする姿勢は、従来の政治家とは異なるアプローチとして有権者の関心を呼んでいる。特に女性の経済的自立支援や子育て世代への支援といった政策は、実際にビジネスの現場で直面してきた課題から生まれており、具体性と実現可能性を備えた提案として評価されている。
「玉城さんの政策は現実的で、特に女性の働き方支援は期待できそう」
「若い起業家の視点で町政を変えてほしい。新しい風が必要だと思う」
「AIセミナーとか時代に合った政策を打ち出していて新鮮」
「みんなでつくる町づくりって理想的だけど、本当に実現できるのかな」
「高齢者のポイント制度は面白いアイデアだと思います」
女性の自立支援と子育て環境整備
玉城氏の政策の柱となるのが女性の経済的自立支援だ。子育て世代向けの町営団地整備や、子どもの自己肯定感を育む教育制度の推進を掲げている。また、AIセミナーなど時代に即した学びの場の設置も提案しており、デジタル化が進む社会において住民のスキルアップを支援する姿勢を示している。
特に注目される政策が、社会貢献に応じたポイント制度の導入だ。ポイントに応じたシニア向け商品券を発行する仕組みにより、高齢者の社会参加を促進し、同時に地域経済の活性化も図る革新的な取り組みとして期待される。
町政の課題については「退職後の高齢者の孤立が課題だと感じている。経験やスキルがあっても家で節約をするという生き方に不安を抱いている人もいる。町内の相談窓口などを通じて、これまでの経験を生かせる活動に結び付ける仕組みをつくりたい」と指摘。高齢者の知識と経験を地域資源として活用する視点は、超高齢社会を迎える日本の地方自治体にとって重要な政策課題への解答として注目される。
PFAS問題への取り組み
北谷町が直面する重要な課題として、玉城氏はPFAS(有機フッ素化合物)問題を挙げている。北谷町は嘉手納基地に隣接し、基地から流出したとみられるPFASによる水質汚染が深刻な問題となっている。北谷浄水場の水からもPFASが検出されており、住民の健康への影響が懸念されている状況だ。
2022年の市民団体による血液検査では、北谷町を含む沖縄県内の住民から全国平均の最大14倍の高濃度PFASが検出されるなど、問題の深刻さが明らかになっている。玉城氏がこの問題を重要課題として位置づけることは、住民の健康と安全を最優先に考える姿勢の表れといえる。
基地問題への現実的対応
米軍基地問題については「降下訓練や騒音問題に対しては、町民の安全を守るため国や県に防音や安全対策などの拡充を求めていく」とし、住民生活への直接的な影響軽減を重視する立場を示した。基地の返還交渉については「県や国の責任で進めるべき」として、町レベルでの役割を明確に区分けする現実的なアプローチを取っている。
返還後の跡地利用については「県内企業の誘致で地域経済を活性化する」との方針を示し、基地依存からの脱却と地域産業の振興を両立させる構想を描いている。これは従来の基地問題への対応とは異なる、経済的視点を重視したアプローチとして評価できる。
官民学連携による町づくり
有権者へのメッセージとして玉城氏は「住民の声やアイデアを生かし、官民学が連携する『みんなでつくる町づくり』を進めていきたい。高齢者も生きがいを持ち、町全体で楽しく暮らせる北谷を目指す」と述べている。
官民学連携は現代の地方自治において重要なキーワードであり、行政だけでは解決困難な課題に対して、民間企業や教育機関の知見と資源を活用するアプローチとして注目されている。玉城氏の企業経営経験は、こうした連携を実現する上で貴重な強みとなる可能性がある。
北谷町は米軍基地の存在という特殊事情を抱えながらも、アメリカンビレッジなど観光資源に恵まれ、発展のポテンシャルを秘めた自治体だ。玉城氏が掲げる住民参加型の町づくりが、これまでにない新しい地方自治の形を生み出すかどうか、16日の投開票結果が注目される。